消費者はファッションを消耗品と認識−ファッションを半耐久財に引き戻すために有効なコンセプトは「快適性の持続」
学校法人明治大学

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ファストファッションの台頭は、消費者は多大な利便性をもたらした一方、環境悪化が危惧されます。ファッションのロイヤルティ要因を分析した結果、快適性・デザイン性・安さが重視されるのに対し、耐久性は重視されませんでした。つまり、消費者はファッションを「消耗品」と認識している傾向があります。経済成長と環境配慮を両立するためには、ファッションを半耐久財に引き戻す価値づくりが求められます。従来のサステナビリティは、環境・人権の保護を訴求してきましたが、それは社会的価値であり、消費者個人としては価値を感じにくくなります。そこで、消費者価値に転換するために、本研究は「快適性の持続」を提案しました。検証の結果、当該コンセプトは、従来のサステナビリティやファストファッションよりも有意に高い魅力となりました。エシカル消費の普及には、直接的に環境配慮や廃棄量の削減を訴求するのではなく、消費者価値の源泉である肌触り等の快適性が持続する商品を訴求し、それが結果として廃棄量削減に貢献するという位置付けが望ましいと言えます。この成果は、NECと明治大学商学部加藤拓巳准教授の共同研究として、2026 International Conference on Management, Tourism and Technologiesで採択され、Business and Economics (Springer)に掲載されます。
出典:Kato, T., Hattori, A., Tamura, C., Kajihara, F., Takatsuka, K., Chiba, Y. (2026). The new sustainability concept in the fashion industry: Reinventing the sustainability in the fast fashion era. Springer Proceedings in Business and Economics. Springer.
本研究のポイント
- 消費者は、企業の社会的責任に対する認識を重視する姿勢を見せながら、実際には購入行動に移さない傾向があります。この傾向は、多くの業界で観測されており、ファッション業界でも共通です。安価で、かつ豊富な選択肢を提供してくれるファストファッションは急成長しました。その反面、安価なファストファッションの普及は大量消費・大量廃棄を産み、環境問題の悪化が懸念されています。- 図1に示すとおり、Study 1では日本人女性600名を対象としたオンライン調査結果に基づき、ファッションのロイヤルティの要因を共分散構造分析で分析しました。その結果、快適性が最も強い正の効果を持ち、次いでデザイン性、経済性が続きました。一方、サステナビリティ(環境保護・人権保護)はロイヤルティに対して負の効果を示しました。また、ファッションという半耐久財にもかかわらず、耐久性は有意な効果を持っていないことが確認されました。つまり、消費者はファッションを「消耗品」として捉え始めている懸念を示唆しています。- 経済成長と環境配慮を両立するためには、ファッションを半耐久財に引き戻す価値づくりが求められます。従来のサステナビリティは、環境・人権の保護を訴求してきましたが、それは利他的動機であり、消費者は価値を感じにくくなります。環境や人権に配慮した商品を購入する行動であるエシカル消費を促進するためには、利己的動機に基づいてエシカル特性を消費者価値に転換する必要があります。- Study 1の結果、ファッションにおいては、肌触りなどの快適性が最も重視される利己的動機であることが判明しました。しかし、衣服は繰り返しの洗濯により快適さが容易に失われ、消費者が衣服を大切にしなくなる一因となっています。そこで本研究では、「快適性の持続」というコンセプトを策定しました。これは、長期間にわたり快適さを維持する衣服が、機能的に長く使用可能なだけでなく、衣服への愛着を育み、結果として衣服の購入量や廃棄量の削減につながるという、消費者価値と環境・人権保護を両立させる新しいサステナビリティの形です。従来のサステナビリティが環境保護や人権保護という利他的動機を中心に訴求していたのに対し、本概念は消費者自身の価値を起点としたサステナビリティになっています。- Study 2では、20~60歳の日本人3000名を対象にランダム化比較試験を実施しました。被験者は、(1)環境・人権保護(従来型サステナビリティ、図2)、(2)ファストファッション(図3)、(3)快適性の持続(新しいサステナビリティ、図4)の3群にそれぞれ1,000名ずつ無作為に割り当てられ、各コンセプトシートを提示された後に魅力度を評価しました。その結果、「快適性の持続」の魅力度は50.5%と最も高く、ファストファッション(46.2%)および従来型サステナビリティ(34.5%)を有意に上回りました。この結果は、消費者の利己的動機に基づくサステナビリティ概念が、低価格を武器とするファストファッションをも凌駕する商品魅力を持つことを示唆しています。エシカル消費の普及には、直接的に環境配慮や消費量の削減を訴求するのではなく、消費者価値の最大の源泉である肌触り等の快適性が持続する商品を訴求し、それが結果として消費量削減に貢献するという位置付けにすべきです。
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図1. ファッションのロイヤルティ要因
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図2. 実験に用いたコンセプト1:環境と人権への配慮
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図3. 実験に用いたコンセプト2:ファストファッション
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図4. 実験に用いたコンセプト3:快適性の持続
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図5. ランダム化比較試験の結果
この記事に関連するページ
NEC GX(グリーントランスフォーメーション):
https://jpn.nec.com/energy/gx-solution/index.html
サーキュラーエコノミー ブランドサイト:
https://circular-economy-business.com/validation/vol001
加藤拓巳准教授Webサイト:
https://takumi-kato.com/プレスリリース提供:PR TIMES





記事提供:PRTimes