自然環境下におけるメタン濃度の簡易計測・可視化の実証研究を開始~東京ガスグループ独自技術によるカーボンクレジットの信頼性向上の取り組み~
東京ガス株式会社

東京ガス株式会社(社長:笹山 晋一、以下「東京ガス」)と東京ガスエンジニアリングソリューションズ株式会社(社長:小西 康弘、以下「TGES」)は、東京ガスグループ独自のレーザー式メタン検知技術[*1]と数値流体シミュレーション技術を用いた自然環境下におけるメタン濃度の簡易計測・可視化(以下「本手法」)の実証研究を開始しました。併せて、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(以下「JAXA」)より、本手法が水田からのメタン発生量の変化を簡易に計測する手法として活用できるか評価する業務を受託[*2]しました。
東京ガスグループは、これらの取り組みを通じ、メタン発生量の簡易かつ高精度な計測技術(以下「本技術」)の確立、および、メタン排出量削減により創出されるカーボンクレジットの定量評価に本技術を広く活用することによるカーボンクレジットの信頼性向上への貢献を目指します。
昨今、企業や自治体のカーボンニュートラル達成に向けた取り組みにおいて、自社の温室効果ガスの排出削減努力に加え、カーボンクレジットの活用が進んでいます。一方、カーボンクレジットの創出や活用のあり方については国際的にもルール整備の途上であり、需要家が安心して活用できる信頼性の高いカーボンクレジットのニーズはこれまで以上に高まっています。本技術は、メタン排出量の削減により創出されるカーボンクレジットの定量評価に活用することで、その信頼性の裏付けに大きく貢献すると考えられます。
レーザー式メタン検知技術は、メタンガスに吸収される赤外線レーザー光を照射し、地面などで乱反射したレーザー光の吸収量によりメタンガスの存在を瞬時に検知するもので、都市ガスの漏洩検査等にも広く利用されています。本手法は、レーザー式メタン検知技術で計測したデータを、東京ガスがこれまで温熱環境評価などを通して培ってきた高精度な数値流体シミュレーション技術を用いて解析することで、水田から発生するメタンの拡散現象を周辺環境も踏まえて再現し、発生量削減効果の適切な評価につなげるものです。
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水田における計測の様子(右下は計測装置)
[画像2:
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数値流体シミュレーションのイメージ
本技術の確立により、広域の自然環境下におけるメタン発生量の計測を効率化・高精度化することで、AWD[*3]を始めメタン計測のプロセスを有するカーボンクレジット創出の各種方法論[*4]や、カーボンインセット[*5]施策等への応用も視野に広く活用し、創出されるカーボンクレジットの信頼性向上への貢献を目指します。
東京ガスグループは、経営ビジョン「Compass2030」において、東京ガスグループの事業活動全体で、お客さま先を含めて排出するCO2をネット・ゼロにすることに挑戦することを掲げています。今後もお客さまとともに、日本政府が掲げる「2050年カーボンニュートラルの実現」に貢献していきます。
東京ガスグループは創立140周年を迎えます。東京を越え、ガスを越え、未来を先取りする企業として挑戦を進めていきます。
*1:
レーザー式ガス検知器の新シリーズ「レーザーメタン・スマート」の開発(2022年6月16日TGES・株式会社ガスター発表)
レーザー技術を活用したガスの遠隔検知の推進(2023年12月1日TGES発表)
スマート保安 レーザーメタンシリーズ
*2:JAXAは、秋田県の大潟村あきたこまち生産者協会の協力のもと、衛星データを用いた水田における湛水の有無の把握を行っている。これは、水稲の生育途中に一時的に水田から水を抜いて土壌を乾かす中干しにより、水田からのメタン排出量を削減することで創出されるカーボンクレジットの信頼度を高めることを目的とした実証事業であり、この事業において、東京ガスの取り組みが、水田からのメタン発生量の変化を簡易に計測する手法として活用できるか評価する業務を東京ガスが受託したもの。
*3:東京ガスは、カーボンクレジット創出の方法論の一つである、水田から発生するメタン排出量を削減する間断灌漑手法(Alternate Wetting and Drying、以下「AWD」)に着目し、2024年にフィリピンでの民間JCMに基づくAWD共同検証事業に参画している。
フィリピンにおける水田由来のメタン排出削減の共同実証について(2024年2月28日発表)
*4:泥炭地等の自然環境下におけるメタン排出の削減を促すもの等を想定している。
*5:企業が自社のサプライチェーン内における温室効果ガスの排出量を削減する取り組み(参照:
農林水産省公表資料)
■カーボンクレジットの信頼性確保に向けた東京ガスの取り組み
東京ガスでは、独自のカーボンクレジット評価基準を策定し、国際的にも信頼性の高いVerraやGold Standardといった基準に加え、ICVCM[*6]のCCPs[*7]や関連格付けサービスの指針等を参照し、上乗せする形で評価を実施しています。
また、「東京ガスのカーボンオフセット都市ガス算定ルール」を作成し、これに基づき日本品質保証機構による第三者検証を実施しています。
■ソリューション事業ブランド「IGNITURE(イグニチャー)」*8について
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東京ガスとTGESは、「ソリューションの本格展開」に向け、2023年11月、ソリューション事業ブランド「IGNITURE」を立ち上げました。「IGNITURE」の下で展開するソリューションにより、ご家庭、法人、地域・コミュニティのお客さまが、「最適化による経済性・利便性・効率性向上などでさらに豊かな未来」と、「脱炭素・レジリエンス向上などでサステナブルな生活・事業」を、無理なく両立できます。
*6:Integrity Council for the Voluntary Carbon Marketの略。自主的炭素市場のための十全性評議会。
*7:Core Carbon Principlesの略。中核炭素原則。信頼性の高いカーボンクレジットを提供するための国際的な基準であり、プロジェクト設計、
モニタリング、クレジット発行までの全プロセスにおいて透明性と環境整合性を確保することを目的とする。
*8:IGNITUREの詳細はこちら
以上
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プレスリリース提供:PR TIMES



記事提供:PRTimes