慶應義塾大学KMD研究所、新センター「フュージョンインダストリー研究センター」開設
慶應義塾大学 フュージョンインダストリー研究センター

- 社会を支え、人の暮らしを豊かにするフュージョンエネルギーに向けて -
慶應義塾大学メディアデザイン研究所(所在地:横浜市港北区、所長:稲蔭正彦)は、新たな研究センターである「フュージョンインダストリー研究センター」を開設し、12月1日よりその活動を開始しました。今後本研究センターは、社会を支え、人の暮らしを豊かにするフュージョン(核融合)エネルギーの実現に向け、学術と産業、政策、地域をつなぐ新たな研究活動に取り組みます。
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設立の背景
世界的なエネルギー転換の潮流の中で、フュージョンエネルギーは究極のクリーンエネルギーとして期待を集めています。しかし技術開発が加速する一方で、制度整備や市場設計、社会受容性の確立と行った「社会側の基盤整備」は十分に進んでいません。
こうした課題に応えるため、学術・産業・地域を横断する知を結集し、フュージョンの社会実装を共創することを目的として、本研究センターは設立されました。
センターの目的と概要
本研究センターは、産官学民で活躍する第一線の人材を結集することで、フュージョンエネルギーを技術のみならず経済学・公共政策学・倫理学などの観点から捉え、社会実装研究の拠点として今後の制度・政策・市場設計を主導することを目的としています。
フュージョンエネルギーを「人々の暮らしを豊かにする力」へ。当研究センターは、社会に根付いたフュージョンの未来を、産官学民と共に描きます。
当研究センターの研究活動は、以下の3領域です。
- フュージョン政策・戦略研究シンクタンク ー 全世界で進むフュージョンの開発競争において、核融合研究、産業化戦略、政策枠組み、投資動向を体系的に調査し、制度・政策・規制の課題を科学的根拠に基づき分析します。そのうえで、国・自治体・産業界に対し、透明性の高い政策提言を行い、持続可能なエネルギー転換を支えます。- 産業・自治体・市民共創プラットフォーム ― 産業界と学術界をつなぐ産学連携・マッチング、立地自治体や地域住民との協働関係の構築、市民対話や教育プログラム、共創型の企画・イベント運営などを通じ、社会に根ざしたフュージョンエネルギーの実装を進めます。- 実証・社会実装支援プログラム ― 早期発電実装とそれに続く社会実装に向け、規制・安全基準に関する支援に加え、商用化ロードマップの作成やビジネスモデルの検証を通じて社会実装を支援します。
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産学連携プロジェクト
当研究センターでは、各界から着任する15名のリサーチャーが各々の領域で学術研究を推進するのみならず、センター独自のイベント・教育プログラムを企画するとともに、一般社団法人フュージョンエネルギー産業協議会(J-Fusion)ならびに関西電力を始めとした各種業界団体・民間企業より委託された研究プロジェクトを実施しています。
フュージョン発電所のつくりかた:未来をデザインする3日間 [feat. J-Fusion]
当研究センターはJ-Fusionとの共催により、核融合の技術・産業・社会を横断的に学ぶ3日間の集中プログラム「フュージョン発電所のつくりかた:未来をデザインする3日間 」を2026年1月30日から2月1日にかけ慶應義塾大学で実施します。本プログラムは、講義・J-Fusion加盟企業見学・ハッカソンを組み合わせることで、「核融合発電所の社会実装」を多角的に体験し、自ら構想する力を育てることを目的としています。国内研究者やスタートアップによる講義に加え、J-Fusion修了証が授与される実践的な教育機会として、将来の核融合人材育成・エコシステム形成に寄与する取り組みです。
※本事業は2025年度核融合科学研究所スクーリング・ネットワーキング事業Fusion Science Schoolとして採択されたものです。
Starlight Engine株式会社・京都フュージョニアリング社との共同研究
当研究センターは、Starlight Engine株式会社および京都フュージョニアリング株式会社と共同で、フュージョンエネルギープラントの建設および運用が地域や産業にもたらす社会経済効果の推計と、フュージョンエネルギーの利用に関する社会受容性の調査・分析を行います。社会経済効果の推計では、世界貿易統計に基づく多国間産業連関分析の拡張により、フュージョンエネルギープラント建設による経済効果を明らかにします。
詳しくはこちら:
https://www.kmd.keio.ac.jp/ja/news/whats-new/2025/08/5200/
第42回プラズマ・核融合学会年会「核融合エネルギーの社会実装に向けて - 経済・倫理・産業からの展望」
2025年12月1-4日にかけて京都工芸繊維大学で開催される第42回プラズマ・核融合学会年会において、当研究センターのリサーチャーにより核融合エネルギーの社会実装を、政策界・学術界・産業界の立場から、経済・倫理・産業の取組と課題、展望について包括的に議論するシンポジウムを開催します。
一般社団法人フュージョンエネルギー産業協議会(J-Fusion)会長京都フュージョニアリング株式会社 会長兼CEO
小西 哲之様からのコメント
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フュージョン産業の発展への期待が高まる、フュージョン“インダストリー”という時宜を得た言葉を冠された研究センターの開設に心からのお慶び申し上げます。まさに、フュージョン産業にとって、これから必要となる産官学民の連携に向けたセンターの誕生と、生み出されるであろう幅広い成果や連携に強い期待を持っています。フュージョン“インダストリー”は新しい言葉ではありますが、既に大きな蓄積が産業界に存在します。フュージョンエネルギー産業協議会(J-Fusion)に加盟する多彩な企業群を始めとして、国内に存在している産業界が世界中の、また日本国内でのフュージョンエネルギーへの活動に向けて、センターとともに貢献をしていく未来を楽しみにしています。
アクセンチュア株式会社 ビジネス コンサルティング本部 ストラテジーグループ マネジング・ディレクター
渡辺様からのコメント
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この度、新たな学際的な研究拠点としてフュージョンインダストリー研究センターが設立される運びとなり、客員リサーチャーを代表して心よりお慶び申し上げます。
経済安全保障やクリーンな観点からエネルギーに革命を起こすという点に目が向きがちですが、より広くこの産業化や地域発展がもたらす力を捉え、「社会を支え、人の暮らしを豊かにするフュージョンへ」とする理念に深く共感しております。
この新たな拠点が、産官学領域・地域という横幅と世代という縦幅を広く連携し、その多様な才能と知恵を結集していく活動を生み出していくことに大きな期待を抱くとともに、一員として研究活動の発展に尽力します。
センター長 武田秀太郎 准教授からのコメント
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太陽の反応を地上で再現するフュージョンエネルギーは、クリーンで安全かつ事実上無尽蔵という特性を有する究極の脱炭素エネルギーです。世界最大のトカマク型超電導プラズマ実験装置JT-60SAの初プラズマ生成(2023年10月)、米NIFによる初の正味エネルギー利得の達成(2022年12月)など、人類はこの夢のエネルギー源の実現に近づいています。しかし、その実現には科学技術の進展と並行して、制度設計や市場形成、社会受容性の確立といった社会側の準備が不可欠です。フュージョンインダストリー研究センターは、学術知と政策・実務を結集し、フュージョンエネルギーを「社会を支え、人の暮らしを豊かにする力」へと育てる学術的中立機関です。フュージョンエネルギーがもたらす可能性は、脱炭素・エネルギー安全保障にとどまりません。産業構造の変革、地域経済の活性化、そして次世代への持続可能な社会基盤の継承といった、社会全体に多層的な価値をもたらします。私たちはフュージョンエネルギーを産業×社会の観点から捉え、科学的根拠に基づいた公平な分析と、産業界、自治体との透明性な対話を通じて、豊かなフュージョン未来社会を共創します。
お問い合わせ先
慶應義塾大学KMD研究所フュージョンインダストリー研究センター
住所 | 223-0061 神奈川県横浜市港北区日吉4-1-1 慶應義塾大学協生館6階
電話番号 | 045-564-2491
メールアドレス | firc@kmd.keio.ac.jp
プレスリリース提供:PR TIMES




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