「年齢制限だけでは子どもを守れない」 子ども向けソーシャルメディア禁止措置 ユニセフが声明を発表 【プレスリリース】
公益財団法人日本ユニセフ協会

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スマートフォンを操作する女の子。オンラインの世界は、無限の可能性がある一方で、いじめなどに巻き込まれるリスク等もある(エチオピア、2024年5月10日撮影) (C) UNICEF/UNI574653/Pouget
【2025年12月9日 ニューヨーク発】
世界各国で、ソーシャルメディア利用の“若すぎる”年齢に関する議論が進んでいます。一部の国では、さまざまなソーシャルメディア・プラットフォームへのアクセスに年齢制限を導入する動きも出始めています。これを受けて、ユニセフ(国連児童基金)は、安全で包摂的かつ子どもの権利を尊重するデジタル環境を構築するよう呼び掛ける声明を発表しました。
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子どもたちはネット上でいじめや搾取に直面し、有害なコンテンツにさらされ、精神的な健康やウェルビーイングに悪影響を受けています。子どもたちをこうした状況に置き去りにし、家庭に手に負えない負担を押し付けているデジタル世界の現状に鑑みれば、各国の規制の動きは、真摯な懸念の表れです。
ユニセフは、オンラインでの子どもの安全への取り組みが拡大していることを歓迎します。しかし、ソーシャルメディアの禁止にはリスクが伴い、逆効果になる可能性さえあります。
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自宅のリビングで、スマートフォンを使って遊ぶ男の子。戦争下で停電が続くなかでも、こうした何気ない日常を保つことが子どもにとってとても重要である(ウクライナ、2025年11月6日撮影) (C) UNICEF/UNI910352/Kruchkova
ソーシャルメディアはぜいたく品ではありません。多くの子ども、特に孤独感や疎外感を抱いている子どもたちにとっては、学びや他者との交流、遊び、自己表現への手段を提供する命綱です。さらに、多くの子どもや若者たちは、規制の迂回手段や端末の共有、規制の緩いプラットフォームに移行することでソーシャルメディアにアクセスし続けるでしょう。結果的に子どもや若者たちを守ることは一層困難になるのです。
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カフェでスマートフォンの画面を見つめる10代の若者たち(ドミニカ共和国、2023年6月19日撮影) (C) UNICEF/UNI512394/Schear - Highway Child
年齢制限は、子どもを危害から守り、プライバシーと参加の権利を尊重し、規制のない安全性の低い空間へ追いやらないよう配慮した包括的な取り組みの一環として、実施されなければなりません。規制は、プラットフォームが子どもの安全対策に投資する代わりとなるべきではありません。年齢制限を導入する法律は、プラットフォームの設計やコンテンツモデレーション(投稿の管理)を改善する企業の責務を代替する手段ではありません。
ユニセフは、政府、規制当局、企業に対し、子どもたちや家庭と連携し、安全で包摂的かつ子どもの権利を尊重するデジタル環境を構築するよう呼び掛けます。これには以下が含まれます。
- 政府は、年齢に関連する法律や規制が、企業がより安全なプラットフォーム設計や効果的なコンテンツモデレーションに投資する義務に取って代わらないようにしなくてはなりません。また、企業が子どもの権利への悪影響を積極的に特定し、対処する責任を負うよう義務付けるべきです。- ソーシャルメディアおよびテクノロジー企業は、子どもの安全とウェルビーイングを中心に据え、製品やサービスの設計を見直さなければなりません。安全なプラットフォーム設計と効果的なコンテンツモデレーションへの投資、権利を尊重する年齢確認ツールの開発、そしてより年齢の低いユーザーには発達段階に適した安全な環境を提供するといった、他の年齢層とは異なる体験の提供が求められます。子どもたちを守るためのこれらの措置は、規制や保護措置の実施能力が低い脆弱な国や紛争等の影響を受けている国を含む、あらゆる状況の中で適用されなければなりません。- 規制当局は、子どもがオンラインで被る危害を効果的に防止・軽減するための体系的な措置を講じなければなりません。- 市民社会および関係団体は、ソーシャルメディアの利用年齢制限に関する議論において、子どもや若者、保護者、養育者の声と実体験を強く発信していかなければなりません。デジタル時代の中で子どもたちを守る最善の策に関する意思決定は、子どもたち自身から得られた証拠を含む、質の高い証拠に基づくことが必要です。- 保護者や養育者のデジタルリテラシーの向上も支援されるべきです。保護者や養育者は、重要な役割を担っているにもかかわらず、オンラインで子どもを守ることに関しては、設計に関与していないプラットフォームを監視したり、見えないアルゴリズムを管理したり、24時間体制で数十ものアプリを管理することなど、不可能な役割を求められているのが現状です。
ユニセフは、法律や規制、企業の技術設計が、子どもの意見、ニーズ、権利を反映するよう、子ども、若者、家族のための活動を継続することを約束します。デジタル時代において、すべての子どもが、安全に学び、つながり、成長できるよう、各国の政府や企業、市民社会とさらに連携する用意があります。
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■ 注記
ユニセフの政策ノート「デジタル空間に境界線を引く(Drawing a Line in Digital Spaces)」(英語)は、以下をご覧ください。
https://www.unicef.org/documents/policy-note-drawing-line-digital-spaces
ユニセフのレポート「デジタル世界に生きる子どもたち(Childhood in a digital world)」(英語)は、以下をご覧ください。
https://www.unicef.org/innocenti/reports/childhood-digital-world
ユニセフが新たに発表した「子どものためのAIに関する指針(Guidance on AI for children)」(英語)は、以下をご覧ください。
https://www.unicef.org/innocenti/reports/policy-guidance-ai-children
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■ ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念をさまざまな形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています。(
https://www.unicef.org ) ※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する32の国と地域を含みます
■ 日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、32の先進国・地域にあるユニセフ国内委員会の一つで、日本国内において民間で唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、アドボカシーを担っています。(
https://www.unicef.or.jp )
プレスリリース提供:PR TIMES


記事提供:PRTimes