有機合成DXへ向け、理化学研究所と特許実施契約を締結
Molecular Catalyst Design株式会社

データ駆動型触媒設計システムの社会実装による有機合成DX
Molecular Catalyst Design株式会社(代表取締役:山口 滋、以下「MCD社」)は、国立研究開発法人理化学研究所(以下、理研)より出願中のデータ駆動型触媒設計に関する特許技術について、理研と独占的実施契約を締結しました。本契約に基づき、理研で開発されたデータ駆動型触媒設計法およびデータベースを中核とする触媒設計システムの社会実装に向け、事業を展開していきます。
本技術は、量子化学計算と機械学習を用いた触媒設計手法(注1)を体系化し、従来は研究者の経験に依存していた触媒開発を、データに基づく合理的なプロセスへと転換することを目的としています。理研はこの基盤技術をもとに、触媒設計アプリケーションと機械学習用データベースを統合した「データ駆動型触媒設計システム」の大学・公的研究機関向けwebアプリケーションを開発しました(Webサイト:
https://mcds.riken.jp)
[画像:
https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/162011/3/162011-3-df151e4e08ae062a475112928ffeb62b-3022x1814.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
データ駆動型触媒設計システムwebアプリケーション (https://mcds.riken.jp)
触媒は医農薬品、機能性材料など多様な化学製品の合成に不可欠であり、持続可能な化学プロセスの実現にはその効率的な開発が求められています。一方、触媒開発は個々の研究者の経験則に頼ることが多く、知見の蓄積・共有・利活用が進みにくいという課題がありました。
本システムは、こうした課題を解決するために、量子化学計算により算出した均質性の高い触媒反応データを構造化し、異なる反応系を横断的に活用可能な形で統合・解析できるプラットフォームとして設計されています。システムを活用した触媒設計用データの創出・統合・利活用のデモンストレーションに関する研究成果のプレプリントを先行して公開しています(注2)。触媒設計効率化に加え、人間の直感では設計が難しい複雑な反応を制御する触媒の提案を可能(注3)とし、化学分野のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進します。
MCD社は、本技術に基づくシステムの事業化を担うスタートアップとして2024年に設立されました。本特許実施契約を受けて、大学・公的研究機関に向けてWebアプリケーション(https://mcds.riken.jp)の導入支援を進めるとともに、民間企業へのシステム導入に向けた研究支援サービスを展開していきます。
今後、本システムの普及を通じて、触媒設計における新たな研究開発基盤の構築を目指します。触媒研究の高度化、化学産業の生産性向上、および新材料創出の加速に資する取り組みを進めてまいります。
(注1) 2022年2月7日理研プレスリリース「計算機上で収集したデータの機械学習による不斉触媒設計」
(
https://www.riken.jp/press/2022/20220207_2/index.html)
(注2) S. Yamaguchi, Computational Study on Data Integration in Chiral Catalyst Design: Case Study Using Michael Addition Reactions. ChemRxiv DOI:
https://doi.org/10.26434/chemrxiv-2025-qg5z5
(注3) 2021年12月9日理研プレスリリース「有機合成の難題である複雑な反応の機械学習・データ駆動型触媒設計による制御」
(
https://www.riken.jp/press/2021/20211209_1/index.html)
【Molecular Catalyst Design株式会社について】
MCD社は、理研で開発されたデータ駆動型触媒設計法の事業化を担うスタートアップとして2024年に設立されました。量子化学計算、機械学習、触媒設計用データベース等を基盤としたデータ駆動型触媒設計技術の社会実装を通じ、有機合成研究のさらなる発展に寄与することを目指しています。
Molecular Catalyst Design株式会社
https://mcdchem.comプレスリリース提供:PR TIMES
記事提供:PRTimes