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5か国国際調査:計算力と計算に対する意識の男女差

公益財団法人スプリックス教育財団

5か国国際調査:計算力と計算に対する意識の男女差

スプリックス教育財団 基礎学力と学習の意識に関する保護者・子ども国際調査2025


                                       2026年1月28日

 概要

公益財団法人 スプリックス教育財団(本部:東京都渋谷区/代表理事:常石 博之)は、基礎学力に対する意識の現状を把握することを目的に、「基礎学力と学習の意識に関する保護者・子ども国際調査2025」を実施しました。本報告では、算数・数学の基本となる計算力や計算に対する意識(好きや自信)に関して男女差があるのかを、5か国(アメリカ、イギリス、フランス、南アフリカ、中国)を対象に調べました。調査結果のポイントは以下の通りです。
調査結果のポイント

(1) 計算テストの結果:調査対象10グループ中8グループで男女差なし
調査を行った5か国・2学年(計10グループ)のうち、イギリスの小学4年生、フランスの中学2年生を除く8グループにおいて、計算テストの正答率に統計的な有意差は確認されませんでした。

(2) 「実力」と「意識」のギャップ:計算力は同等でも意識に差があるケースが存在
全10グループのうち、6グループでは計算の正答率・意識ともに男女差がありませんでした。しかし、残るグループでは多様な傾向が見られました。例えば、アメリカ(小4)と中国(中2)では、正答率に差はないものの、男子の方が「計算が好き」といった意識が有意に高いことがわかりました。

(3) 国際調査(TIMSS)と異なり、南アフリカでは計算力に男女差なし
TIMSS(国際数学・理科教育動向調査)では、南アフリカの算数・数学スコアは低水準にあり、かつ女子の成績が良い傾向にあります。一方、本調査では実施した計算テストの正答率に男女差はなく、スコアも他国と同水準でした。これは、本調査が「留年を経験していない」「デジタル環境の整った家庭」などの比較的優秀な層に対象を絞ったためと考えられます。

 調査の背景

現在、世界中で科学・技術・工学・数学を指すSTEM(ステム)分野の教育が重要視されています。しかし、この分野における男女差(ジェンダーギャップ)の解消は大きな課題となっており、その格差がいつ、どのように生じるのか、世界各国で調査研究が進められています。

TIMSS(国際数学・理科教育動向調査)などの大規模調査では、イギリス(イングランド)などで見られる数学スコアの男女差の背景に、子どもたちの『自信』の差が影響している可能性が指摘されています。これに対して本調査では、算数・数学学習の入り口である「計算」という特定の分野に焦点を当てました。算数全体で見られるような傾向が、計算の段階でも同様に起きているのか。あるいは、計算の段階ではまだ差がないのか。この特定の領域における実力(テストの正答率)と意識(好き・自信)の関係を分析することで、男女差の実態をより詳細に把握することを目指しました。

 調査方法

[表: https://prtimes.jp/data/corp/152428/table/17_1_33d41ae3354cae524366270f20c67b5e.jpg?v=202601291215 ]
留意事項
・ 家庭環境による影響が男女差の結果に偏りを与えないよう、調査サンプルの世帯収入の分布については、男女間でほぼ一致するように調整を行っています。
・ 本リリースに関する内容をご掲載の際は、必ず「スプリックス教育財団調べ」と明記してください。

 調査結果

(1) 計算テストの結果:調査対象10グループ中8グループで男女差なし
計算力について性別の違いがあるのかを、計算テストを実施して検証しました。図1(a)および(b)は、5か国における小学4年生と中学2年生の平均正答率を、男女別に示したものです。

[画像1: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/152428/17/152428-17-984bc4293224c9256e66f55620ffbdac-2621x976.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
図1. 計算テストの平均正答率と男女の点数差 [(a)小学4年生/ (b)中学2年生]。図下の数値は「男子の正答率 - 女子の正答率」。赤字は統計的に有意な差があることを示す。

グラフの下に記載された数値は、男女の正答率の「点数差」を表しています。数ポイントの開きがある国も見受けられますが、統計的に有意な差が認められたのは、数値が赤字で示されている2グループのみです (p < 0.05)。

具体的には、小学4年生ではイギリス(男子が7.4ポイント高い)、中学2年生ではフランス(男子が5.8ポイント高い)において男子の正答率が有意に高い結果となりました (p < 0.05)。上記以外の8グループにおいては、統計的に有意な男女差は確認されませんでした。
(2) 「実力」と「意識」のギャップ:計算力は同等でも自信に差があるケースが存在
テストによる計算力の測定に加え、本調査では子どもたちが計算に対して抱いている意識についても尋ねました。調査では、「計算が好きか?」「計算力には自信があるか?」という2つの質問に対し、「そう思う(5点)」から「そう思わない(1点)」までの5段階で回答を得て、その平均スコアを男女で比較しました。数値が高いほど、その項目に対して肯定的な意識を持っていることを示します。

図2は、小学4年生(a)と中学2年生(b)のそれぞれについて、左側に「計算テストの正答率(客観)」、右側に「計算に対する意識(主観)」の男女差を並べたものです。黒枠で囲まれている箇所は、統計的に有意な男女差が認められたことを示しています (p < 0.05)。なお、図2には男女の「差」のみを表示しています。各国の具体的な数値については、付録の集計表をご参照ください。
[画像2: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/152428/17/152428-17-4823ac43de7ec28381bfd80a7e9e7a9d-2258x1732.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
図2. 正答率と意識における男女差の比較 [(a)小学4年生 / (b)中学2年生]。左側は正答率の差、右側は意識の差を示す。黒枠は統計的に有意な差があるケースを示す。

図2を左右で比較すると、実力と意識の関係において国・学年ごとに以下の4つのパターンが見られました。

● 正答率・意識ともに男子が高いケース:フランス(中学2年生)では、計算テストの正答率と計算への意識の両方において、男子が有意に高い数値を示しました (p < 0.05)。

● 正答率は同等だが、男子の意識が高いケース:アメリカ(小学4年生)および中国(中学2年生)では、テストの正答率(左側の図)に有意な男女差はありませんでした。一方、計算への意識(右側の図)においては、「計算が好き」という項目で、アメリカ(小4)の男子が0.39ポイント、中国(中2)の男子が0.31ポイント、それぞれ女子よりも有意に高い数値を示しました。

● 意識は同等だが、男子の正答率が高いケース:イギリス(小学4年生)では、テストの正答率に有意な男女差がありました。一方、意識スコア(右側の図)においては、「計算が好き」「計算力に自信がある」という項目では、有意な男女差はありませんでした。

● 正答率・意識ともに男女差がないケース:上記以外の6グループでは、正答率・意識のいずれにおいても統計的な男女差は認められませんでした。
(3) 国際調査(TIMSS)と異なり、南アフリカでも男女差なし
本調査における南アフリカの結果は、算数・数学全般のリテラシーを調査するTIMSS(国際数学・理科教育動向調査)の結果とは異なる特徴を示しました。

まず、南アフリカのTIMSSの全体的なスコアは他国に比べて低く、かつ女子の成績が男子を上回る傾向があることが知られています。この結果は、必ずしも女子の算数・数学のリテラシーが男子より高いことを単純に意味するものではありません。というのも、南アフリカでは留年率が高く、学力の低い生徒たちが、本来の学年よりも高い年齢で在籍しているケースが少なくありません。特に男子のその傾向が強く、TIMMS調査では、こうした学習に苦戦している層(主に男子)が含まれます。その結果、男子の平均点が押し下げられ、「女子優位」のスコアになるとの指摘があります。

一方で、本調査の計算テストでは、南アフリカ(小4・中2)における計算テストにおいて男女差はなく、点数も他国と同水準でした。このTIMSSとの違いの要因として、本調査は学年だけでなく年齢も固定して実施したため、留年を経験せず標準年齢で履修している層が対象となったことが挙げられます。また、インターネット調査に参加可能な、デジタル環境の整った比較的高所得な家庭の子どもであることも要因と考えられます。

 まとめ

5か国を対象とした今回の調査では、計算力やそれに対する意識に、多くの国で明確な男女差は見られませんでした。しかし、図2の全体を見ると、正答率や「好き・自信」のスコアのどちらにおいても、男子の方が女子よりわずかに高い数値になっている国が多いようにも見受けられます。

もちろん、今回の調査では、これらを「有意な差がある」と言い切ることはできません。しかし今後、調査の規模を広げることで、こうした傾向の真偽が明らかになる可能性があります。本調査で得られた知見を足がかりに、より精緻な調査が期待されます。

調査の詳細には、図2の具体的な数値についても記載しています。ご参照ください。本報告は、「基礎学力と学習の意識に関する保護者・子ども国際調査2025」に基づく第8回目の報告です。今後もスプリックス教育財団では、子どもの基礎学力に関して様々な分析を進めてまいります。
調査の詳細(PDF)
■公益財団法人スプリックス教育財団 概要
公益財団法人スプリックス教育財団は、社会的支援を必要とする学生に対して奨学金の支給を行うほか、教育に関する調査研究を行いその成果を広く一般に公表し、もって青少年の健全な育成に寄与することを目的としています。

名  称:公益財団法人スプリックス教育財団
設  立:2023年4月
代表理事:常石 博之
事業内容:奨学金の支給、調査研究
財団HP :https://sprix-foundation.org/

プレスリリース提供:PR TIMES

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記事提供:PRTimes

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