FRONTEO、AI創薬支援サービス「Drug Discovery AI Factory」によるすい臓がん新規標的分子候補の細胞増殖抑制効果の検証結果を受け今後の研究指針を策定
株式会社FRONTEO

細胞増殖抑制効果が確認された標的遺伝子を起点に、3つのアプローチで創薬候補探索を推進
株式会社FRONTEO(本社:東京都港区、代表取締役社長:守本 正宏、以下「FRONTEO(フロンテオ)」)は、7月23日に発表した「
FRONTEO、AI創薬支援サービス「Drug Discovery AI Factory*1」により抽出した、すい臓がん新規標的分子候補の細胞増殖抑制に対する効果を確認」*2の検証結果に加え、複数のすい臓がん細胞株における増殖抑制効果など、前試験を裏付ける結果を確認しました。一連の成果を受け、当社は今後の研究指針を策定し、下記の3つのアプローチを平行して実施する予定です。これらのアプローチは、細胞増殖抑制効果が確認された標的分子を起点に、新たな創薬候補化合物など(既存薬の転用*3を含む)を発見する可能性を高めることを目的とするものです。
1.ヒット化合物*4の探索:共創パートナーとの共同研究を開始
FRONTEOは、これまでに得られた細胞増殖抑制データを踏まえ、シーズ*5化を目指し、複数のモダリティ*6を視野に、国内外のアカデミア・製薬企業との共同研究体制の構築に着手しています。
2.検証済み標的と類似の遺伝子発現プロファイル*7を示す化合物の探索
当社のAI創薬支援サービス「Drug Discovery AI Factory(DDAIF)」を活用し、「LINCS L1000」などの公開データベースや社内実験データ、共創パートナーが保有するデータを横断的に解析します。FRONTEOが抽出した標的分子を阻害した場合の遺伝子発現プロファイルと高い相関・逆相関を示す市販化合物や合成ライブラリ候補をリストアップし、in vivo(動物)試験での検証を行います。加えて、候補化合物について、細胞毒性・ADMET特性*8などの多面的評価で絞り込みを行い、薬効メカニズムに基づくリポジショニング(既存薬転用)も含めて検討します。これらを通して、標的分子を阻害した際に見られる生物学的反応を模倣する化合物・抗体を効率的・効果的に探索し、早期のシーズ開発へと繋げます。
3.抑制因子を標的とする創薬アプローチ
機能喪失型 (Loss of Function) 変異に基づく疾患*9は、活性化薬(アゴニスト)の開発が必要となます。活性化薬の創薬は、一般的に、機能を抑制する阻害薬(アンタゴニスト)と比較して困難とされています。
DDAIFでは、そのような疾患との関連性は確実であるものの創薬が困難な標的分子に関して、独自の遺伝子ネットワーク解析を介して、遺伝的に関連する抑制因子(suppressor gene)を特定することで、より創薬可能性の高いドラッガブルな標的分子を狙った開発が可能となります。
FRONTEOは独自の技術を用いて、6つのそれぞれの標的分子に対して、適切なモダリティの取得を目指し検証を行います。
[画像1:
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これらのアプローチにより、検証済み標的のみならず、AIにより導出された未開拓かつ高い新規性を有する標的分子候補群に対するモダリティの取得と検証の早期化を通じて、協業するアカデミアや企業との共創による価値創出を加速させてまいります。
■創薬における課題
2025年6月に内閣府が「創薬力向上のための官民協議会」*10を設置したことが象徴するように、創薬力の強化は日本にとって喫緊の国家課題となっています。日本では長年にわたり医薬品の輸入超過が続いており*11、医薬品の供給を海外に依存しない体制の構築が急務です。
[画像2:
https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/6776/659/6776-659-dac1403f7755b0852ddc7e263e3fa4bf-529x290.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
【出典】内閣府:創薬力の向上により国民に最新の医薬品を迅速に届けるための構想会議, 資料5 世界と日本の創薬の現状*11
しかしながら、創薬研究はすでに成熟期に入り、比較的開発の容易な医薬品は多くが既に上市されています。一方、疾患の複雑化・多様化に伴い、新たな創薬標的の探索は年々困難さを増しており、標的分子の“枯渇”が深刻な社会課題となっています。
さらに海外では、後発医薬品(ジェネリック)の承認数に制限が設けられる動きも見られ、“ファースト・イン・クラス*12”と呼ばれる先発優位性の高い新薬の開発が、企業の競争力、ひいては国家の医薬品戦略上も不可欠なテーマとなっています。その実現には、論文やデータベースにも記載のない「未知の標的分子」の発見が不可欠ですが、こうした情報の体系的な発見は、従来の研究手法やAIでは極めて困難でした。
■DDAIFを用いた本プロジェクトの意義
FRONTEOの「Drug Discovery AI Factory(DDAIF)」は、こうした構造的課題に対し、独自の自然言語処理AI技術を駆使して、体系的に論文未報告の“未知の標的分子”を抽出することができ、革新的な創薬支援を可能にします。
今後もFRONTEOは、自然言語処理に特化したAIの研究開発とその社会実装を通じ、ライフサイエンス分野における構造的課題を解決することで、「日本を再び創薬の地」に、そして医薬品産業を自動車、半導体に次ぐ基幹産業へと成長させることに貢献し、薬を必要としているすべての人に適切な薬が届けられるようなフェアな世界を目指します。
〈注釈〉
*1 AIと創薬に精通したFRONTEOの創薬エキスパートが、自社開発の特化型AI「KIBIT(キビット)」の自然言語処理技術と独自の解析手法を駆使し、標的分子・適応症探索やその裏付けとなる仮説を提供するAI創薬支援サービス
*2 2025年7月23日付プレスリリース:FRONTEO、AI創薬支援サービス「Drug Discovery AI Factory」により抽出した、すい臓がん新規標的分子候補の細胞増殖抑制に対する効果を確認,
https://www.fronteo.com/news/pr/20250723_01
*3 既存・開発中の医薬品などを活用し、当初想定していた疾患とは異なる疾患の治療薬として用いること
*4 創薬の初期段階で見つかる、標的に対して有望な活性を示す化合物のこと
*5 医薬品研究開発の「タネ」となる、疾患の治療に有効だと考えられる化合物や抗体、創薬技術など
*6 低分子・抗体・PROTAC・siRNA などの薬のタイプ
*7 細胞や組織において、どの遺伝子がどれくらい発現(タンパク質の生成など、その遺伝子の機能が働くこと)しているかを網羅的に調べた情報
*8 医薬品候補化合物の開発において重要とされる、Absorption(吸収), Distribution(分布), Metabolism(代謝), Excretion(排泄), Toxicity(毒性)の5つの性質を指す総称
*9 遺伝子に起きた変化により、その遺伝子の働きに基づくタンパク質の機能が低下または完全に失われることによって引き起こされる変異を原因として症状が生じる疾患
*10
https://www8.cao.go.jp/iryou/kanmin_kyogikai.html
*11 内閣府:創薬力の向上により国民に最新の医薬品を迅速に届けるための構想会議, 資料5 世界と日本の創薬の現状,
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/souyakuryoku/dai1/siryou5.pdf
*12 そのカテゴリーの医薬品の中で最初に認可された新薬のこと
■FRONTEO Drug Discovery AI Factory(DDAIF)について
URL:
https://lifescience.fronteo.com/products/drug-discovery-ai-factory/
「FRONTEO Drug Discovery AI Factory(DDAIF)」は、自然言語処理に特化したAI「KIBIT(キビット)」(日米特許取得済)と、FRONTEOの創薬研究者およびAIエンジニアの知見を融合したAI創薬支援サービスです。疾患関連遺伝子ネットワークの解析や、標的候補に関する仮説の構築を通じ、医薬品開発における研究者の意思決定を強力にサポートします。
本サービスはすでに複数の大手製薬企業で導入されており、実績を積み重ねています。
【参考:製薬企業との共創プロジェクト】
・ FRONTEOと日華化学、Drug Discovery AI Factoryを活用した 化粧品領域における新規標的探索を目的とする共創プロジェクトを開始,
https://www.fronteo.com/news/pr/20250805
・ FRONTEOとマルホ、Drug Discovery AI Factoryを活用した 皮膚科領域における創薬標的探索に関する共創プロジェクトを開始,
https://www.fronteo.com/news/pr/20250710
・ 富士製薬工業とFRONTEO、 女性医療領域における創薬シーズ評価に関する共創プロジェクトを開始,
https://www.fronteo.com/news/pr/20250709
・ メタジェンセラピューティクスとFRONTEO、世界的に注目されるマイクロバイオーム創薬の共同研究を開始,
https://www.fronteo.com/pr/20250630
・ FRONTEOと中外製薬、Drug Discovery AI Factoryを活用した標的探索に関する共創プロジェクトを開始,
https://www.fronteo.com/pr/20250515
・ EAファーマとFRONTEO、AIを活用した創薬の標的探索に関する共創プロジェクトを開始,
https://www.fronteo.com/pr/20250512
・ FRONTEOとエーザイ、Drug Discovery AI Factoryを活用した標的探索に関する共創プロジェクトを開始,
https://www.fronteo.com/pr/20250128
・ FRONTEOと丸石製薬、Drug Discovery AI Factoryを活用したバイオマーカー探索に関する共創プロジェクトを開始,
https://www.fronteo.com/pr/20250109
・ FRONTEOとUBE、Drug Discovery AI Factoryを活用したドラッグリポジショニングに関する共創プロジェクトを開始,
https://www.fronteo.com/pr/20241114
【参考:アカデミアとの共同研究プロジェクト】
・ FRONTEOと米国オクラホマ大学、 がん領域における創薬研究について共同研究を開始,
https://www.fronteo.com/news/pr/20250723_02
・ FRONTEOと東京科学大学、「Drug Discovery AI Factory」を活用した新たな創薬標的の探索に関する共同研究を開始,
https://www.fronteo.com/pr/20250513
・ FRONTEOと熊本大学、Drug Discovery AI Factoryを活用した新たながん治療法探索に関する共同研究を開始,
https://www.fronteo.com/pr/20250508
■株式会社FRONTEOについて URL:
https://www.fronteo.com/
FRONTEOは、自社開発の特化型AI「KIBIT(キビット)」の提供を通じて、日夜、社会課題と向き合う各分野の専門家の判断を支援し、イノベーションの起点を創造しています。当社独自の自然言語処理技術(日米欧特許取得)は、汎用型AIとは異なり、教師データの量およびコンピューティングパワーに依存することなく、高速かつ高精度での解析を可能にします。加えて、解析した情報をマップ化(構造を可視化)する特許技術を活用することで、「KIBIT」が専門家のインサイトにダイレクトに働きかけることができ、近年、KIBITの技術が創薬の仮説生成や標的探索にも生かされています。
[画像3:
https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/6776/659/6776-659-ddbdcf29bd83ea40eda0ec3dc2f3eab6-800x600.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
KIBITの独自技術およびアプローチを通じて、「記録に埋もれたリスクとチャンスを見逃さないソリューションを提供し、情報社会のフェアネスを実現する」理念の実現に向けて、
ライフサイエンスAI、リスクマネジメント(
コンプライアンス支援分野、
経済安全保障分野、
リーガルテックAI分野)、DX(
プロフェッショナル支援分野)の各事業で社会実装を推進しています。
2003年8月創業、2007年6月26日東証マザーズ(現:東証グロース)上場。日本、米国、韓国、台湾で事業を展開。第一種医療機器製造販売業許可取得、管理医療機器販売業届出。資本金資本金899,176千円(2025年3月31日時点)。
※Drug Discovery AI Factoryに使われている技術は、FRONTEOが日本および韓国、米国、欧州で 計21件の特許権を取得しています。
※FRONTEO、KIBIT、Drug Discovery AI FactoryはFRONTEOの日本および韓国、米国、欧州における商標または登録商標です。
プレスリリース提供:PR TIMES


記事提供:PRTimes