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都市夜間光が沿岸生態系に与える影響―東京湾のフナムシは都市に適応している?―

国立大学法人千葉大学

都市夜間光が沿岸生態系に与える影響―東京湾のフナム


 千葉大学国際高等研究基幹・大学院理学研究院の佐藤大気特任助教は、都市特有の沿岸環境がフナムシ類の分布や行動にどのような影響を及ぼすかを明らかにするため、東京湾全域においてフィールド調査と遺伝的解析、室内での飼育・行動実験を行いました。その結果、内湾部と外湾部では生息する種が異なり、各種の分布は夜間人工光強度と強く関連していることが示されました。さらに室内実験では、生育時の夜間人工光曝露が生存率や活動リズムに及ぼす影響を検証し、その効果が種間で異なること、内湾部(都市部)に生息する種ではその影響が小さいことを確認しました。本研究成果は、都市部における夜間人工光が沿岸生態系に与える影響を理解する上での重要な手がかりとなると考えられます。
 本研究成果は、2026年2月24日に、学術誌PNAS Nexus誌で公開されました。
(論文の内容はこちら:10.1093/pnasnexus/pgag020
[画像1: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/15177/1121/15177-1121-7796fc7a243a585b6252a909093b5c60-1331x1772.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
図1. 東京湾におけるフナムシ各種の分布。

■研究の背景
 夜間の人工照明(Artificial Light at Night: ALAN)は、都市化の進行とともに世界中で増加しており、動物の活動リズムや行動に影響を与える環境要因として注目されています。これまで、夜間人工光が生物の行動や生理に短期的な影響を及ぼすことは多く報告されてきました(参考文献)が、その長期的な影響が生物の分布や進化にどのように関わるのかについては、十分に検証されていませんでした。沿岸生態系は、人間活動の影響を強く受けやすい環境の一つです。特に都市部の海岸では、夜間照明に加えて護岸や消波ブロックなどの人工構造物が広く設置され、生物は限られた生息空間の中で生活しています。このような環境では、個体が他の地域へ移動して影響を回避することが難しく、局所的な環境条件が生物の行動や適応に強く反映される可能性があります。フナムシ類(Ligia 属)は、潮間帯(注1)の岩場や護岸に生息する沿岸性の等脚類で、海から離れることができない生活様式を持っているため、都市化した沿岸環境の影響を直接受けやすい生物と考えられます。また、発達した視覚をもち、周囲の光環境に応じて行動や体色を変化させることが知られています。さらに近年の研究により、日本沿岸には複数種のフナムシが分布していることが明らかになってきましたが、それらの分布や行動が都市環境とどのように関係しているのかは、ほとんど調べられていませんでした。そこで本研究では、東京湾を対象に、夜間人工光を含む都市特有の沿岸環境がフナムシ類の分布や行動にどのような影響を及ぼしているのかを明らかにすることを目的としました。

■研究成果のポイント
 本研究では、東京湾全域を対象としたフィールド調査とゲノム解析、室内での飼育・行動実験を組み合わせることで、都市化した沿岸環境がフナムシ類の分布や行動にどのように関係しているのかを多角的に検証しました。各サンプルの遺伝的解析の結果、東京湾では北緯35.2度付近の湾奥狭窄部を境に、内湾部と外湾部で主に生息するフナムシの種が明確に異なることが明らかになりました。内湾部ではアオホシフナムシ(L. laticarpa:以下アオホシ)が優占的に分布する一方、外湾部ではフタマタフナムシ(L. furcata:以下フタマタ)が主に分布していました(図1)。また内湾部のいくつかの地点では北方系のキタフナムシ(L. cinerascens:図1ではキタと表記)もアオホシと同所的に生息しており、船舶などに伴う移入の可能性が示唆されました。
 次に、各調査地点における環境データを解析したところ、アオホシの分布は、塩分や植生といった要因に加えて、夜間人工光の強度と強く関連していることが明らかになりました。この結果は、夜間光が沿岸生物の分布を特徴づける重要な環境要因の一つである可能性を示しています。そこで次に室内実験を行い、生育時に夜間光に曝露された個体と、暗条件で育てられた個体を比較し、長期的な影響を検証しました。その結果、生育時の夜間人工光曝露は、フナムシ類の活動リズムや生存率に影響を与えることが確認されましたが、その影響の現れ方は種によって異なっており、外湾部(郊外)に生息するフタマタでは夜間人工光曝露によって活動量や成長が抑制される傾向が見られた一方、内湾部(都市部)に生息するアオホシでは影響が比較的小さいという結果が得られました。
[画像2: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/15177/1121/15177-1121-f17fcdef5f9e6cfb6e0fa8737fc68015-1370x1031.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
図2. 生育時のALANによる活動量の変化。郊外に生息するフタマタはアオホシに比べて活動が低下する。

 これらの結果から、夜間人工光は一時的に行動を変化させるだけでなく、発育過程を通じて生物の生理的特性に長期的な影響を与えうること、そしてその影響が種ごとに異なることが明らかになりました。本研究は、都市の沿岸環境において、夜間人工光が行動の変化や生理的特性の違いを介して、種の分布や生態的分化に関与している可能性を示すものです。

■今後の展望
 本研究は、人工的な夜間光が沿岸生物のふるまいに影響を与えること、そして夜間人工光に対する可塑的な反応は近縁種間でも異なることを示しました。今後は、さらに詳細な行動実験やゲノム配列・遺伝子発現解析により、その分子メカニズムについても検証していきたいと考えています。人間の生活に欠かせない夜間照明ですが、その「ちょうどよさ」は人間だけで決められるものではありません。今回の結果が、都市の利便性と自然環境の両立を考えるうえで、身の回りの光を見直す小さなきっかけになればと思います。

■用語解説
注1)潮間帯:満潮(潮が高いとき)と干潮(潮が低いとき)のあいだで、海水に浸かったり陸に出たりする海岸の帯状のエリアのこと。

■論文情報
タイトル:Metropolitan coastal night lighting aligns with ecological and plastic divergence in closely related Ligia isopods
著者:Daiki X. Sato
雑誌名:PNAS Nexus
DOI:10.1093/pnasnexus/pgag020

■参考文献
1) タイトル:Impacts of Artificial Light at Night on Biological Timings
雑誌名:Annual Review of Ecology, Evolution, and Systematics
DOI:10.1146/annurev-ecolsys-110316-022745

2) タイトル:A meta-analysis of biological impacts of artificial light at night
雑誌名:Nature Ecology & Evolution
DOI:10.1038/s41559-020-01322-x

■研究プロジェクトについて
本研究は、以下の支援によって実施されました。
・科学研究費助成事業「都市夜間光が駆動する装飾形質と視覚進化の遺伝基盤」(25K18517)
・大林財団 研究助成「都市の夜間光が沿岸生物の進化的・可塑的適応に与える影響」(190PM01194)
・住友財団 基礎科学研究助成「陸上進出に伴う行動進化の遺伝基盤:等脚類比較ゲノミクスによる解明.」(2402511)

プレスリリース提供:PR TIMES

都市夜間光が沿岸生態系に与える影響―東京湾のフナム

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