止まらないオンライン賭博、家族の借金肩代わり1,084万円時代へ
公益社団法人ギャンブル依存症問題を考える会

大阪IR開業を目前に、若年化・犯罪化が加速 ── 公益社団法人ギャンブル依存症問題を考える会が緊急提言
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毎年、5月14日~20日は「ギャンブル等依存症問題啓発週間」です。当会では啓発週間に合わせ、相談に来所したギャンブル依存症者及びその家族からのアンケート調査をまとめ発表しています。
昨今のギャンブルはオンラインカジノだけではなく、公営競技もオンライン化が進み、ますますやめにくく、借金額も膨らんでいます。巻き込まれた家族の肩代わりの平均はついに1000万円を超えました。にもかかわらずギャンブル依存症対策は遅々として進んでいません。ギャンブル産業のあり方は、若者の人生や家庭を壊すような危険なものになっています。(アンケートは2025/1月~12月までのものです)
※ギャンブル等依存症問題啓発週間:2018年に成立した「ギャンブル等依存症対策基本法」に基づき、毎年5月14日~20日に設定される国の法定週間。国・自治体・関係事業者がギャンブル依存症問題に関する啓発活動を集中的に行うことが定められている。
【今年の調査が示す3つの事実】
1. 借金額の急騰:家族の肩代わり平均は4年で763万円→1,084万円へ。年収の数倍を一家が背負う構図に。
2. 若年化と高学歴化:当事者の3~4割は20代。大学生・院生の相談は4年で2.6倍に。
3. オンラインの危険性:オンラインカジノ利用者の逮捕・犯罪率は非利用者より約10ポイント高い。
【1】家族相談アンケート結果:当会の家族相談会に参加された方々のアンケート調査です。(N=463)
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2025年は20代が37%、30代が35%を占めました。コロナ禍以降、20代の比率が高止まりしており、若年化は一過性ではなく構造的傾向として定着しつつあります。スマートフォンで24時間賭けられるオンライン環境が、初心者から依存症発症までの期間を急速に短縮させていることが背景にあると考えられます。
※家族会:ギャンブル依存症の家族同士が、悩みや対応を共有・学習する自助組織。「自分だけではない」という安心感と、先行事例から得られる実践知が、家族の孤立解消と当事者支援の質向上につながる。
※家族相談会:当事者の家族(親・配偶者・きょうだい等)を対象とした相談の場。家族自身が混乱・疲弊・共依存に陥る前に、対応法と心の整理を学ぶ場として機能する。当会は無料・オンラインで実施。
※当事者:このリリースではギャンブル依存症を発症した本人を指す。「依存症患者」「依存症者」と同義。家族・支援者と区別するために用いる。
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オンラインカジノ利用者の逮捕・犯罪率は、非利用者より一貫して約10ポイント高くなっています(2025年:利用者36.2% vs 非利用者26.9%)。秒単位で勝敗が決まり、24時間止まらない"高速ギャンブル"の特性が、横領・窃盗・詐欺など犯罪行為への引き金となっています。日本国内でのオンラインカジノ利用は違法だが、海外運営サイトへの接続は実質野放し状態といえます。
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家庭内窃盗や親族・知人からの借入を含む借金平均額は、2022年の763万円から4年で1,084万円へと約1.4倍に膨張。給与所得者の平均年収(約460万円)の2倍超に相当する金額であり、当事者本人にとどまらず世帯全体を経済破綻のリスクに晒す水準に達しています。
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ギャンブルのオンライン化が進み、依存症になるまでの時間が非常に短くなったことが、大学生や院生
の相談が増加している要因と推察しています。今のギャンブルは迂闊に手を出せば、止められなくなる
ことを大学側に周知すべきであり、高校においてもエビデンスに基づいた予防教育の確立・導入を検討すべきと考えます。
スマホ1台で公営競技・オンラインカジノにアクセスできる現在、初回プレイから依存症発症までの期間は数か月~1年程度まで短縮していると現場で観察されています。奨学金や生活費を溶かし、退学・就職機会の喪失に至るケースもあります。
※エビデンスに基づいた予防教育:科学的研究・統計データの裏付けがある手法を用いた依存症予防教育。「ギャンブルは怖い」「やめなさい」と道徳的に伝えるだけの従来型啓発は効果が乏しいことが分かっており、リスク要因の正確な理解、初期サインの認識、相談先の周知などを含む構造化されたプログラムが必要とされる。
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当事者が独身の早い段階のうちに、親が相談に来てくれることが望ましいです。親が肩代わりを繰り返し、ギャンブル問題を隠したまま結婚してしまうと、配偶者や子供達に多大なる苦労が引き継がれます。こういったケースは相談の現場でも非常に多いです。「結婚すればしっかりするだろう」といった迷信や精神論ではなく、現実にしっかり向き合い対処していくことが問題を長引かせない上でも大切です。家族への啓発が喫緊の課題です。
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親の肩代わりが最も深刻。 親が相談に来るケースでは90.4%が肩代わりを経験しており、肩代わり金額の平均が891万円と突出して高くなっています。中央値は300万円ですが、平均が大きく上回っているのは、数千万円規模の肩代わりをしている親が一定数存在することを意味します。親が老後資金や退職金を切り崩して肩代わりするケースが多く、老後破産の引き金になっています。さらに「結婚すれば落ち着く」という誤解で問題を隠したまま結婚させ、配偶者・孫世代に負債と苦悩が連鎖する事例が後を絶ちません。
【2】当会の相談会に参加したギャンブル依存症当事者向けアンケート結果(N=878)
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ギャンブル依存症当事者本人からの相談は、家族の相談からつながった当事者に比べ年齢が高く(平均36.5歳 vs 34.2歳)、最多は30代(33%)。家族が問題を察知してから当事者本人が支援に繋がるまでに数年単位のタイムラグが存在し、当事者介入の難しさと、家族側の早期相談の重要性を裏付けています。
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当事者相談3.9%、家族相談3.7%と、女性の比率はいずれも4%未満。ギャンブル依存症は性差が大きく男性に偏る病気ですが、女性は社会的スティグマから相談現場に現れにくいだけで、潜在患者数は数字以上にいるとみられます。
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ギャンブル開始年齢(有効回答数 N=722:外れ値、無回答、不明を除外)全体平均20.7歳
全体平均20.7歳。現在10代の当事者は平均17.0歳で開始しており、未成年期のギャンブル接触が依存症発症の起点となっています。一方、現在60代以上の層では平均25.2歳で開始したケースもあり、定年前後にギャンブルを始め罹患する高齢層も看過できません。
【3】家族が相談に繋がる効果:当事者アンケートより
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家族が家族会に参加しているケースでは、当事者の医療機関接続率が31.5%→42.3%、自助グループ参加率が19.0%→29.0%へ上昇。家族自身が支援に繋がることが、当事者の「助けを求める行動」を後押しすることを、データが明確に示しています。
※自助グループ:依存症からの回復を目指して、同じ立場の人々が定期的に集まり、体験や悩みを分かち合う集まり。当事者向けの代表例に GA(ギャンブラーズ・アノニマス)、家族向けの代表例に GAFA(ギャンブル依存症家族の自助グループ/Gambling Families Anonymous) がある。いずれも匿名・無料で参加でき、12ステップなどのプログラムを通じて回復の継続率を高める柱の一つとされる。
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*家族が家族会に繋がっている方が、当事者の底付きが早くなり若いうちに繋がれると推測されます。
家族会に家族が参加しているケースでは、当事者が支援に繋がる年齢が平均37.9歳→34.5歳へ3.4歳早まります。家族の早期相談が、当事者の「底付き」を早め、回復までの期間とダメージを大きく圧縮する効果が示されました。
※底付き:依存症者が「もうこのままでは生きていけない」と痛感し、回復に踏み出す決意をする転機。家族の肩代わりや尻拭いが続くと底付きが遅れ、被害が拡大する。家族の早期相談は、この底付きを早める効果がある。
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「現在も死にたい」と答えた割合は、家族会参加なし13.9% → 参加あり9.5%へ低下。「過去に死にたかった(現在は解消)」は24.7%→38.5%と上昇。家族会への接続が、当事者の自殺念慮の解消に直接関連している可能性が示唆されました。ギャンブル依存症の現場では若年者の自死が増加しており、家族支援は命を守るインフラといえます。
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死にたいと感じた経験者のうち、うつ病・パニック障害・双極性障害などの他の精神疾患を併発する割合は約23~28%。ギャンブル依存症は単独の病態ではなく、複数の精神疾患と絡み合う複合的な疾患であり、回復には借金処理だけでなく包括的なメンタルケアが不可欠です。
※重複障害(併発):ある精神疾患を持つ人が、同時に別の精神疾患(うつ病・双極性障害・パニック障害等)を併発している状態。ギャンブル依存症は単独で発症することは少なく、他の精神疾患と複合的に絡み合うことが多い。回復には双方への治療介入が不可欠。
【考察・まとめ】
ギャンブル依存症は、1.ギャンブルに手を出したなら誰でもなる可能性があり2.病気であり適切な治療に繋がらなくては回復できない3.説教や金銭行動管理は効果がないという、基本的な啓発が足りておらず、重篤化しています。特に被害者にもなってしまう家族の対応は非常に重要で、家族が支援に繋がることが、当事者の援助希求行動を高めることも示唆されました。
また、現場には若者の自殺の報も増加しており、オンラインギャンブルの台頭による若年化に
対する効果的な予防教育を行うべきです。大阪カジノが目前に迫るも、ギャンブル依存症対策が
遅々と進まぬ現状を変えるべく、早急な対策強化を今後も働きかけて参ります。
※援助希求行動:本人が「助けてほしい」と声を上げ、医療機関や支援団体に繋がろうとする行動。依存症は否認の病気と呼ばれ、本人がこの行動を取りにくい特性を持つため、回復支援の最初のハードルとされる。
プレスリリース提供:PR TIMES





記事提供:PRTimes