11月23日からの医療安全週間を迎えるにあたり、共同開発先である横浜市立市民病院へ特許証をお渡し コロナ禍に開発 車椅子用アイソレーター
株式会社エーディエフ

中小企業のモノづくりが医療現場を支える―特許取得で実証された取り組み
アルミ製品の設計・製造・販売を行う株式会社エーディエフ(本社:大阪府大阪市西淀川区、代表取締役社長:島本敏)は、
横浜市立市民病院との共同開発により誕生した「車椅子用アイソレーター」について、このたび共同開発先である横浜市立市民病院へ特許証をお渡しいたしました。
※横浜市立市民病院(第一種感染症指定医療機関)は新型コロナウイルスの疑いがある患者を発生初期段階から受け入れている病院です。
当時、病院内での患者移送は、ビニールタイプの陰圧車椅子を使用していました。しかし、日に日に患者が増えて使用頻度が上がると、ビニールで囲うタイプの陰圧車椅子は破れてしまい、隔離状態を保てない問題が発生しました。そこで、アルミフレームと透明パネルを使用した車椅子用アイソレーター(陰圧ブース)をイチから作ることを考え、創業当初より様々な業界の課題を1台からオーダーメイドで手掛けてきた当社と共同開発する運びとなりました。
11月23日からの医療安全週間を迎えるにあたり、開発から特許取得までの軌跡と、その後の現場での変化を振り返ります。
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特許証を持つメンバー(左から、横浜市立市民病院 病院長 中澤様、岡本様、当社(株)エーディエフ代表島本)
感染者と非感染者を区分。ビニール製はすぐに破れ隔離機能が損なわれる
新型コロナウイルス患者を受け入れている医療機関や搬送を行う救急隊などでは、患者移送のため陰圧車椅子が多く使用されています。新型コロナウイルスの影響により、患者の受け入れを行っていた「横浜市立市民病院」も、陰圧車椅子を使用していました。
当初、使用していた陰圧車椅子は、ビニールカバー内に患者を乗せて隔離を行うため、体重でビニールカバーが引っ張られることで、破れが生じることが多く、隔離機能が損なわれていました。テープなどで補修しても、患者の乗降の際にビニールカバーが引っ張られて、再度破れてしまい問題となっていました。
隔離機能が損なわれやすく、安心して感染者と非感染者を区分できないことから、その他の患者や医療従事者への感染リスクが高まり、さらに、カバーがビニール製であるため、消毒を行う際にたわんでしまい拭きにくく、清掃箇所にもムラが出ることから時間がかかり負担となっていました。
また、着座する患者にとって、乗降の際に足元のビニールが障害となり、介助なしでの乗降が難しい状況でもありました。
れたビニールを交換したくても材料を入手しにくい時期であったことから、パネルを使用した製品を早急に用意する必要があり、共同開発することになりました。
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車椅子用アイソレーター(陰圧ブース)「あんくま(あんしんくるまいす)」
感染者にも医療従事者にも配慮した安心設計に
ビニール製からパネル製にすることにより、乗降の際に破れない仕様にしました。さらに、閉塞感・圧迫感のない透明パネルで、隔離部分を形成したため、広い空間を確保し車椅子に乗り込みしやすくなりました。
[画像3:
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手すり・点滴フック
●感染者に対する配慮
・車椅子内に、手すりを設置し体調不良でも乗降しやすい
・前面のシートが上部に開くことにより、広い乗り口を確保
・足元部分にステップがあることで、座ったあとに荷物を置くことが可能
・ステップの車輪は、荷重がかかるとロックがかかる特殊仕様で乗降時の安全性を確保
[画像4:
https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/59326/14/59326-14-8433a5c4f5ff0dfa4689144be7a39dad-841x1054.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
酸素ボンベの架台付きで安全に移動ができる
●医療従事者に対する配慮
・清掃・消毒の際、拭きやすい透明パネルを採用
・透明パネルにすることにより、視認性に優れており感染者の状況を確認しやすい
・ステップの設置により、移乗介助の負担を軽減し、感染者との接触回数を削減
・荷物を持ったまま乗れる広いスペースを確保し、荷物運搬の手間を削減
・酸素マスクを装着したまま乗降可能
・ブース内に手すりと点滴フックを設置し、介助の負担を軽減
仕様
サイズ:高さ180x幅73x奥行110cm
・連続稼働時間:約7時間(満充電時)
・換気回数:約1回/分(計算値)
・処理風量:約0.6㎥/分
・車椅子座幅/最大使用者体重
40cm/100kg・46cm/130kg の2種類
・ノーパンクタイヤ採用
・介助ブレーキ・酸素ボンベ架台付き
・天井面にHEPAフィルター付きファンを設置しバッテリー駆動で使用可能
・天井、後方、両サイドは、透明パネルで隔離壁を作り、
前面は厚手のビニールシートを上部から垂らしマジックテープで固定
ふき取り時間短縮と現場の声
●ふき取り時間について
横浜市立市民病院の感染管理認定看護師によるふき取り時間を計測した結果、
1分25秒短縮「車椅子用アイソレーター(陰圧ブース)」の方が1分25秒短縮されました。
※内側・外側全面(底面除く)、開閉部分含む
[画像5:
https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/59326/14/59326-14-96e45724f914ff80926f19d577a13dbf-810x717.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
ふき取り時間比較
●ふき取り時間 比較
パネル製:車椅子用アイソレーター(陰圧ブース)→5分03秒
ビニール製:陰圧車椅子→6分28秒
共同開発担当者の声
当初は、近隣のホームセンターでアルミ材を購入しなんとか車椅子用のカバーを製作したところ、病院内で好評で感染症の先生に増産を依頼されたのですが、コロナ禍で業務も増えており手が回らない状況でした。
そのような中、エーディエフさんのアルミフレームを知り、直接問い合わせたところ、コロナ禍であったにも関わらず病院まで見に来ていただけました。
コロナの感染リスクもある中、モノづくり企業の本気度を感じました。
その後、図面もなかった「あんくま」でしたが、実際に使用する看護師の意見も聞きながら設計し、合計3台を迅速に作ってくれました。
横浜市立市民病院の感染症病棟看護師の声
これまでは、患者さんを車椅子に乗せるのにも補助が必要で、体力的に大変で感染リスクも高まる状況でした。
「あんくま」はステップ台や手すりがついていたので、患者さんが自分で乗ることができ、大変助かりました。
困りごとに耳を傾け続けて 中小企業が医療現場の課題に応えたモノづくり
この度、共同開発した車椅子用アイソレーターが特許を取得できたことは、現場の声に向き合い続けた努力の証です。
当社は、困っているニーズに耳を傾け続け25年以上に渡り少しずつ規模を大きくしてきました。その結果、コロナ禍においては初の医療現場の困りごとに応えることができ、改めてモノづくりの大切さにも気づくことができました。
今後も、現場の方々とお互いに強い想いをもって、困りごとを解決する取り組みを続けてまいります。
また、常にアンテナを張り、時代の変化いち早く反応し進化していくことで、中小企業がさらに活躍できることを願っています。
プレスリリース提供:PR TIMES




記事提供:PRTimes