住宅関連制度の導入実態調査(2025年度)
株式会社エフアンドエム

株式会社エフアンドエムが運営する中小企業総合研究所によるレポート
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少子高齢化や都市部への人口集中が進行する中、企業にとって「住宅支援制度」の設計と運用は、単なる福利厚生にとどまらず、人材獲得や定着、さらには企業文化の形成に深く関わる戦略的な課題となっています。
とりわけ中小企業においては、限られた経営資源の中で従業員の生活実態に寄り添い、実効性と公平性を両立させた制度設計が求められています。
一方で、こうした制度の実態については「制度の有無」や「平均支給額」といった表面的なデータだけでは捉えきれない複雑な背景があるのも事実です。
本調査は、2025年5月1日~31日の期間において、エフアンドエムクラブ会員企業を対象に実施し、回答企業数は2,936社となりました。住宅手当や借り上げ社宅、保有社宅といった住宅支援制度の導入状況や制度設計、満足度、運用上の課題、将来的な見直し意向について、包括的な視点から明らかにすることを目的として実施いたしました。
以下調査事項に関しては、制度の導入状況から制度設計の中身、企業としての満足度・課題意識、そして今後の方針に至るまで、網羅的に設計された設問構成となっています。
1.調査結果
住宅関連制度は多くの企業で導入されているが、支給額や条件には地域・業種・企業規模ごとに大きな差があり、制度の活用度や納得感にも格差がみられる。
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制度に対する満足度は地方圏で概ね高い一方、都市部では二極化の傾向が見られた。関東では「不満足」の割合が多いのに対し、近畿では「不満足」の割合が全国的に見ても低く、地域ごとの事情や背景による温度差が明らかになった。
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自由記述では、「公平性や運用面で課題がある」「制度の活用状況に課題がある」「家賃高騰に伴い手当金額の見直しを求められている」「手間やコスト負担が大きい」といった声が一定数ある一方で、「制度を通じて採用活動を有利に活用したい」「他社動向や時代にあわせて再設計、見直しをしていきたい」といった前向きな意見も見られた。
2.まとめ
住宅手当や社宅制度などの住宅関連制度は、調査対象企業の多くがすでに何らかの形で導入していた。中でも最も多かったのは住宅手当(現金支給)であり、全体の24%が採用していた。中小・零細企業にとっても住宅関連制度の導入は少数派とは言えず、一般的になりつつある。
一方で、支給条件や補助内容、運用方針には大きなばらつきがあり、同じ「導入済」でもその中身や有効性には差が見られた。
住宅制度の内容や検討状況には、地域・業種・企業規模ごとの特徴が明確に現れている。特に企業規模による傾向が分かれ、101名以上の企業では制度は手厚いものの、従業員が不公平感を抱くケースも多く、他社比較や改善を視野に入れて再構築したいという声が目立った。一方、30名以下の小規模企業では、コストや人的負担がボトルネックとなっていた。
制度を運用するうえで多く挙げられたのが、家族構成や居住形態による不公平感である。単身者や持ち家世帯が対象外となるケースでは、納得感を得にくいとの声もあった。
また、「対象者・利用者が少ない」「長年制度を見直しておらず、時代に合っていない気がする」といった課題意識に加え、「手当金額の見直しを求められている」「通勤距離によっては住宅手当と通勤費が二重に発生している」「コスト負担が大きい」など、コスト面での課題も多く挙げられた。
こうした運用上の課題は、制度設計そのものだけでなく、企業側が従業員のニーズや状況を十分に把握しきれていないこと、また制度の存在や内容が従業員に十分に周知されていないことなど、制度運用に関する社内のコミュニケーションの不十分さも関係していると考えられる。
さらに、住宅関連制度に関する他社事例や相場・水準に関する情報(特に中小企業を対象にした調査データ)が限られていることも、制度の見直しや改善の議論を進めにくくしている要因となっている。
制度の在り方については、「画一的な手当」から「多様な働き方や時代に即した柔軟な制度設計」への関心が高まりつつある。
例えば、地域や属性ごとに家賃連動型と一律支給を組み合わせる方式、リモートワーク補助、借り上げ社宅への切り替えなど、支給方法や対象を柔軟に組み合わせる取り組みも広がり始めている。
あわせて、導入後の周知や従業員理解の促進、公平性を担保した運用など、“制度の使われ方”を見直す再設計力も求められている。
住宅関連制度は今後、人材定着や組織文化の醸成を支える戦略的施策として、さらに注目が高まるだろう。本レポートが、制度見直しを進める企業にとって有益な一助となれば幸いである。
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https://www.fmltd.co.jp/info_cat/chushouプレスリリース提供:PR TIMES





記事提供:PRTimes