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自発的に剥がれて汚れを落とす「剥離除去技術」を開発

花王株式会社(ニュースリリース)

自発的に剥がれて汚れを落とす「剥離除去技術」を開発

有機溶剤を使わず粉じんも発生しない、簡便かつ低リスクな除去作業を実現


花王株式会社(社長・長谷部佳宏)バイオ・マテリアルサイエンス研究所は、古い塗装や汚れをより簡便に除去するため、自発的に剥がれるしくみを備えた剥離除去技術を開発しました。塗布して乾燥させるだけというシンプルな工程で除去が可能であり、さらに、有機溶剤を使用せず、粉じんが発生しないことから、幅広いシーンで安全性の向上と環境負荷の低減にも貢献します。

背景

ビルなど建物の外装を補修したり塗装を塗り替えたりする際には、まず対象となる表面から劣化したものを取り除く作業が必要です。建築現場では有機溶剤で溶かす方法や機械的に削り取る方法が用いられてきましたが、作業負荷も高く、有機溶剤や発生する粉じんは、作業者や環境への負担となっています。そこで花王は、強みである精密界面制御技術を活かし、より簡便かつ低リスクで作業できる新たな発想の除去方法の開発に取り組みました。

自発的に剥がれて汚れを落とす剥離除去技術の開発

花王は、粉じんなどが空気中に舞わないように膜に閉じ込めて剥がし取る剥離除去に着目。また、通常の除去作業は広範囲に及び多くの労力を必要とすることから、少ない力で簡単に剥がせるよう、塗膜が自発的に剥がれ落ちるしくみを持つ、これまでにない剥離除去技術をめざしました(図1)。
[画像1: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/70897/594/70897-594-0f333c7518b42ec4977da949c0762280-1454x319.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
図1. 新しい剥離除去技術のイメージ


塗膜を自己剥離させる鍵は“内部応力”です。内部応力とは、乾燥などによって塗膜が縮む際に生じる力のことで、塗膜と接着面を引き離す方向にはたらき、自己剥離を誘発します(図2)。

[画像2: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/70897/594/70897-594-48deadf3d9682fffef3d94c1af7f1d62-955x190.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
図2. 内部応力によって塗膜が剥がれるイメージ

花王は、内部応力の発生メカニズムを詳しく調べることで、接着面から自己剥離するための内部応力を意図的に発生させる素材の組み合わせを選定しました。一方、内部応力が高くなりすぎると、塗膜がその力に耐えられずに割れてしまいます。そのため、さらに特性の異なる複数の樹脂を組み合わせ、自己剥離性と塗膜強度が両立する配合を繰り返し検討し、独自の剥離除去技術を開発しました。

開発した剥離除去技術の性能

開発した剥離除去技術を用い、さまざまな素材に付着した汚れに対する性能を評価しました*1。その結果、鋼板のサビ(動画1)、ステンレス板の水性ペイント(動画2)を除去可能であることを確認。さらに、コンクリート表面では、表層を数十~数百μmの深さで除去できることもわかりました(動画3)。また、いずれの評価においても塗膜は対象物を閉じ込めて自己剥離しました。

*1 モデル汚れを作成し、剥離除去技術を用いた剤を塗布後約6時間乾燥(20~25℃/25~35%RH)

[動画1: https://www.youtube.com/watch?v=du0pGiiw8Us ]
動画1.サビの除去評価 

[動画2: https://www.youtube.com/watch?v=4k-DkxKLez4 ]
動画2.ペイントの除去評価

[動画3: https://www.youtube.com/watch?v=h7_52Wj24MY ]
動画3.コンクリート表層の除去評価

まとめ

花王が開発した剥離除去技術は、さまざまな素材に付着した汚れを除去できるだけでなく、塗膜が自ら剥がれるしくみにより、従来の除去方法と比べて作業負荷を大幅に軽減することが可能です。さらに、有機溶剤を使用せず粉じんも発生しないため、作業者と環境への配慮を両立した設計となっています。

今後は、ビル外装や船舶塗装の除去などへの実用化をめざすとともに、他分野への応用展開についても検討を進めていきます。

プレスリリース提供:PR TIMES

自発的に剥がれて汚れを落とす「剥離除去技術」を開発

記事提供:PRTimes

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