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マンダム、レブリン酸による毛髪補修メカニズムを解明

(株)マンダム

マンダム、レブリン酸による毛髪補修メカニズムを解明

~レブリン酸が叶える熱ダメージケア~


株式会社マンダム(本社:大阪市 社長執行役員:西村健 以下マンダム)は、「人間系」企業として、生活者が喜び、心躍らせ、笑顔になっていただける「新たな価値づくり」を目指しています。生活者の日常的なヘアケアにおける課題解決を目指し、より良いケア実感を提供するヘアケア製品の開発に取り組んでいます。
今回、ヘアアイロンなどの熱により毛髪の内部構造が変化し、毛髪の破断強度が低下することが分かりました。こうした課題に対し、髪質改善や毛髪補修成分として酸熱トリートメントなどのヘアケア製品に使用されているレブリン酸は、まとまりのよい仕上がりを実現する成分として知られています。今回、その仕上がりの背景にある毛髪内部での変化を明らかにするため、評価を行いました。その結果、レブリン酸が毛髪内部構造に影響し、毛髪破断強度が上昇することで、高温のヘアアイロン処理による熱ダメージを効果的に低減できることが分かりました。
加えて、レブリン酸を毛髪などに浸透させる効果が期待できるイオン液体(オレイン酸、トロメタミンからなる複合塩)※1を併用することで、レブリン酸の毛髪への浸透量および吸着量がさらに増加することがわかりました。
これらの研究成果は、2025年10月27~28日の繊維学会秋季研究発表会にて発表しました。

■研究の背景
ヘアアイロンは、日々のヘアケア・ヘアスタイリングにおいて広く使用されるアイテムとなっています※2。
しかし、ヘアアイロンは高温で髪に触れるため、日常的に使用すると切れ毛などのヘアダメージにつながると考えられています。そのため、生活者からは熱ダメージ抑制効果の高い成分が配合されたヘアケア剤が求められています。
髪質改善や毛髪補修成分としてヘアケアに使用されているレブリン酸は、高い質感改善効果が確認されていますが、その作用機序については明らかになっていませんでした。そこで、ヘアアイロンなどの熱器具使用下におけるレブリン酸の毛髪への作用を明らかにすることを目的として評価を行いました。さらにレブリン酸の毛髪への浸透、吸着を一層高めることを目的としてイオン液体の併用を検討しました。

1.ヘアアイロンの使用により、毛髪内部に熱ダメージを与え、毛髪が切れやすくなる
化学処理履歴のない黒髪に対し、ヘアアイロンを使用した場合と、使用していない場合について毛髪破断強度と毛髪内部の構造変化を確認しました。
 まず、毛髪の破断強度について確認したところ、ヘアアイロンを使用した毛髪では使用していない毛髪に比べ、破断強度が有意に低下していることが分かりました(図1)。
次に、DSC測定(示差走査熱量測定)※3による、毛髪内部の構造が変化/崩壊する温度帯(変性温度)を確認したところ、ヘアアイロンを使用した毛髪では、変性温度が低下していることが分かりました(図2)。このDSC測定における変性温度の低下は、毛髪内部の架橋密度が低下することを示唆しています。
したがって、ヘアアイロンの使用(熱処理)によって変性温度の低下すなわち毛髪内部の架橋密度※4が低下することで内部構造が緩み、結果として毛髪破断強度が低下して毛髪が切れやすくなると考えられます。
[画像1: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/6496/1071/6496-1071-240b01e26e83b60fa60b349512cfd3a0-1046x706.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]

[画像2: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/6496/1071/6496-1071-1c2e3365b55925593f1916b23ae6cc6b-947x793.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]



2.レブリン酸は毛髪内部に浸透し、毛髪内部構造の熱安定性を向上させる
レブリン酸の毛髪への作用を明らかにするために、まずレブリン酸の毛髪への浸透状態を確認しました。ブリーチを施した毛髪に重水素で目印を付けたレブリン酸を処理し、TOF-SIMS測定※5を行った結果、レブリン酸は毛髪内部全体に浸透していることが確認できました(図3)。
次に、レブリン酸を処理した毛髪と未処理の毛髪についてDSC測定を行いました。その結果、レブリン酸を処理した毛髪では、変性温度が高くなることが確認できました(図4)。これは、レブリン酸が毛髪内部に浸透することで架橋密度が高まり、毛髪内部の組織間の接着性が向上し、熱に強い状態に変化したためと考えられます。
[画像3: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/6496/1071/6496-1071-17ca779b9e112ca9d0be02ce347e4ef3-1036x889.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]

[画像4: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/6496/1071/6496-1071-911aef5a5460ebd8fe27f68bac0258a7-907x747.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]



さらに、ブリーチ毛に対し、「ヘアアイロン処理」、「レブリン酸処理後にヘアアイロン処理」した毛髪の毛髪破断強度を比較しました(図5)。「レブリン酸処理後にヘアアイロン処理」した毛髪は、「ヘアアイロン処理」した毛髪と比較して毛髪破断強度が上昇することが分かりました。

[画像5: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/6496/1071/6496-1071-387df36e43e97caf8584ab976dcd527c-1062x709.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]


以上の結果から、レブリン酸はダメージのある毛髪内部に浸透して、内部構造の架橋密度を高めることで熱に強い状態に毛髪を変化させると考えられます。これにより、熱ダメージによる切れ毛を防ぐ効果が期待できます(図6)。

[画像6: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/6496/1071/6496-1071-e1701455783230126205a93c5936d82d-1298x690.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]



3.イオン液体の添加でレブリン酸の毛髪への浸透・吸着が促進される
通常の塩(例えば塩化ナトリウム)は固体であるのに対し、有機アニオン塩と有機カチオン塩からなる有機塩でかつ常温でも液状のイオン液体は、毛髪になじみやすく、水と異なり揮発しにくいことから、毛髪内部に浸透しやすいと考えました。また、このイオン液体は有機酸であるレブリン酸を溶解しやすく、レブリン酸をより深く毛髪内部へ運びこむような働きがあることを期待しました。
今回ブリーチ毛を、レブリン酸のみをエタノールに溶解した溶液A、レブリン酸とイオン液体(オレイン酸とトロメタミンからなる複合塩)をエタノールに溶解した溶液Bにそれぞれ15分浸漬し、その後水洗いして風乾しました。その毛束を刻み、超音波でレブリン酸を抽出しHPLC※6で定量測定しました。
[画像7: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/6496/1071/6496-1071-0036912259c025de17fecedb378032fd-1008x692.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]



その結果、イオン液体を併用した場合、レブリン酸の毛髪への浸透量・吸着量がレブリン酸のみに比べて1.4倍増加していることが確認されました(図7)。これにより、イオン液体の吸着・浸透促進効果が示されました。

マンダムは今後も、生活者のウォンツに応えるより良い製品づくりを目指し、研究を推進してまいります。

以上

注釈および用語解説
※1 イオン液体技術応用原料 LIQUBELLE 2C:ミヨシ油脂(株)社製を使用
※2 ヘアアイロンの使用頻度に関する調査
「マンダム調べ、2022年11月、20代女性/4193人;毎日使用61%、週1回以上使用90%」
※3 基準物質と測定試料に一定の熱を与えながら、基準物質と試料の温度を測定して、試料の熱物性を温度差として捉え、試料の状態変化による吸熱反応や発熱反応を測定する手法
昇温速度10℃/minにて測定。図2,4の縦軸は、熱量。
※4 高分子(ポリマーなど)材料の中で、分子同士が結びつく「架橋」の数や密集度を示す指標。密度が高いほど結びつきが強固になり、硬さや耐久性が向上する。
※5 試料表面へのイオンビーム照射によって放出された二次イオンを飛行時間により質量分離を行う表面分析手法
※6 高速液体クロマトグラフィー

プレスリリース提供:PR TIMES

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記事提供:PRTimes

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