日本製鉄の米グリーン投資、雇用・脱炭素・大気汚染削減の「同時実現が可能」=米インディアナ大学研究所調査
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日本製鉄の米グリーン投資、雇用・脱炭素・大気汚染削減の「同時実現が可能」=米インディアナ大学研究所調査
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USスチールゲーリー製鉄所 Credit: Just Transition Northwest Indiana / Matthew Kaplan
(2026年4月8日、東京)米インディアナ大学環境レジリエンス研究所(ERI)及び米気候調査会社5 Lakes Energyは、グリーン投資を通じて、雇用創出、脱炭素、そして大気汚染削減を同時に実現できることを示す研究結果を発表した。この報告は、日本製鉄の米インディアナ州USスチールゲーリー製鉄所へのグリーン投資が、最大約5万9,000人の新規雇用を生み出し、同製鉄工程の年間CO2排出量410万トンの削減が可能であることを指摘する[1]。
報告書はゲーリー製鉄所における深刻な大気汚染問題にも言及しており、石炭を用いた高炉からグリーン水素を活用した製鉄への移行により、発がん性のある大気汚染物質を半減できると示唆している。ゲーリー製鉄所を含むインディアナ州北西部にある3つの製鉄所からの大気汚染は、年間約7,500万米ドルの医療費負担をもたらすとともに、230件の呼吸器系救急受診、また数万日に及ぶ労働・通学機会の損失につながっていると推計されている[2]。
本報告書の共著者である研究所の事務局長、ガブリエル・フィリッペーリ氏は、「ゲーリーの周辺住民は、鉄鋼業の大気汚染による発がん性物質の影響を、何世代にもわたって受け続けてきた」と述べている。「日本製鉄がゲーリー製鉄所に31億米ドルを投資する計画は、産業と地域社会の将来をより良い方向へ導く歴史的な転換点となり得る。しかし今回の研究では、石炭設備を延命しても、クリーンで近代的な製鉄設備への転換が進まなければ、公衆衛生や雇用は今後も悪化し続けることが明らかになった」[3]
日本製鉄は、ゲーリー製鉄所において高炉のリライニング改修に3億5,000万米ドルを投じる計画で、今年5月にも着工予定。この改修により、老朽化した石炭高炉の稼働は2040年代まで延長される見込みだが、報告書は、多額の費用を投じて改修を行ったとしても競争力は回復せず、事業構造の衰退を単なる先送りするにすぎないと指摘している[4]。地元メディアによると、米国の環境団体は現在、当該改修に伴う許認可の延期を求めている[5]。
「日本製鉄はゲーリー製鉄所へ総額31億米ドルの投資を予定しているが、そのうち20億米ドル以上は現時点で使途が明らかになっていない。石炭依存からクリーン技術へと移行し、雇用・健康・気候のすべてにとって『三方よし』となる投資を期待する」とスティールウォッチのアジア担当、ロジャー・スミスは述べている。
日本語要旨リンク[6]:
https://5lakesenergy.com/wp-content/uploads/2026/04/GarySummaryJapanese260406.pdf
以上
注
- 本日
日本語要旨発表、
英語全文報告書は2026年4月2日公開。インディアナ州北西部には、米国内に残る7つの一貫製鉄所のうち3つ(バーンズハーバー、インディアナハーバー、ゲーリー製鉄所)が所在しており、これらは合計で米国の一次製鉄(鉄鉱石由来の製鉄)の約47%を担っている。しかし、これらの施設は100年以上大きく変わっていない石炭高炉技術に大きく依存しており、より近代的な製鉄技術に市場シェアを急速に奪われつつある。[
英文報告書]- 現在の石炭依存の生産工程は、二酸化炭素、二酸化硫黄、窒素酸化物、微小粒子状物質(PM)など、大量の大気汚染物質を排出している。[
英文報告書]- 研究者らは、同地域の製鉄所を近代的な製鉄技術へ移行するための複数の現実的なシナリオを提示しており、費用は部分的な近代化で1施設あたり約15億~22億米ドル、全面的な近代化で約28億~36億米ドルと試算されている。これは、近年の鉄鋼企業の設備投資の規模と比較しても十分に実現可能な範囲にある。- 歴史的に、同地域の製鉄所は6万5,000人以上を雇用していたが、グローバル化や自動化、代替的な製鉄技術の普及により、現在の直接雇用は約9,000人にまで減少している。近代化への投資が行われなければ、2034年までに雇用は5,000人未満にまで減少する可能性があると研究者は指摘している。一方で、インディアナ州の製鉄業をグリーン水素を用いた低排出技術へと転換するための10年間の積極的な投資により、ゲーリー製鉄所周辺で最大約5万9,000人の新規雇用が創出されると推計されている。その大半は再生可能エネルギーの導入拡大に関連するものであり、若い世代に新たな機会とキャリアの可能性を提供することが期待される。-
米シカゴ・トリビューン紙による報道(2026年3月18日)- 本要旨は、インディアナ大学により発表された英語による調査の、特にUSスチールゲーリー製鉄所に関する部分の要約をスティールウォッチが日本語訳したものである。日本の読者に合わせ、背景情報追加等の編集が加えられた。公式文書である英語版の調査全文は、同研究所の
ウェブサイトで公表している。
インディアナ大学 環境レジリエンス研究所(ERI)について
ERIは、学術研究、応用研究、地域レジリエンスを結びつけ、気候変動の時代に持続可能で公平な社会を実現するための科学的知見に基づく解決策を提供している。地域との連携、革新的な研究、実践的な学びを通じて、より持続可能で豊かな未来の創出に取り組んでいる。詳細は
eri.iu.eduを参照。
スティールウォッチ(SteelWatch)について
スティールウォッチは、鉄鋼セクターにおける気候変動対策を促進することを目的とし、2023年7月に設立された国際NGO。「ゼロエミッション経済を支え、そして環境や地域が栄え、労働者が生き生きと暮らすことを可能にする鉄鋼産業」をビジョンに掲げている。
プレスリリース提供:PR TIMES
記事提供:PRTimes