【調査リリース】GX推進の陰で深刻化する老朽化設備──製造業の競争力を脅かす構造的課題~脱炭素目的の設備投資は2割にとどまり、更新判断に温度差~
八千代ソリューションズ株式会社

八千代ソリューションズ株式会社(本店:東京都台東区、代表取締役社長:水野 高志、以下「八千代ソリューションズ」)はこの度、全国の製造業の後工程(保全、生産技術、組立/加工、品質)従事者500名を対象に、「製造業における設備の老朽化の実態とGX推進状況に関する調査」を実施しました。
国がGX(グリーントランスフォーメーション)の推進を掲げ、CO2削減やエネルギー効率向上に向けた設備更新を後押しする中、製造現場では、老朽化設備の継続使用に伴う突発停止や保全コストの増加、品質リスクなど、生産の継続性に直結する課題が依然として顕在化しています。さらに、設備データの取得やエネルギー効率の可視化が進まないことで、GX関連の投資判断に必要な情報が不足している企業も少なくありません。
本調査では、こうした状況を踏まえ、GX投資の実態に加えて、「老朽化設備の使用状況」や「現場と経営層の認識ギャップ」など、製造現場が抱える構造的な課題を多面的に明らかにしました。
<調査概要>
- 調査対象:全国の製造業および鉄鋼業の後工程(保全、生産技術、組立/加工、品質)従事者(20歳から79歳までの男女)- 調査方法:インターネットリサーチ- 調査期間:2025年10月14日(火)~2025年10月17日(金)- 回答者:500名- 調査委託先:株式会社ネオマーケティング- ダウンロードリンク:
https://yachiyo-sol.com/library/researchreport202512/
<調査結果のサマリー>
- GX対応は2割にとどまり、現場課題が優先──取り組み停滞の構造が明確に- GX推進の前に立ちはだかる老朽設備という壁──現場が抱える根本課題- 設備更新をめぐる現場と経営の認識に10ポイント以上の乖離。意思決定を遅らせる構造的課題
<調査結果>
■GX対応は2割にとどまり、現場課題が優先──取り組み停滞の構造が明確に
GX推進法や関連する制度・政策に対する認識・対応状況を尋ねたところ、「取り組んでいる」と回答した企業は23.6%にとどまり、大半の企業で取り組みや検討が進んでいないことが明らかになりました。
[画像1:
https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/161767/43/161767-43-394cf3240fdd37adcce12fb0f4008565-868x325.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
Q. GXの推進法や関連する制度・政策について、あなたの勤務先の認識に最も近いものを教えてください。
対応を進める理由として、「エネルギーコスト削減」(49.2%)や「規制・法令への対応」(47.5%)があげられ、コスト構造の改善や制度対応が企業活動を後押ししていることがうかがえます。
一方で、GX対応が進まない、または検討が進みにくい理由として、「人員やスキルが不足している」(32.5%)、「現場での優先度が低い」(28.8%)、「予算や資金が不足している」(28.2%)が上位となり、現場の負荷やリソースの制約が取り組みを停滞させている実態が明らかになりました。
■GX推進の前に立ちはだかる老朽設備という壁──現場が抱える根本課題
脱炭素(CO2削減やエネルギー効率の改善)を目的とした設備更新計画については、「計画あり」が22.2%にとどまり、GXを目的とした設備更新が十分に進んでいない状況が明らかになりました。さらに、設備更新の社内優先度は「1年~数年以内に計画あり」(48.0%)と「優先度が低い・議論していない」(52.0%)が拮抗しており、企業によって更新判断のスタンスが大きく分かれていることも確認されました。
設備更新を優先する背景として最も多かったのは「生産能力の拡張・強化」(53.8%)でした。続いて「設備の故障・生産トラブルの増加」(44.6%)や「品質不良・歩留まり悪化への対応」(43.3%)があげられ、環境規制への対応よりも、老朽化設備の突発停止や品質課題など、日々の事業運営に直結するリスクへの対処が優先されている実態がうかがえます。
回答者へのインタビューの中では、エネルギー源をガスや石炭から電気やLNGに切り替えることによるコスト増加を懸念視する声も聞かれ、GXを目的とした設備投資が必ずしも収益性向上につながらないとの考えが企業の判断を慎重にしている可能性もうかがえました。
■設備更新をめぐり現場と経営の認識に10ポイント以上の乖離。意思決定を阻む構造的課題
さらに、設備更新の社内優先度が高まる背景を役職層別に確認すると、経営層の65.9%が「生産能力の拡張・強化」を重視しているのに対し、中間管理職層は52.8%と、13.1ポイントの乖離があることがわかりました。一方で「設備の故障・生産トラブル増」への課題意識は中間管理職層が58.3%と最も高く、経営層は47.7%、担当者層では35.5%にとどまり、役職間で認識に大きな幅があることがわかりました。
[画像2:
https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/161767/43/161767-43-1ad53434fecdb24ee6701ccc67b8442f-1066x351.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
Q. 設備更新の優先度が高い背景として、当てはまるものをすべて教えてください。
この結果から、投資判断のポイントは役職層によって大きく異なっている状況がうかがえます。現場と経営をつなぐ中間管理職層では突発停止や品質に直結する“足元のリスク”を重視し、経営層は中長期的な生産能力の強化を優先する傾向がみられます。この認識の乖離は、現場と経営が同じ情報基盤や共通言語を持たずに議論していることに起因する可能性があり、結果として設備更新の意思決定が後ろ倒しになりやすい構造的課題を生んでいると考えられます。
<考察>
本調査結果を受け、弊社代表取締役社長の水野は次のように述べています。
「老朽化設備の運用や突発停止は、企業の生産性や安全性に直結する重要な課題でありながら、その実態が経営層と十分に共有されていないケースが少なくありません。背景には、設備状態に関するデータが収集されていても、意思決定に必要な情報として整理・可視化がなされておらず、現場と経営で認識が揃わない構造があります。適切なデータがなければ、設備更新や投資判断の精度が損なわれ、結果として企業の競争力やGX対応の確実性にも影響を及ぼしかねません。
設備の状態を可視化し、現場と経営が“共通言語となる情報”を基に判断できる環境を整えることが、適切な設備更新や投資判断につながります。データにもとづくアセットマネジメントを実現することで、生産や環境対応の課題に迅速に向き合い、企業の競争力向上に寄与できると確信しています。」
※調査の詳細は以下よりダウンロードいただけます。
ダウンロードリンク:
https://yachiyo-sol.com/library/researchreport202512/
八千代ソリューションズ株式会社
八千代ソリューションズ株式会社は、親会社である八千代エンジニヤリング株式会社が60年以上培ってきた知識や経験を活用し、持続可能な地域社会の形成と企業の長期的な成長を実現するために設立された民間向け事業会社です。弊社はお客さまの一番のパートナーとしてDXを展開し、実践するソリューションを開発し、データを資産とみなしたサービスとして提供します。また、お客さまの期待を超えるサービスを目指して継続的にその品質を磨き続けることで、お客さまの意思決定の質や生産性の向上に貢献します。その第一弾の取り組みとして、クラウド設備管理システム「MENTENA(メンテナ)」を親会社から包括承継し、主たるサービスとして展開します。
会社名:八千代ソリューションズ株式会社
所在地:東京都台東区浅草橋5-20-8
代表者:代表取締役社長 水野 高志
Webサイト:
https://yachiyo-sol.com/
クラウド設備管理システム「MENTENA」
URL:
https://mentena.biz/プレスリリース提供:PR TIMES

記事提供:PRTimes