ガザ:爆撃による犠牲者の約半数は子ども──国境なき医師団の職員と家族への調査から明らかに
国境なき医師団

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ガザ北部で空爆を受け負傷した4歳の少女。父親である国境なき医師団の医師に抱えられている=2025年6月28日 (C) Nour Alsaqqa/MSF
国境なき医師団(MSF)は、パレスチナ・ガザ地区で働く現地スタッフとその家族を対象に死亡率の調査を行った。その結果、2023年10月7日の紛争激化以降、特に子どもにおいて極めて高い死亡率が確認された。これはガザ保健省が発表する数値と一致する傾向だ。
調査によると、5歳未満の子どもの死亡率は紛争激化前に比べ10倍に増加。また、爆撃による負傷で死亡した人の48%は子どもで、40%は10歳未満だった。
MSFはイスラエル当局に対し、ガザにおけるパレスチナ人へのジェノサイド(※)を止め、食料や燃料、医療、援助物資の搬入の封鎖を直ちに解除するよう求める。
※ 特定の国民や民族の集団を殺害したり、危害を加えたりする行為
子どもの命がないがしろに
MSFの疫学関連の研究所である「エピセンター」が実施したこの遡及調査は、期間を2023年10月から2025年3月までと設定し、MSFスタッフとその家族の計2523人に対して行われた。
調査では、対象者の2%超が2023年10月7日以降に死亡し、7%が負傷していることが明らかになった。死者の4分の3は戦傷によるもので、そのほとんどは爆風によるものであった。
調査によると、ガザでの死亡率は1日1万人当たり0.41人で、2023年10月7日以前のガザ保健省の推計死亡率と比較すると5倍に増えた結果となった。5歳未満の子どもでは0.70人に上り、同様の死亡率比較で10倍、生後1カ月未満児では6倍となる結果がでた。また、MSFスタッフの5世帯に1世帯の割合で、家族の誰かが爆発や銃撃で負傷した。
MSFの緊急対応副責任者、アマンド・バゼロールはこう話す。
「子どもの命がないがしろにされています。イスラエルがガザで行っているこの紛争が、全てのパレスチナ人に対するものであることは明らかです。イスラエルの同盟国は、私たちの目の前で起こっているジェノサイドを終わらせるために全力を尽くさなければなりません」
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MSFスタッフの子どもはガザ北部の空爆で負傷したが、医療物資の不足から治療が受けられず南部の病院へ運ばれた (C) Ahmed Seyam/MSF
慢性疾患の患者にも影響
この調査はMSFのスタッフとその家族のみを対象として実施されたものであり、ガザの全人口を表すものとして推定することはできない。実際に、MSFを含む医療スタッフとその家族は、ガザの他の住民よりも医療を受けやすい環境にあると考えられる。
それにもかかわらず、調査によると戦傷に直接起因しない死亡者数もこの戦時中に増加している。慢性疾患を患う3人に2人が、治療の中断を1回以上経験していることが明らかになった。
これは、ガザの全住民の医療体制と生存手段を組織的に破壊しようとするイスラエルの軍事作戦がもたらしたものだ。
加えて、イスラエルは医療避難を最小限に抑えている。WHOによると、1万人を超える人びとが、ガザの中では受けられない医療や外科治療を緊急に必要としている。
ジェノサイドの停止を
2023年10月7日以降、2025年6月25日の時点で、少なくとも5万6156人のパレスチナ人が殺害され、13万2239人が負傷したとガザの保健省は報告した。
MSFの調査による定量データは、ガザの現実の一端を伝え、これまでに発表されたデータを裏付けるものであると、MSFエピセンターの研究コーディネーターであるウェンデリン・モーゼルは話す。
「私たちの調査によって判明した暴力による死亡者の名前と、ガザの保健省による紛争関連死のリストを比較したところ、ほぼ90%が一致しました。これは10月7日以降のガザでの死亡者数に関する保健省の統計の妥当性を示しています」
この調査はまた、家屋の破壊に関する状況も明らかにした。調査に答えたMSFスタッフの世帯のうち、家屋は元のままと言う人はわずか2%にとどまった。調査時点では、59%が家屋全壊、39%が家屋、41%がテント暮らしであった。
MSFはイスラエル当局に対し、ガザのパレスチナ人へのジェノサイドを止め、食料や燃料、医療、援助物資の搬入の封鎖を直ちに解除することを求める。そしてイスラエルの同盟国に対し、命の危険にさらされている人びと、特に医療を求める子どもの緊急医療避難を促進するための支援を求める。
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ガザ北部で空爆を受けシファ病院で治療を受ける8歳の少年=2025年6月28日 (C) Nour Alsaqqa/MSF
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