VectorBuilderが遺伝子治療用の高安定性MuteFree(TM) AAVを発表
ベクタービルダー

AAVベクターのITR領域配列が高安定性するよう設計された新しいベクターバックボーン
要約
VectorBuilderは、遺伝子治療開発における課題であるAAVベクターのITR配列の不安定性を解決するため、高安定性MuteFree(TM) AAVベクターを開発したことを発表しました。MuteFree(TM) AAVベクターは、標準的な製造ワークフローや一般的な大腸菌株にも適合し、ウイルス収量や遺伝子発現効果のバラつきを低減します。本技術を採用することにより遺伝子医薬開発の信頼性が向上し、研究から臨床製造まで一貫性が保たれます。この技術を紹介した論文はbioRxivで公開されており、米国のASGCT年次総会でも研究成果が発表される予定です。
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シカゴ(2026年4月14日) - 遺伝子デリバリー技術およびCDMOソリューション分野をけん引するグローバルリーダーであるVectorBuilderは本日、遺伝子治療開発における主要な研究課題の一つであるITR配列の不安定性の改善を目的として設計された高安定性AAVベクター「MuteFree(TM) AAV」を発表しました。本技術に関する研究論文は、プレプリントサーバーである
bioRxivにて公開されています。
アデノ随伴ウイルス(AAV)は、現在遺伝子治療開発において最も多く活用されている遺伝子デリバリーベクターです。しかしその一方で、製造ロット間の不均一性や治療効果のばらつきといった課題が、臨床開発および実用化の大きな障壁となっています。その主要な要因の一つが、ウイルスゲノムのパッケージングおよびトランスジーン発現の成否を左右する、AAVベクターの逆末端反復配列(ITR)の不安定性です。
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図1. 研究機関や産業界の弊社パートナーから受け入れた300以上のAAVプラスミドベクターのITRについてサンガーシークエンスを実施した。これらのプラスミドDNAベクターは、受け入れ時の制限酵素消化による品質管理(QC)検査には合格していた。シーケンス解析の結果、AAVトランスファーベクターのITRの約40%に、塩基配列の変異を生じていたことが明らかになった(
Nucleic Acids Res. 2025. doi: 10.1093/nar/gkaf697).
VectorBuilderは、世界中の学術機関および産業界の研究所から収集した数百種類に及ぶAAVプラスミドベクターを独自に解析し、その約40%のITR配列に塩基変異が存在することを明らかにしました (
Bai et al., Nucleic Acid research. 2025 Jul 19;53(14) doi: 10.1093/nar/gkaf697)。ITR配列が不完全であると、ウイルスのパッケージング効率やデリバリーした遺伝子の発現レベルに直接影響することが知られています。そのため、ITR配列の変異はウイルス収量の低下、製造プロセスの不均一化、さらには遺伝子治療効果の再現性の低下を引き起こすことが示唆されています。場合によっては、十分な治療効果を得るために、より高用量のウイルス投与が必要となり、製造コストの増加や高用量投与による毒性リスクの上昇といった新たな課題も生じていました。
これまでもITR配列の不安定性の改善に向けて、さまざまなアプローチが試みられてきました。例えば、特殊な大腸菌株の使用、大腸菌培養条件の調整によってプラスミドDNAの増幅挙動を制御する方法、あるいはITR配列そのものを改変する手法などが挙げられます。これらの取り組みは、ITRへの突然変異率を低減する一定の効果を示してきましたが、その一方で、プラスミドDNA製造プロセスの複雑化を招きやすく、依然としてプラスミドの十分な安定性向上やウイルス収量の本質的な改善には至っていませんでした。
こうした従来手法の限界を克服するために開発されたのが、MuteFree(TM) です。高度に最適化されたMuteFree(TM) AAVベクターシステムは、ITR配列の完全性を高いレベルで維持しつつ、汎用的に使用されている大腸菌株および標準的な製造ワークフローとの高い互換性を実現しています。その結果、既存の製造パイプラインを変更することなく、より安定性が高く、再現性に優れたAAV製造を可能にし、研究開発から製造スケールアップまでを力強く支援します。
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図2. MuteFree(TM) AAVに切り替えることで、大腸菌で10代の連続継代培養(160回以上の集団ダブリング)した後のITR配列の塩基変異率は、一本鎖AAV(ssAAV)で48.1%から0%に、自己相補性AAV(scAAV)で31.8%から0%に低下した。ITR配列はサンガーシーケンスによって分析した。
「ベクターデザインは、創薬開発のごく初期段階で決定されることがほとんどで、その選択がダウンストリームの工程における製造適性、安全性、さらには治療有効性といった極めて重要な要素に大きな影響を及ぼします」と、VectorBuilderのチーフサイエンティストであるブルース・ラーン博士は述べています。「ITR配列の不安定性は、AAVの製造効率や遺伝子治療効果を損なう要因となり得る、非常にチャレンジングな課題です。MuteFree(TM)では、遺伝子医薬の開発者が創薬プログラム全体を通じて予期せぬリスクを最小化し、信頼性を高められるよう、ベクターデザインの段階から安定性の向上に徹底的に注力しました。」
プラスミド配列の再現性向上は、遺伝子治療開発において本質的な価値をもたらします。安定したITRは均一なウイルスパッケージングを可能にし、バッチ間のばらつきを低減するとともに、創薬研究から臨床用製造へと移行する際のプログラム全体の信頼性向上に大きく貢献します。
MuteFree(TM) AAVの開発は、ベクターデザインにおける新たなスタンダードを確立し、創薬研究から臨床製造に至るまでのトランスレーショナルな一貫性を強化しようとするVectorBuilderの取り組みを体現するものです。ITR配列の安定性をはじめとするプラスミドDNAベクターの中核要素を最適化することで、VectorBuilderは遺伝子医薬品開発者が直面するダウンストリーム工程におけるリスクの低減を支援し、より確実で再現性の高い開発を可能にします。
VectorBuilderは、2026年5月11日から15日まで開催される米国遺伝子・細胞療法学会(ASGCT)年次総会において、本技術に関連する研究成果を発表予定です。チーフサイエンティストであるブルース・ラーン博士が、ツールズ&テクノロジーフォーラムにて「From Research to Clinic: A Practical Guide to Optimizing Therapeutic Vector Design」と題した講演を行います。ぜひご参加ください。
MuteFree(TM) AAVに関するマニュスクリプトは、現在bioRxivよりダウンロードいただけます。 [
MuteFree: A novel AAV vector system featuring mutation-free ITRs]
VectorBuilderについて
遺伝子デリバリー技術の世界的パイオニアである
VectorBuilderは、世界中の数千の研究所、バイオテクノロジー企業、製薬企業にとって不可欠なパートナーです。基礎研究から臨床開発まで、あらゆる段階の研究・臨床ニーズに対応する広範な遺伝子デリバリーソリューションを提供しています。VectorBuilderは、低い組織特異性、免疫原性、限られたカーゴサイズ、低い製造効率など、現行の遺伝子デリバリー技術における主要な課題を解決することにより、遺伝子医薬品の機能性・安全性・製造性の向上に注力しています。これを支えるのが、独自のAI搭載DeepCapプラットフォームです。このプラットフォームは、機械学習と合理的設計に加え、分散配列空間の大規模並列探索を組み合わせることで、クラス最高のトランスダクション効率と組織特異性を持つ新規
AAVカプシドのエンジニアリングを実現しています。VectorBuilderは、このプラットフォームを活用して、中枢神経系、末梢神経系、筋肉、心臓、網膜、内耳といった治療的に重要な幅広い組織に対応する大規模なAAVカプシドパネルを構築しました。さらに当社は、約10,000平方メートルの最新cGMP施設を稼働させ、
遺伝子医薬品製造に関するICHガイドライン、ならびに米国およびEUの規制基準に完全に準拠しています。VectorBuilderは、米国、ヨーロッパ、オーストラリア、日本、中国、韓国といったグローバルな顧客基盤に、IND対応の高品質なベクターを提供することで貢献してきました。また、BioTech Breakthrough Award、PharmaVoice 100 Award、Bioz Rapid Star Award、CDMO Leadership Awardをはじめとする、数々の著名な賞を受賞しています。詳細については、
www.vectorbuilder.com をご覧ください。
プレスリリース提供:PR TIMES


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