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MRI画像だけで大腸がんの「予後不良タイプ」を見抜く!―体や医療コストの負担が少ない術前診断 AIを開発―

国立大学法人千葉大学

MRI画像だけで大腸がんの「予後不良タイプ」を見抜く


 千葉大学大学院医学研究院の顧文超特任准教授と復旦大学附属腫瘍医院(復旦大学がんセンター)の童彤教授らの研究チームは、MRIの画像から、特に治りにくく再発しやすい「たちの悪い大腸がん」を、AIを使って手術前に見抜く方法を開発しました。3つの病院の大腸がん患者253人のデータで試したところ、高い精度で正しく見分けられることが確認でき、このAIが「たちが悪い」と判定した患者さんは、実際に再発リスクが高いことも分かりました。この技術により、手術の前から患者さん一人ひとりに合った治療方針を立てることができるようになると期待されます。
 本研究成果は、2026年5月19日に、学術誌Radiologyで公開されました。
 (論文はこちら:10.1148/radiol.251719)
[画像1: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/15177/1196/15177-1196-6a9901b063b86b41d7e680aa610fe895-827x550.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
図 本研究概要


■研究の背景
 大腸がんは患者ごとに腫瘍の性質や治療への反応が大きく異なります。コンセンサス分子サブタイプ(CMS)分類では、大腸がんを4つに分けており、その中でもCMS4(注1)はEMT(注2)やTGF-βシグナル経路(注3)の活性化により化学療法や免疫療法への抵抗性が高く、最も予後不良なタイプとされています。しかし、CMS4の判定には高コストな免疫染色や遺伝子発現解析が必要で組織量も限られるため、これまでは手術で取った組織を特殊な検査にかけるしかなく、術前予測は困難でした。そこで本研究では、身体への負担を減らし、術前に広く撮影されるMRI画像からCMS4を予測する手法の開発に取り組みました。

■研究成果のポイント
1. 多施設大規模コホートでの開発と検証:T2強調画像(T2WI)と造影T1強調画像(CE-T1WI)(注4)を活用したマルチパラメトリックMRIラジオミクスモデル「MRC4s」を構築しました。
2. 既存ディープラーニングを上回る高精度:T2WIとCE-T1WIを統合した最終モデル(Merge-MRC4s)は、内部検証でAUC 0.85、外部検証でAUC 0.84を達成し、ResNet50、VGG16、DenseNet201などの代表的なディープラーニングモデル(AUC 0.70‒0.75)を有意に上回りました。
3. 再発リスクの層別化:MRC4sスコアが高い患者群は、低い患者群と比較して再発・転移リスクが約6倍高いことがKaplan-Meier解析で示され、予後予測ツールとしての臨床的有用性が確認されました。
4. 生物学的解釈性の獲得:本モデルが予測するCMS4群ではTGF-βシグナル経路およびEMT経路が顕著に活性化していることが確認されました。さらにSHAP(注5)解析により、各ラジオミクス特徴量の予測寄与を可視化し、解釈可能なAIを実現しました。

[画像2: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/15177/1196/15177-1196-0bc4125c38fab30700a221ae97f2f0ec-248x249.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
千葉大学医学研究院 顧文超 特任准教授
■今後の展望(研究者コメント)
 本研究成果により、術前MRIのみで難治性CMS4大腸がんを同定できる道が開かれました。今後は、本モデルを術前化学放射線療法(注6)の効果予測や、CMS4を標的とした新規治療戦略の患者選別ツールとして発展させるとともに、前向き多施設共同研究による臨床実装に向けた検証を進めてまいります。




■用語解説
注1)CMS4(コンセンサス分子サブタイプ4):2015年にGuinneyらが提唱した大腸がんの分子分類における4つのサブタイプの一つ。間葉系の性質を持ち、TGF-βシグナルや上皮間葉転換が活性化しており、化学療法・免疫療法に抵抗性を示し、予後が最も悪いとされる。
注2)EMT(上皮間葉転換):上皮細胞が運動性の高い間葉系細胞の性質を獲得する現象。がんの浸潤・転移・治療抵抗性に深く関わる。
注3)TGF-βシグナル経路:細胞増殖、分化、免疫抑制、間質形成などに関わる重要なシグナル伝達経路。CMS4大腸がんでは過剰に活性化しており、がん関連線維芽細胞を介して治療抵抗性をもたらす。
注4)T2強調画像(T2WI)/造影T1強調画像(CE-T1WI):MRI撮影法の一般的な撮影方法。T2WIは組織の不均一性、CE-T1WIは血管新生の評価に優れ、両者を組み合わせることでCMS4の生物学的特徴を相補的に捉えることができる。
注5)SHAP(Shapley Additive Explanations):機械学習モデルの予測結果に対し、各特徴量がどの程度寄与したかを定量的に評価する手法。AIモデルの解釈性を高める。
注6)術前化学放射線療法(nCRT):手術前に化学療法と放射線療法を組み合わせて行う治療。直腸がんを中心に標準治療の一つとなっている。

■論文情報
タイトル:Interpretable MRI-based Multiparametric Radiomics for Preoperative Prediction of CMS4 Colorectal Cancer
著 者:Zonglin Liu, Wenchao Gu, Liheng Liu, Shiman Wu, Zhenwei Yao, Yiqun Sun, Dan Huang, Tong Tong
雑誌名:Radiology
DOI:10.1148/radiol.251719

プレスリリース提供:PR TIMES

MRI画像だけで大腸がんの「予後不良タイプ」を見抜く

記事提供:PRTimes

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