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日本への輸出向けドンギ・スノロLNG事業で甚大な生活被害―インドネシア住民らがJBICなど日本の官民へ問題解決を求める要請書を提出

FoE Japan

日本への輸出向けドンギ・スノロLNG事業で甚大な生活


[画像: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/77060/95/77060-95-b6a0805376231a79fcc4320a742c9aec-3648x2048.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]


――「LNG事業が始まる以前は自立した生活を営んでいた。今は企業が設定した区域によって海での漁業活動が制限され、陸にある農地でも十分な収穫を得るのが難しくなっている。十分な雇用機会も提供されていない中、どうやって生活をしていけというのか。石を食べて暮らしていけというのか。」

 2026年6月24日、インドネシアのスラウェシ島で操業を続ける「ドンギ・スノロLNG事業(DSLNG)」により、周辺住民の漁業や農業など生計手段に甚大な被害が及んでいるほか、健康リスクも高まっている可能性があるとして、現地住民グループと日・インドネシアの環境団体が、同事業に関与する日本の官民に対して問題の解決を求める要請書を送付しました。DSLNGは2015年に操業を開始し、生産されるLNGの約65%を日本企業が購入しています。(同事業の概要はこちらをご覧ください。)

 要請書は、中スラウェシ州バンガイ県バトゥイ郡ウソ村の漁民・農民コミュニティ、南バトゥイ郡シノラン村の漁民コミュニティ、および彼らを支援してきたインドネシア環境フォーラム(WALHI)中スラウェシ等が連名で提出。同事業の最大株主である三菱商事(約45%出資)の他、同事業への金融支援(協調融資総額約15億2,700万米ドル)を行った国際協力銀行(JBIC。日本政府全株式保有)、日本貿易保険(NEXI。全額政府出資)、および三菱UFJ、三井住友、みずほの3メガ銀行に対し、地域住民が10年以上にわたり直面してきた問題を確実に解決するための実効性ある措置(適切かつ十分な補償を含む)の策定・実施・モニタリングを透明性のある形で行うこと、また、これらの措置が講じられない限り、DSLNGの稼働期間の継続や長期化につながる上流の新規ガス田開発などの関連事業を推進しないことを強く求めています。

 同書簡の中で住民グループと環境団体は、以下の4つの問題点と解決策を指摘しています。
(1)漁業への影響:ガス関連施設の沿岸海域および大型運搬船の航路が立入禁止区域に指定されたが、建設前に適切な住民協議の機会はなかった。漁業活動の制限により漁民の収入は減少。立入禁止区域のない自由かつ安全な漁場が回復されるべき。
(2)農業への影響:DSLNG事業地の周辺地域で、ココヤシやバナナなど多様な作物に収穫量の減少や生育不良が多発。フレアリング等の影響も鑑み、農作物被害の原因を分析・特定するとともに、問題解決に必要な実効性ある措置を明らかにするための独立した調査が透明性のある形で実施されるべき。
(3)生計手段の実効性ある回復措置の欠如:事業者のCSRプログラム(漁船のエンジンや種子の配布等)はコミュニティのニーズに対する根本的解決になっておらず、現地雇用も限定的かつ非正規のみ。地域住民の生計手段および収入機会は、DSLNG以前の水準において改善していないばかりか、回復すらしていないのが実態。実効性ある措置(「正規」での雇用および能力向上トレーニングを含む)の策定・実施・モニタリングが透明性のある形で実施されるべき。
(4)健康への影響:DSLNG事業地の周辺地域でここ数年、呼吸器系疾患や皮膚疾患の事例が増加しているとの指摘がなされている。同地域における呼吸器系疾患および皮膚疾患の罹患状況や傾向を精査・分析し、原因を特定するとともに、問題解決に必要な実効性ある措置を明らかにするための独立した調査が透明性のある形で実施されるべき。

 今回の要請書では、上述の状況が、日本の官民がそれぞれ遵守すべき『環境社会配慮確認のための国際協力銀行ガイドライン』等の環境・社会・人権に係る指針や『OECD多国籍企業行動指針』等の国際規範に違反している可能性も指摘しています。

 WALHI中スラウェシのキャンペーンおよびメディア・マネージャーであるWandiは「東インドネシアにおいて大規模な石油・ガス事業者による操業は、この10年近くの間、地域住民の生計手段の持続可能性に対して重大な禍根を残し続けてきた。海域における立入禁止区域の設定は、住民の行動を制限しただけでなく、生活のすべてを海に依存している漁業コミュニティの経済的な命綱を断ち切る結果となっている。
こうした状況を踏まえ、私たちは、本事業を先頭に立って推進してきた日本企業、およびこのLNG事業に金融支援を行ってきた銀行団らに対し、早急に包括的な評価を実施するよう強く求める。投融資が、沿岸地域に暮らす人々の基本的人権や生活空間を侵害することに加担するような事態は、決してあってはならない 」と述べています。

WALHIの「公正なエネルギー移行」キャンペーナーであるFaisalは次のように述べています。「中スラウェシ州のDSLNGのような液化天然ガス(LNG)事業は、進歩と経済成長のシンボルとして宣伝され続けている。しかし、投資やエネルギー移行という語り口の裏で、地域住民はむしろ、拡大の一途をたどる生態系破壊のリスクに直面させられている。大規模な採取産業の拡大は、地域の景観を変え、沿岸や海域への負荷を強め、大気、水、土壌の汚染リスクをもたらしている。これらは、生物多様性や住民の生計手段の基盤を脅かすものだ。
漁業や農業、現地の資源に依存して生活を営むコミュニティにとって、DSLNGの開発は単なる一産業プロジェクトではなく、自らの生活空間そのものの問題だ。土地や沿岸空間が企業の利益のために集中管理されることは、紛争を引き起こし、地域住民や先住民族を社会的に疎外化させ、長年かけて築かれてきた社会的・文化的構造を崩壊させるリスクをはらんでいる。雇用や繁栄の約束は、住民が長期的に背負わされる社会的・生態学的な負担とは、到底見合うものではない。
したがって、私たちはDSLNGの開発を単なる投資や経済成長の視点だけで捉えるべきではないと断言する。国家と企業は、情報公開や『自由意思に基づく、事前の、十分な情報に基づく同意 (FPIC)』の原則の尊重から、発生した被害の回復に至るまで、環境の安全と住民の権利を最優先の基盤として位置づける義務がある。未来への道と謳われるエネルギーが、生活空間の強奪や生態系の犠牲の上に築かれてはならない。公正な開発とは、環境の持続可能性と社会正義が、資本蓄積の利益よりも上位に置かれたときに初めて実現するものだ。」

国際環境NGO FoE Japanの開発と人権キャンペーナーである波多江秀枝は「日本では、ガスについて脱炭素への移行の中で必要な繋ぎの燃料と喧伝されているが、その開発の裏で起きる甚大な環境・社会・人権への影響は決して看過されるべきではない。DSLNG周辺でも新たなガス田の探査や開発などが進められているが、地域住民が10年以上にわたり直面してきた問題の解決が後回しにされてはならない。日本が深く関与する同事業において、日本の官民が国際規範に則った即時かつ実効性のある是正措置の実施を率先して行っていくべきだ」と指摘しています。

詳細は、以下の要請書をご覧下さい。
 >PDFはこちら(和訳)
 >英訳はこちら
 >インドネシア語原文はこちら 

本件に関する問合せ先:
インドネシア環境フォーラム(WALHI)中スラウェシ(担当:Wandi)
Email: sulteng@walhi.or.id

WALHI本部(担当:Faisal)
Email: Faizalabdrahman@walhi.or.id

国際環境NGO FoE Japan(担当:波多江)
Email: hatae@foejapan.org

プレスリリース提供:PR TIMES

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