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“あぶらの構造”が抗肥満作用ホルモンの作用を変えることを発見~新たな食育への活用に期待~

学校法人明治大学

“あぶらの構造”が抗肥満作用ホルモンの作用を変えるこ


明治大学農学部の金子賢太朗准教授、同大学院農学研究科の池田睦(博士前期課程2年)、椎野珠江(博士前期課程2年)、成毛開(博士前期課程2年)らの研究グループは、あぶらの構造※1の違いによって、抗肥満ホルモンであるレプチン※2の作用が変わることを発見しました。ラードと牛脂は脂肪酸組成が類似している一方、グリセロール骨格における脂肪酸の結合位置が異なっていることが知られています。今回の研究では、ラードまたは牛脂を使って脂質のカロリー比が30~45%となるよう調整した特殊脂質食を用い、マウスに与えた結果、ラード摂取マウスは牛脂摂取マウスと比較して、体重増加の一部抑制、グルコースバランス、さらに視床下部※3レプチン感受性の維持に効果があることを明らかにしました。今後は、本成果を展開させることにより、健康に悪いイメージのあるあぶらでも、その構造に着目することによって、ライフイベントやライフステージに添った最適なあぶらを選択する、新しい食育の形を提案していきたいと考えています(図1)。


本成果は2025年7月21日にPublic Library of Science社の発行する国際学術誌『PLOS One』に掲載されました。
論文タイトル:Lard intake results in better hypothalamic leptin responsiveness than beef tallow intake during overnutrition
DOI : https://doi.org/10.1371/journal.pone.0326847

[画像1: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/119558/245/119558-245-3c73eba009683506a6f6ae124f6234ac-1504x576.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]


研究の背景


肥満は2型糖尿病や心血管疾患、特定のがんの発症リスクを高め、平均寿命を短縮することから、深刻な社会課題の一つとされています。レプチンは、食欲を抑制し正常体重を維持するための重要な抗肥満ホルモンです。しかし、高脂肪食摂取等の過栄養状態においては、視床下部におけるレプチンの感受性が低下(レプチン抵抗性を発症)し、肥満が引き起こされることが知られています。私たちは最近、グリセロールsn-2位にパルミチン酸が結合した2-モノパルミチン酸(βパルミテート)を高脂肪食誘導肥満マウスに脳室内投与した結果、視床下部レプチン感受性が向上し、抗肥満効果を発揮することを明らかにしました(文献1)。興味深いことに、2-モノパルミチン酸は自然界の動物性脂質においてラードに豊富に含まれる(70.5 mol%以上含有)ことが知られています。一方、牛脂はラードと類似した脂肪酸組成を持ちながら、2-モノパルミチン酸の含有量が少ない(約15 mol%)ことが知られています。そこで本研究では、ラードと牛脂の摂取による過栄養状態が、視床下部のレプチン感受性やエネルギーバランスに及ぼす影響を検討しました。



研究の成果


本研究グループは、ラードもしくは牛脂によって誘導した過栄養状態(45 kcal% fat)において、ラードは牛脂と比較して、体重増加の抑制および体脂肪量の減少効果が認められることを明らかにしました(図2)。さらに、ラード摂取による過栄養状態では、牛脂摂取の場合と比較して、空腹時および満腹時の血糖値の低下、高い耐糖能やインスリン感受性が示されました(図3)。また、血中のインスリン濃度が低く、そして高い血中GLP-1濃度が示されたことからも(図3)、ラードは牛脂と比較して、過栄養状態においてグルコースバランスを維持しやすいことを明らかにしました。
私たちはさらに、ラード摂取が牛脂摂取よりも体重増加が抑制される原因を明らかにするため、体重を一致させた条件下において、小動物総合モニタリングシステム(CLAMS-Oxymax/ACTIMO)解析および視床下部サンプルを用いたRT-qPCR解析を実施しました。その結果、ラード摂取マウスでは活動期の摂食量の低下や呼吸商の低下が示されること(図2)、視床下部における摂食促進AgRP遺伝子の発現低下を明らかにしました。そこで、視床下部において摂食抑制作用に関わる重要なホルモンであるレプチンの作用に着目しました。ラード摂取マウスでは、牛脂摂取マウスと比較して、脳室内投与したレプチンによる体重減少作用や摂食抑制作用が示され、レプチン抵抗性の発症が抑制されていることを明らかにしました(図4)。さらに、視床下部におけるレプチンシグナルの中核経路であるSTAT3リン酸化を測定したところ、ラード摂取マウスではレプチン依存的なSTAT3リン酸化が示されることを明らかにしました(図4)。重要なことに、ラードまたは牛脂の30 kcal% fat条件下では、通常食飼育マウスと比較して体重に差が生じていないにも関わらず、ラード摂取マウスは牛脂摂取マウスと比較して視床下部レプチン感受性が高いことも明らかにしました(図4)。私たちはさらに、レプチン欠損肥満モデルob/obマウスにラードまたは牛脂を摂取させたところ、野生型マウスで認められた体重増加の抑制や呼吸商の低下といった表現型が消失することを見出し、ラード摂取依存的なエネルギー代謝制御作用におけるレプチンの関与を明らかにしました。加えて、私たちはラード摂取マウスの視床下部では、レプチンシグナルの阻害因子であるSOCS3遺伝子の発現が牛脂摂取マウスと比較して有意に抑制されることを明らかにしました。
以上の結果から、私たちは、肥満や糖尿病を誘導する過栄養状態において、ラードは牛脂と比較して視床下部のレプチン感受性や全身のグルコースバランスを維持しやすい脂質である可能性を示しました。


今後の展開


近年、DIRECT試験において地中海式高脂肪食が低脂肪食よりも体重減少効果が高いことが示されるとともに、米国で総脂質摂取量の上限撤廃が決定し、また飽和脂肪酸摂取量についての議論が述べられるなど、従来の脂質のイメージが変わってきています。本研究で着目した動物性脂質は、長鎖飽和脂肪酸を多く含むことから、これまで健康への悪影響が懸念されてきました。しかし、私たちは脂質の構造に着目するとともに、食欲、エネルギー代謝、糖代謝、情動、認知・学習、睡眠などの様々な評価系を用いた検討を実施することで、動物性脂質にも様々な機能性が存在することを見出し、これが健康長寿への新たな戦略になり得る可能性を明らかにしています。また、私たちは牛脂摂取によるポジティブな効果も見出しており、ラードや牛脂に着目した実証実験も進めています。あぶらの構造に着目した一連の本研究を更に発展させることにより、“ライフイベントに添って最適なあぶらを選択する”ような新しい食育につなげていきたいと考えています。


謝辞
 本研究は創発的研究支援事業(FOREST-田中パネル)、科研費基盤研究(B)、ロッテ重光学術賞、ロッテ財団奨励研究助成(A)、日本応用酵素協会(TMFC)からの研究助成を一部使用して実施しました。この場を借りて厚く御礼申し上げます。


用語説明
※1 あぶらの構造:トリアシルグリセロール中のグリセロール骨格において、脂肪酸が結合している位置や数、脂肪酸の種類や組合せなどの脂質構造の違い
※2 レプチン:脂肪細胞から分泌され正常食欲や正常体重、正常血糖値の維持に働く抗肥満ホルモン
※3 視床下部:脳において食欲やエネルギー消費、血糖値の制御を司る中枢機関


文献1:Nozomi Takahashi, Mutsumi Ikeda, Yukiko Yamazaki, Yui Funatsu, Tamae Shiino, Aoi Hosokawa, Kentaro Kaneko., 2-monopalmitin, but not 1-monopalmitin, enhances hypothalamic leptin responsiveness, energy balance, and glucose homeostasis under overnutrition. bioRxiv, 2024.08.18.608432 (2024).
https://doi.org/10.1101/2024.08.18.608432.

[画像2: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/119558/245/119558-245-5552949e444e33640edc69d117937b0a-1143x356.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]



[画像3: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/119558/245/119558-245-b7f9d319e682be14991ea1b100d4d022-780x654.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]



[画像4: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/119558/245/119558-245-342aab87895adf0bd713af1e30623b8e-1561x1007.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]



プレスリリース提供:PR TIMES

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