「プロジェクト未来遺産2025」に5プロジェクトの登録が決定! ~地域の“たからもの”を100年後の子どもたちへ~
公益社団法人 日本ユネスコ協会連盟

公益社団法人日本ユネスコ協会連盟(東京都渋谷区、会長:佐藤美樹)は、地域の文化・自然遺産の継承に取り組む市民の活動を登録する「プロジェクト未来遺産2025」を5プロジェクトに決定いたしました。本事業は、日本の豊かな文化や自然を100年後の子どもたちに伝えていくことを目指す「未来遺産運動」として行っています。
15回目となる本年度は、全国から33件の応募があり、未来遺産委員会(委員長:西村幸夫/國學院大學観光まちづくり学部学部長)での最終選考を経て、以下5件が登録されることとなりました。来年1月以降に、各登録地において登録証伝達式を開催する予定です。
【プロジェクト未来遺産2025】 登録プロジェクト ※都道府県順
1. 盲目の女旅芸人「瞽女」の歴史文化の発信と雁木町家の保全
NPO法人高田瞽女の文化を保存・発信する会(新潟県上越市)
2. 赤沼の獅子舞を未来へ 農村の文化芸能を伝える繋げる
赤沼民俗文化財保存会(埼玉県春日部市)
3. 村の伝統を未来へつなぐ 大鹿歌舞伎の保存と継承
大鹿歌舞伎保存会(長野県下伊那郡大鹿村)
4. 日本遺産/国指定天然記念物「琴ヶ浜」鳴砂の保護・保全活動
馬路おこし会(島根県大田市)
5. 土江子ども神楽復活プロジェクト
土江子ども神楽団(島根県大田市)
2009年の開始以降、現在までの「プロジェクト未来遺産」登録数は全国41都道府県で計92件となりました。
新たに登録が決定した5件を含む全プロジェクトの詳細は、未来遺産運動のホームページでご覧いただけます。
<未来遺産運動ウェブサイト>
https://www.unesco.or.jp/activities/isan/heritage-for-the-future-project/future-project/
■「プロジェクト未来遺産2025」登録プロジェクト紹介 (都道府県順)
1. 盲目の女旅芸人「瞽女」の歴史文化の発信と雁木町家の保全
【NPO法人高田瞽女の文化を保存・発信する会】(新潟県上越市)
「瞽女(ごぜ)」とは、三味線や唄を披露して各地を巡りながら生計を立てていた盲目の女性たちのことで、全国に存在が確認されている。「高田瞽女」は、幼児期に親方の元に弟子入りし、厳しい掟のもとで年間300日以上、上越から信州の村々を巡業していた。瞽女の来訪は、農村の娯楽の一つとして歓迎されたと言われている。NPO法人高田瞽女の文化を保存・発信する会では、高田瞽女も暮らしていた雁木町家と同じ構造の町家を保存・活用し、瞽女の暮らしを追体験できる「瞽女ミュージアム高田」を開設した。斎藤真一作品の「越後瞽女」や、触覚や聴覚を用いたユニバーサルな展示を行うほか、瞽女唄の演奏会やゆかりの地を巡るバスツアー等を開催し、高田瞽女の歴史・文化の発信を行っている。
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2. 赤沼の獅子舞を未来へ 農村の文化芸能を伝える繋げる
【赤沼民俗文化財保存会】(埼玉県春日部市)
赤沼獅子舞(春日部市無形民俗文化財)は、一人立三頭獅子で、獅子舞と神楽が共存する。豊作や無病息災を祈願して、春と秋の例大祭で奉納されてきた。昭和36年(1961年)頃に、担い手不足により一時中断したものの、赤沼民俗文化財保存会が中心となり、かつての担い手とともに昭和61(1991)年頃に復活させた。復活の過程で、女性や子どもたちの参加を集い、平成10年(1998)頃から開始した「子ども獅子舞」では、子どもたちだけで獅子舞を披露し、小学生を中心に10名の子どもたちが活躍している。また、若手の女性の舞手も誕生し、新しい形で伝承が進められている。
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3. 村の伝統を未来へつなぐ 大鹿歌舞伎の保存と継承
【大鹿歌舞伎保存会】(長野県下伊那郡大鹿村)
大鹿歌舞伎(国重要無形民俗文化財)は、江戸時代に旅回りの一座によって大鹿村に伝えられた。素人による歌舞伎上演が禁じられる中、神社への奉納芝居として村の人たちの娯楽として伝承されてきた。大鹿村のみに伝えられた演目や演出が見られ、芸能史の観点からも重要な地芝居である。大鹿歌舞伎保存会では、春と秋の定期公演の上演のほか、村内の小中学校において歌舞伎の伝承を進め、特に、中学校では50年前に歌舞伎クラブを立ち上げ、子どもたちへの継承に取り組み、卒業生から多くの伝承者を輩出している。役者、太夫、舞台、着付等の技術や大道具や衣裳、かつら等を自前で保有し、村をあげて継承する体制が整えられている。
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4. 日本遺産/国指定天然記念物「琴ヶ浜」鳴砂の保護・保全活動
【馬路おこし会】(島根県大田市)
「鳴砂(なりすな)」は、歩くと音が鳴る砂のことで、琴ヶ浜は日本有数の鳴砂浜の一つとして国の天然記念物に指定されている。石英粒を多く含み、外から力が加わると粒子同士が擦り合うことで音が鳴ると言われている。汚れが付着すると鳴らなくなるため、長年にわたる住民たちの清掃活動によって砂浜は綺麗な状態が維持されてきたが、過疎高齢化が進む中、馬路地区の14自治会を統合した自主運営組織として、琴ヶ浜の保全の中心的な役割を担う馬路おこし会が発足した。同会は、積極的に地域内外の学校や企業、団体等の参加を集い、砂浜と周辺河川のマイクロプラスティックの除去やゴミ拾い等の定期的な清掃活動を進め、琴ヶ浜の保全を主軸とした地域振興を目指している。
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5. 土江子ども神楽復活プロジェクト
【土江子ども神楽団】(島根県大田市)
土江地区に伝わる約300年以上の歴史があるとされる子ども神楽。歳神が祀られた仮の社に集う「仮屋行事」という大田地方の正月行事の中で、集落の子どもたちが大人たちに成長する姿を披露するために舞われていた。少子化の影響で平成7年(1995年)に一度途絶えたが、復活を望む声に応えて平成12年(2000年)に再興した。土江子ども神楽団では、仮屋行事での披露のほか、市内各地で年間60回を超える公演を行っている。現在、小学1年生から中学3年生までの約40人が所属し、子どもたち自らが舞・奏楽・神楽団の運営を担っている。大人の神楽を参考に新しい演目や振り付けを考え、上級生が下級生の指導を行い、子どもたちによる継承が進められている。
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■未来遺産委員会 委員長 総評
今年度に応募のあったプロジェクトは、全体として、身近な文化や自然環境を守るだけでなく、地域振興を視野に入れた素晴らしい取り組みが多い印象でした。最終的に選ばれた5プロジェクトは、少子高齢化に直面する中で、いかに地域の文化・自然資源を維持し、継承していくかという創意工夫が詰まったモデル性の高い活動でした。地域の歴史と風土の中で育まれてきた文化や自然を守り、伝承するということが、地域コミュニティの結束力を強固にすると改めて教えてくれる「プロジェクト未来遺産」が選ばれたと思います。
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未来遺産委員会 委員長 西村 幸夫(國學院大學 観光まちづくり学部 学部長)
■未来遺産委員 (2025年12月現在) ※五十音順、敬称略
西村 幸夫 (委員長) 國學院大學 観光まちづくり学部 学部長
川内 康典 住友ゴム工業株式会社 総務部総務グループ 課長
木村 法雄 東日本旅鉄道株式会社 常務執行役員
齊藤 裕嗣 独立行政法人日本芸術文化振興会 企画部プログラムディレクター
酒井 暁子 横浜国立大学大学院 環境情報研究院 教授
佐藤 桂 武蔵野大学 工学部 建築デザイン学科 准教授
鈴木 佑司 公益社団法人日本ユネスコ協会連盟 理事長
高橋 俊雄 日本放送協会 解説委員
竹原 興 読売新聞東京本社 編集局 局次長兼社会部長
西山 厚 帝塚山大学 客員教授
西山 徳明 北海道大学 観光学高等研究センター 教授
八木 信行 東京大学大学院 農学生命科学研究科 教授
矢野 和之 株式会社文化財保存計画協会 代表取締役
■「未来遺産運動」について
日本の豊かな文化や自然を100年後の子どもたちに伝えていくことを目指し、2009年から行っている「未来遺産運動」は、地域の“たからもの”を未来の子どもたちに伝えたいという想いのもと、未来へと継承していくための地道な努力を続ける “人”と“活動”に光をあて、応援するものです。
市民による草の根の活動を「プロジェクト未来遺産」として登録することで、次世代を含む個人や企業、行政による理解と協力や、さまざまなつながりを生みだし、さらには日本全国に運動の輪を広げていくことを目指しています。
~未来遺産運動は、以下の企業などにご協力いただいています。~
〇特別協力:東日本旅客鉄道株式会社、住友ゴム工業株式会社
〇後援:読売新聞社、環境省、文化庁、日本ユネスコ国内委員会
<お問い合わせ先>
公益社団法人日本ユネスコ協会連盟 未来遺産運動事務局
電話:03-5424-1121(問い合わせ時間:平日9:30~16:00) E-MAIL:mirai@unesco.or.jp
■公益社団法人 日本ユネスコ協会連盟について
公益社団法人 日本ユネスコ協会連盟は、UNESCO(国際連合教育科学文化機関)憲章の理念にもとづ き、国際平和と人類共通の福祉の実現を目指して活動しています。全国266のユネスコ協会・クラブと ともに、国内外での教育の普及や、文化や自然を保全・継承する活動を推進しています。
名称:公益社団法人 日本ユネスコ協会連盟
会長:佐藤美樹
理事長:鈴木佑司
設立:1948年5月1日
所在地:〒150-0013 東京都渋谷区恵比寿1-3-1朝日生命恵比寿ビル12階
TEL:03-5424-1121
FAX:03-5424-1126
E-mail:nfuaj_web@unesco.or.jp
URL:
https://www.unesco.or.jp/プレスリリース提供:PR TIMES





記事提供:PRTimes