皮膚常在菌叢が示す肌の転換点を発見 ~児童期~思春期の肌は「11.6歳」で変わる?!~
日本メナード化粧品 総合研究所

日本メナード化粧品株式会社(愛知県名古屋市中区丸の内3-18-15、代表取締役社長:野々川 純一)は、6~18歳の健常女性を対象に、皮膚常在菌叢と皮膚性状との関係について調査しました。その結果、頬の皮膚常在菌叢のバランスが「11.6歳」を境に大きく変化することを明らかにしました。さらに、6~11歳では細菌叢の多様性が高いほど皮膚バリア機能が良好であること、12~18歳ではアクネ菌の割合が高いほど角質水分量が多いことを確認しました。本研究により、年齢によって皮膚常在菌叢の状態が変化し、それが肌のバリア機能やうるおい状態にも大きく影響している可能性が示されました。本成果は、児童期~思春期の肌変化を“菌”の視点から捉えた新たな知見として、今後のスキンケア化粧品開発への応用が期待されます。
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ヒトの皮膚には、アクネ菌やブドウ球菌をはじめとした多様な皮膚常在菌が生息しており、それらは皮膚常在菌叢を形成しています。その構成は、生活環境や外的刺激、個人差などにより変化すると考えられていますが、未成年の皮膚常在菌叢に関する研究は少なく、その詳細は十分に解明されていませんでした。
そこで本研究では、6~18歳の健常女性を対象に皮膚常在菌叢と皮膚性状との関連を解析しました。その結果、頬における皮膚常在菌叢は11.6歳を転換点として構成が大きく変化することが分かりました。さらにその転換点前後について詳細に調べたところ11歳以下では、ブドウ球菌、レンサ球菌、コリネ桿菌の割合が高く、細菌叢の多様性が高いほど経表皮水分蒸散量(TEWL)が低い、すなわち皮膚バリア機能が良好であることが確認されました。一方、12歳以上ではアクネ菌およびブドウ球菌の割合が高く、特にアクネ菌の割合が高いほど角質水分量が多いことが明らかとなりました。
これらの結果から、成長に伴う皮膚常在菌叢の変化が、肌のバリア機能やうるおい状態に影響している可能性が示されました。今後は、年齢ごとの皮膚常在菌叢の特徴と肌悩みとの関連を明らかにすることで、各年代特有の皮膚環境に着目したスキンケア化粧品の開発を目指します。
なお、本研究の成果は2026年6月11日から14日に京都で開催される第125回日本皮膚科学会総会にて発表します。
<参考資料>
1.皮膚常在菌叢の解析
6~18歳の健常女性24名を対象とし、綿棒による拭き取り法で頬の皮膚常在菌を採取し、次世代シーケンサーを用いて皮膚常在菌叢を網羅的に解析しました。その結果、6~11歳では、ブドウ球菌、レンサ球菌、コリネ桿菌の割合が高く、12~18歳ではアクネ菌およびブドウ球菌の割合が高いことが確認されました(図1)。
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図1 被験者ごとの皮膚常在菌叢における各菌の割合
さらに、各菌種についてセグメント回帰分析を行ったところ、細菌叢におけるアクネ菌の割合の転換点は、「11.6歳」であり、それ以降に割合が増加することが判明しました。一方、レンサ球菌およびコリネ桿菌は、ほぼ同時期に割合が低下しました(図2)。
これらの結果から、健常女性の皮膚常在菌叢は11.6歳を転換点として、その構成が変化することが示されました。
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図2 年齢に伴う皮膚常在菌叢における各菌の割合の推移
2.皮膚常在菌叢と皮膚性状との関連性
皮膚常在菌叢の構成が大きく変化する転換点である「11.6歳」を基準に、被験者を6~11歳群と12~18歳群の2群に分類し、それぞれにおける皮膚常在菌叢と皮膚性状との関連性を解析しました。
<6~11歳群における皮膚常在菌叢と皮膚性状との関連性>
6~11歳群の皮膚常在菌叢と皮膚性状との関連性について解析した結果、細菌叢の多様性を示すα多様性指標(Shannon Index)と、肌のバリア機能指標である経表皮水分蒸散量(TEWL)との間に負の相関関係が認められました(図3)。すなわち、細菌叢の多様性が高いほどTEWLが低く、バリア機能が良好な健やかな肌状態であることが示されました。
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図3 細菌叢の多様性とTEWLとの関係
さらに、Shannon Indexはレンサ球菌の割合と正の相関関係を示す一方で、ブドウ球菌およびコリネ桿菌の割合とは負の相関関係にあることがわかりました(図4)。
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図4 各菌の割合とα多様性(Shannon Index)の相関関係
これらの結果から、6~11歳ではレンサ球菌、コリネ桿菌およびブドウ球菌のバランスを適切にコントロールし、皮膚常在菌叢の多様性を高めることが、良好な肌状態の維持・向上につながる可能性が示唆されました。
<12~18歳群における皮膚常在菌叢と皮膚性状との関連性>
12~18歳群の皮膚常在菌叢と皮膚性状との関連性について解析した結果、アクネ菌の割合と角質水分量との間に正の相関関係が認められました(図5)。すなわち、アクネ菌の割合が高いほど、肌のうるおい状態が良好であることが示されました。
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図5 アクネ菌の割合と角質水分量との関係
これらの結果から、12~18歳では、アクネ菌が優勢な皮膚常在菌叢を維持することが、良好な肌状態につながる可能性が示唆されました。
アクネ菌は一般的にニキビとの関連で知られていますが、本来は皮脂などを分解して脂肪酸とグリセリンを産生し、肌を弱酸性に保つことで外部からの有害な菌の増殖を抑制したり、肌のうるおいを保つことで、皮膚のバリア機能を支える重要な役割を担っています。
一方で、皮脂の過剰分泌などによりアクネ菌が過度に増殖すると、炎症性物質の産生が促進され、赤みや膿を伴うニキビの発症につながることがあります。このことから、健やかな肌状態を保つには、皮膚常在菌叢を適切なバランスに保つことが重要です。
【補足資料】 成人の皮膚常在菌叢*
健常人30名(女性15名、男性15名:24~48歳)を対象とし、綿棒による拭き取り法で額及び頬から、夏と冬の2回サンプリングを行い、次世代シーケンサーを用いて皮膚常在菌叢を網羅的に解析しました。その結果、細菌について、性別、部位、季節に関わらず、アクネ菌が最も割合が高く、次いで表皮ブドウ球菌が多く生息していました。
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*International Journal of Cosmetic Science Vol.45 No.3
Relationship between skin fungal and bacterial microbiomes and skin pH
プレスリリース提供:PR TIMES





記事提供:PRTimes