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テレワークを使った。介護休業も使った。それでも、辞めた。介護離職者の60.3%が、何らかの両立支援制度を利用したうえで離職に至っていた ― NPO法人となりのかいご「介護離職白書2026」を発行 ―

NPO法人となりのかいご

テレワークを使った。介護休業も使った。それでutf-8

画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/599385/LL_img_599385_1.png
「介護離職白書2026」キービジュアル

NPO法人となりのかいご(神奈川県厚木市/代表理事:川内 潤)は、2026年5月28日、介護離職の要因を調査した「介護離職白書2026( https://www.tonarino-kaigo.org/download/ )」を発行しました。前回調査(2020年)から5年、テレワークや柔軟な働き方の普及、2025年4月に施行された改正育児・介護休業法など、企業の両立支援を取り巻く環境は大きく変わりました。一方で、本調査では「制度を整えたのに離職が減らない」という現場の実感を裏付ける結果が、複数の角度から確認されています。
本白書は、現在および過去に介護経験のある就業者2,573名を対象とした調査をもとに、介護離職に至るプロセスを構造的に分析しています。団塊の世代が要介護状態に入る「大介護時代」を目前に控えるなか、企業の人事・労務担当者、経営層、政策関係者にとって、両立支援の次の一手を考える材料として活用いただけます。


■ 発行の背景
2025年4月の改正育児・介護休業法施行により、企業には(1)個別周知と意向確認、(2)情報提供・事前周知、(3)雇用環境整備が義務化され、両立支援は大きな転換点を迎えています。多くの企業が制度整備に取り組む一方、現場では「制度を整えたが、実際に離職防止につながっている実感が持てない」という声も少なくありません。
前回2020年調査( https://www.tonarino-kaigo.org/wp/wp-content/uploads/2020/06/kaigorishokuhkusyo_20200713.pdf )では、介護離職の背景に「家族で抱え込む構造」があることを明らかにしました。本調査ではそこからさらに踏み込み、「介護開始から異動・転職、そして離職に至るプロセス」を時系列で追うことで、未然に防ぐための介入ポイントを特定することを試みています。


■ 調査結果のハイライト
【1】離職者の60.3%が、何らかの両立支援制度を利用したうえで離職している
介護離職者は「制度を使わなかったから辞めた」のではありませんでした。現在離職群の60.3%が、介護休業・介護休暇・時短勤務・フレックスタイム・テレワークのいずれかを利用したうえで離職に至っています。とくに介護休業の利用率は、過去離職群(11.6%)から現在離職群(26.5%)へと約2.3倍に上昇しており、制度活用が進む一方で離職を止めきれていない実態が浮かび上がります。

画像2: https://www.atpress.ne.jp/releases/599385/LL_img_599385_2.png
図1:介護離職状況別 介護目的の制度利用の比較(白書p.15より)

【2】制度利用が進む管理職層でも離職は発生している
経営層・管理職の現在離職群では、80.3%が何らかの制度にアクセスできていました(一般社員は57.6%)。にもかかわらず離職に至っており、制度アクセスだけでは管理職層の就業継続を支えきれていない可能性が示されています。

【3】「家族で介護すべき」という意識は、5年で+8.1pt上昇
「要介護者に関わる介護は、他人ではなく家族で行うべきだ」という意識は、2020年の25.7%から2025年は33.8%へと+8.1pt上昇していました。離職者ほどこの意識が強く、現在離職群では48.0%にのぼります。制度面を充実し、利用が促進される一方で、「家族で抱え込む」価値観が強まっている可能性があり、本白書ではこれを「親孝行の呪い」と表現しています。

【4】介護開始から1年未満で離職するケースが依然として過半数
介護を理由に離職した人のうち「介護開始から1年未満」で離職した割合は、2020年の51.1%から2025年は58.7%へと+7.6pt上昇しました。仕事と介護の両立において、最初の1年が最も離職リスクの高い期間であることが明らかになっています。

画像3: https://www.atpress.ne.jp/releases/599385/LL_img_599385_3.png
図2:介護離職までにかかった年数(2020年vs2025年比較/白書p.37より)

【5】会社のみへの相談は離職防止とはならず、専門家への接続が鍵
相談先別の分析では、会社のみに相談していた群は異動転職率が46.1%と高く、サポート満足率は相対的に低い結果でした。一方、家族・専門家(ケアマネジャー等)の双方に接続できた群では、高負担状況下でも精神的・物理的サポート満足率が7割以上を維持していました。会社の役割は「介護の問題を解決すること」ではなく、「専門家と家族へのハブ機能」を果たすことにあることが示されています。


■ 白書本文より(抜粋)
※ 第1章「はじめに」より
法改正の追い風を受けて、多くの企業が仕事と介護の両立支援に取り組み始めている。しかし現場では、「制度を整えたが、実際の離職防止につながっている実感が持てない」という声も少なくない。休暇・休業制度の整備によって「いざとなったら休める」状態をつくることは重要だ。だが、それだけでは介護離職を防ぐことは難しい。

※ 第7章「おわりに:提言」より
介護離職は根本的には制度を利用することだけでは防ぐことができず、「介護に対する意識(介護観)」が問題の根幹にある。「介護は家族が近くにいて行うべきもの」「それが本人の望みであり、負担軽減につながる」というアンコンシャスバイアス――いわば「親孝行の呪い」とも言えるこの価値観が、家族による過度な介護参加を生み出し、結果として離職へとつながっている。
企業に求められるのは、制度を整えることにとどまらず、従業員の介護観を問い直す機会を能動的に提供することである。直面してから制度利用を促すのではなく、直面する前から介護観を変えるプッシュ型の取り組みこそが求められている。


■ 調査概要
調査名 :介護離職白書2026 制度は進んだ。離職は減ったか。
調査主体 :NPO法人となりのかいご
調査手法 :インターネット調査
対象者条件:20歳以上・男女・就業経験あり、介護開始時に就業中、
10年以内に介護関与開始
サンプル数:2,573ss
● 現在介護者 介護離職(現在離職群):358
● 現在介護者 離職意思有り(離職意思有り群):567
● 現在介護者 離職意思無し(離職意思無し群):755
● 過去介護者 介護離職有り(過去離職群):277
● 過去介護者 介護離職無し(未離職完遂群):616
質問数 :スクリーニング5問/本調査37問
調査期間 :2025年8月25日~9月10日
(追加サンプル回収:2025年12月4日~22日/
追跡回答:2025年12月1日~19日)


■ 白書の構成(全7章+Appendix/全48ページ)
● 第1章 はじめに/代表ごあいさつ
● 第2章 調査概要/調査設計と対象者の属性
● 第3章 介護離職者の特徴 ~介護離職有無などの群間比較から~
● 第4章 介護離職に至るプロセスの特徴 ~介護開始から異動・転職、離職まで~
● 第5章 周辺サポートの満足度、相談先と介護離職の関係
● 第6章 2020年から2025年の変化と考察
● 第7章 調査を踏まえた提言


■ 入手方法
「介護離職白書2026」は、NPO法人となりのかいご公式ウェブサイトおよびお問い合わせフォームを通じて、企業・自治体・教育機関・報道関係者の皆様に無償提供いたします。詳細はお問い合わせください。

公式ウェブサイト: https://www.tonarino-kaigo.org/download/


■ 団体概要
団体名 : NPO法人となりのかいご
代表者 : 代表理事 川内 潤
設立 : 2008年
事業内容: 介護支援コンサルティング事業、普及啓発事業
URL : https://www.tonarino-kaigo.org/


【代表理事 川内 潤(かわうち じゅん)プロフィール】
1980年生まれ。上智大学文学部社会福祉学科卒業。老人ホーム紹介事業、外資系コンサル会社、在宅・施設介護職員を経て、2008年に市民団体「となりのかいご」を設立。2014年にNPO法人化、代表理事に就任。厚生労働省「令和2年度仕事と介護の両立支援カリキュラム事業」委員、育児・介護休業法改正では国会に参考人として出席。
主な著書に『親不孝介護 距離を取るからうまくいく』(日経BP)、『わたしたちの親不孝介護』(日経BP)、『親の介護の「やってはいけない」』(青春出版社)、『上司に「介護始めます」と言えますか?』(日経BP)など。


※本リリースに記載されている数値・コメント・図表は、すべて「介護離職白書2026」(NPO法人となりのかいご発行)に基づいています。

(C) 2026 NPO法人となりのかいご. All Rights Reserved.


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