アルファフュージョン、α線核医学治療薬 af-001による分化型甲状腺癌患者を対象とした新規企業主導治験の開始
アルファフュージョン株式会社
~放射性ヨウ素未治療の分化型甲状腺癌患者の新たな治療選択肢として実用化を目指す~
アルファフュージョン株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役CEO:藤岡 直、以下「当社」)は、[211At]NaAtを有効成分とするα線放出核医学治療薬「af-001」(以下、「本薬」)による分化型甲状腺癌(乳頭癌、濾胞癌)を対象とした企業主導治験(第I相試験、以下「本治験」)を開始したことをお知らせいたします。
本治験は、国立大学法人 大阪大学で実施された第I相医師主導治験の結果を基にデザインされ、IaとIbパートで構成されています。Iaパートでは、標準的治療に不応又は不耐の分化型甲状腺癌患者を対象に、本薬の単回静脈内投与による最大耐量(MTD)を決定することとし、Ibパートでは、放射性ヨウ素(RAI)未治療の分化型甲状腺癌患者を対象に、本薬の反復静脈内投与による有効性及び安全性を評価して、第II相試験での推奨用量を決定することを目的に実施されます。
Iaパートは国立研究開発法人 国立がん研究センター東病院(治験責任医師:頭頸部内科長 田原 信先生、以下「東病院」)で実施し、Ibパートは国内複数施設で実施する予定です。
本薬は今後、RAI未治療の分化型甲状腺癌(乳頭癌・濾胞癌)患者における承認取得に向けて臨床開発を進めていく計画です。今後の臨床試験において、当該患者における治療効果と安全性が確認できれば、次世代核医学治療薬および新規分化型甲状腺癌治療薬として、治療に貢献できるものと考えております。
本薬の治験薬GMP製造は、地方独立行政法人 神戸市民病院機構 神戸市立医療センター中央市民病院(所在地:兵庫県神戸市中央区、病院長:木原 康樹)との共同体制で実施しており、製造後速やかに東病院へ輸送します。
(参考:
既報リリース PR TIMES 2025年10月7日発表)
本治験の開始にあたり、アルファフュージョン株式会社 代表取締役CEOの藤岡 直は次のように述べています。「第I相医師主導治験の成果を基盤に、標準治療に不応又は不耐の患者層だけでなく、RAI未治療の患者層において安全性と有効性を確認することで、af-001のポテンシャルを最大限に引き出せると期待しています。アルファフュージョン社の総力を挙げてaf-001の臨床開発を進め、将来的には、エネルギーの強いα線による外来での治療をより多くの甲状腺がん患者様に提供することを目指していきます。加えてAt-211の各種パイプラインの研究開発を進めており、種々のがんに対する革新的な治療薬の創出に貢献してまいります。」
■ 背景
分化型甲状腺癌に対しては、放射性ヨウ素(RAI)を用いた内用療法が標準治療として行われています。しかし、多発転移症例やRAI取り込みが確認されても効果が不十分な症例では、複数回の治療が必要となる場合があります。
また、RAI治療は放射線防護のための遮蔽がなされた放射線治療病室での隔離入院が必要であり、患者の精神的負担および医療機関側のコスト負担が課題となっています。さらに国内調査によれば、治療までの平均待機期間は約3.7ヵ月、半年以上の待機を要する施設も全体の23%に達しています(甲状腺癌RI治療病室稼働状況実態調査報告, 2022)。
これらの課題を踏まえ、より効果的な腫瘍縮小効果を外来で実現できる可能性がある患者中心(Patient-Centric)の核医学治療薬が求められています。
■ At-211(af-001)について
af-001は、放射性アスタチン(At-211)を有効成分とする放射性医薬品であり、ナトリウムヨウ素共輸送体(NIS)を介して分化型甲状腺癌細胞に選択的に取り込まれ、α線放出による殺細胞効果を発揮します。
At-211はβ線よりも高いエネルギーを持つα線を放出し、がん細胞核内のDNA二重鎖切断を誘発することで腫瘍縮小を引き起こします。また、α線は飛程が数十μmと短く、正常組織への影響を最小限に抑えることが可能です。すなわちRAIを飛程の短いα線核種af-001に切り替えられれば外来治療が可能となることが想定されます。
 この特性により、af-001は治療効果と安全性の両立が期待される次世代核医学治療薬および分化型甲状腺癌治療薬として開発を進めています。
[画像: 
https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/91191/15/91191-15-06118c1b6f1ac99c8b04e39a3608c5db-602x219.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
α線核種アスタチン(At-211)を用いた核医学治療
■ 医師主導治験の成果と本企業治験の位置づけ
本治験に先立ち、af-001と同一成分である[211At]NaAt を用いた第I相医師主導治験(Alpha-T1試験)が国立大学法人 大阪大学にて、同大学講師 渡部 直史 研究責任医師により実施されました(NCT05275946)。
同試験では、標準治療抵抗性または継続困難な分化型甲状腺癌患者を対象に、安全性および忍容性が確認され、さらに腫瘍マーカーであるサイログロブリン値の50%以上の低下例およびイメージングによる131Iの取り込みの消失例も得られています。
(出典:
Watabe T. First-in-Human Study of [211At]NaAt as Targeted α-Therapy in Patients with Radioiodine-Refractory Thyroid Cancer (Alpha-T1 Trial). J Nucl Med. 2025 Sep 25)
 今回の企業治験では、RAI未治療の患者層を対象に、af-001(TAH-1005と同一成分[211At]NaAt)の有効性および安全性を検討し、第II相試験に向けた推奨用量の設定を目的としています。
■ アルファフュージョン株式会社について
アルファフュージョン株式会社は、放射性同位元素を活用した次世代核医学治療薬の研究開発を行うバイオ医薬企業です。
国内外の医療機関・研究機関との共同開発を通じ、がん治療における新たな治療オプションの創出を目指しています。
公式サイト:
https://alpha-fusion.com/
■ 本件に関するお問い合わせ先
 アルファフュージョン株式会社
お問い合わせフォーム:
https://alpha-fusion.com/contact/プレスリリース提供:PR TIMES
記事提供:PRTimes