ネコの重症熱性血小板減少症候群(SFTS)ウイルスを約85分で検出
株式会社堀場製作所

~核酸分析装置の測定結果が従来法(RT-PCR)と一致、獣医療現場での迅速検出へ~
株式会社堀場製作所(本社:京都市南区、代表取締役社長 足立正之|以下、当社)は、国立健康危機管理研究機構 国立感染症研究所(所在地:東京都新宿区、所長:俣野 哲朗)の獣医科学部 前田 健部長、石嶋 慧多研究員と共同で、マダニ媒介性の人獣共通感染症「重症熱性血小板減少症候群(以下、SFTS)」を引き起こすウイルスの迅速検出に、当社が国内で販売する研究用核酸分析装置「POCKIT Central(TM) Nucleic Acid Analyzer(ポキット アナライザー セントラル ヌークレイック アシッド アナライザー)(以下、「POCKIT Central」)」※1が有用であることを確認しました。
SFTSウイルス(以下、SFTSV)感染が疑われるネコ40頭の血清※2を「POCKIT Central」と従来法(RT-PCR※3)で測定・比較した結果、検査結果が全検体で一致しました。また、ネコの全血※4に不活性化したSFTSVを添加した検体を用いた評価でも、獣医療現場での一次判定に必要な感度を満たす結果が得られました。これにより、従来法で必要となる血清分離などの前処理を簡略化しつつ、約85分で測定結果を得られる可能性が示されました。
「POCKIT Central」は、核酸の抽出※5から検出までを装置内で自動化し、簡便な操作で測定が可能です。さらに、測定後に装置内へUV-C※6照射を行う設計により、作業者の二次感染リスク低減にも配慮しています。本研究の成果は、科学誌「Journal of Virological Methods」でオンライン公開され、同装置によるSFTSの迅速な診断や早期治療への貢献が期待できます。
当社は今後、「POCKIT Central」の動物用医療機器としての製造販売承認取得を進め、獣医療現場での普及をめざします。
[画像1:
https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/103757/51/103757-51-60963fea239775c4bd7af6a6acf2bef1-1000x750.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
POCKIT(TM) Central
[画像2:
https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/103757/51/103757-51-54463fe14e124b85caa508b5f5f71551-1302x1023.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
動物に咬着したSFTSV保有のマダニ(国立感染症研究所提供)
【研究の背景】
SFTSは人獣共通の感染症であり、人および動物に重篤な症状を引き起こすことがあります。マダニによる刺咬に加え、SFTSVに感染した動物の体液との接触によっても感染し、ネコやイヌなどを通じた人への感染事例も報告されています。そのため、SFTSVの感染が疑われる動物を診療する際は、獣医療従事者や飼い主の曝露リスクを低減する観点からも、できるだけ早期にSFTSVの感染状況を把握することが極めて重要です。一方で、院外の研究機関へ検査を依頼した場合、結果が判明するまで数日を要するため、獣医療現場での迅速測定ニーズが高まっています。また、HORIBAは「おもしろおかしくをあらゆる生命へ」をビジョンに掲げ、「ワンヘルス」の考え方に基づいて、人と動物の健康や環境を包括的に捉えた課題解決に取り組んでいます。これらの背景から、本装置の普及に向け、国立感染症研究所の協力のもと本研究を実施しました。
【研究のポイント】
発熱、食欲不振などSFTSへの罹患が疑われるネコ40頭の血清を「POCKIT Central」と従来法(RT-PCR)で測定・評価したところ、全検体の検査結果が一致しました。
さらに、ネコの全血に、不活性化したSFTSVを添加した検体を本装置で測定する試験においても、獣医療現場での一次判定に必要な感度を満たす結果が得られました。これにより、従来法で必要とされる血清分離などの複雑な前処理を行わず、同装置を用いた全血での迅速測定が可能であることが示されました。
[画像3:
https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/103757/51/103757-51-db7c464ec97f903d2f0406e61ddfc30a-1293x1104.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
従来法(RT-PCR)法と「POCKIT Central」による測定を比較したイメージ図
【今後の展開】
SFTSVの感染が疑われる症例では、診療時点での隔離や獣医療従事者の防護具強化など、迅速に感染対策を実施することが重要です。安全性に配慮しつつ短時間で測定結果を得られる本装置は、獣医療従事者を支援するツールとしての活用が期待されます。今後は、動物用医療機器として製造販売承認の取得を通じて本装置の普及に取り組むとともに、尿などの他の検体を用いたSFTSVの検出や、ネコ以外の動物種での評価といった幅広いニーズへの対応をめざします。
また、SFTSV以外にも、多様な感染性病原体を対象とした豊富な試薬ラインアップを有する「POCKIT Central」の強みを生かし、今後もワンヘルスに貢献する取り組みを続けてまいります。
【論文情報】
[表1:
https://prtimes.jp/data/corp/103757/table/51_1_a6a78f7e59f77c3d0c00085dbdece055.jpg?v=202606170315 ]
【「POCKIT Central」の概要】
[表2:
https://prtimes.jp/data/corp/103757/table/51_2_545f8f404b4bbc4a0fe901ccdcf402ff.jpg?v=202606170315 ]
本装置は、台湾のGeneReach Biotechnology Corporationが開発・製造し、当社が国内で販売しています。
製品に関する詳細(URL):
https://www.horiba.com/jpn/veterinary/products/detail/action/show/Product/pockit-central-ruo-6602/
※1 研究用機器・試薬は研究目的で提供されるものであり、現時点では、本製品の測定結果のみをもって疾病の診断を行うことはできません。診断は、患者(動物)の状態や他の検査結果なども勘案し、獣医師が行ってください。
※2 血液を凝固させ、遠心分離すると固形物が沈降し、液性成分が上層に残ります。この上澄みを血清といい、生化学検査などで使用されます。
※3 Reverse Transcription PCR。ウイルスの遺伝子(RNA)を、一度DNAに変換してから増幅し、検出する方法。SFTSVのようなRNAウイルスの検出に用いられます。
※4 採血した血液から成分を分離せず、抗凝固剤を加えて血液が固まらないようにした体内の状態に近い血液。
※5 血液などの検体から、ウイルス遺伝子(RNA)を含む核酸を取り出す工程。
※6 紫外線C波(UV-C) は、細菌やウイルスの核酸を破壊し、高い殺菌効果を有します。除菌や衛生管理に関する機器に広く利用されています。
【お問合せ先】
製品詳細および購入について
お問合せフォーム:
https://www.horiba.com/jpn/veterinary/products/detail/action/show/Product/pockit-central-ruo-6602/プレスリリース提供:PR TIMES


記事提供:PRTimes