B2Bテレコム営業でカスタマーサクセスが解約と成長を左右、AI活用で更新業務の時間20%減の事例も 【A.T. カーニー】
KEARNEY

契約獲得はゴールではなくスタート地点――CSMをコストセンターから成長エンジンへ再設計を提言
A.T. カーニー株式会社(東京都港区、日本代表:針ヶ谷 武文)は、B2Bテレコム営業の変革に関する論考「B2Bテレコム営業の再定義:カスタマーサクセスこそが、リテンションと成長を左右する理由」を公開しました。
本稿では、「大型案件を獲得したら次へ進む」という従来のB2B営業モデルがもはや持続可能ではなく、顧客が完全に離脱する「ハードチャーン」と支出が徐々に減少する「ソフトチャーン」の双方が深刻な脅威となる中、テクノロジー・SaaS業界に深く根付いたカスタマーサクセスマネジメント(CSM)が、B2Bテレコムでは依然として十分に活用されていないことを指摘しています。
CSMは単なる解約防止策ではなく、これまで取りこぼしてきた収益を獲得するための手段です。本稿は、CSMを成長エンジンとして機能させるための3つのマインドセット転換、SaaS業界の先行事例から得られる3つの教訓、そしてテレコム事業者が陥りがちな4つの課題と解決の方向性を提示しています。
ハードチャーンとソフトチャーンの二重の脅威、求められる3つのマインドセット転換
従来型のB2Bテレコム営業チームは契約獲得には注力する一方、顧客維持、契約拡大、解約防止に苦戦しています。企業顧客がよりコスト効率が高く、柔軟で、価値を重視したソリューションを求める中、テレコム事業者が継続的な関与を生み出し、ROI(投資対効果)を証明できなければ、顧客は他社へと目を向けることになります。
こうした中で重要になるのがCSMです。歴史的にサポート機能と見なされてきたCSMは、現在では顧客エンゲージメント、リテンション、収益拡大を支える中核的なエンジンへと進化しています。正しく機能すれば、CSMは契約拡大を促進し、価格感応度を下げ、顧客にとってのスイッチングコストを高めることができます。
先進的なテレコム事業者は、従来のアカウントマネジメントを超え、CSMの考え方をGTM(Go-to-Market)戦略に組み込み始めています。この転換には、1.取引中心の営業から長期的なパートナーシップへ、2.汎用的なアカウント管理から能動的な価値提供へ、3.受動的なサポートからAI・予測分析を活用したデータドリブンなエンゲージメントへ、という3つのマインドセットの変化が求められます。
CiscoはAIエージェントで50超のデータソースを統合、更新業務の時間を20%削減
AIは、テレコム事業者が顧客と関わり、関係を維持・拡大する方法そのものを変えつつあります。一部のテック企業は人員を合理化する一方でAI主導の自動化に注力し、追加の人員コストをかけることなくカスタマーサクセスを推進しており、テレコム事業者もこの動きから学ぶべきだと本稿は指摘しています。
その好例が、CiscoがMistral AIと共同で開発したAI搭載のカスタマーサクセスエージェントです。50超の構造化・非構造化データソースを統合し、更新提案の自動化、リアルタイムの感情分析、そして顧客成果に紐づいたデータドリブンなレコメンデーションを提供します。その結果、更新プロセスに要する時間は20%削減され、チームはより付加価値の高い顧客対応に集中できるようになりました。
一方、CSMを先駆けて導入したテック・SaaS企業の多くは、実行力不足やインセンティブ設計の不整合により、近年この機能を縮小しています。本稿はこうした先行事例から、1.利用状況・定着度を追跡するテレメトリー機能を製品に組み込む、2.営業が契約を獲得し、CSMが能動的な関与を通じて維持・拡大を担うという役割分担を明確にする、3.リテンション・アップセル・利用深化を含む「アカウント全体の成長」に報酬を連動させる、という3つの教訓を提示しています。
4つの課題と解決の方向性を提示、営業とサクセスを含む運営モデル全体の再設計を提言
多くのテレコム事業者はCSMの重要性を認識しながらも、実行段階でつまずいています。本稿は陥りがちな課題として、1.成長エンジンではなくコストセンターとしての運用、2.過剰または過小なスケール、3.汎用人材の採用による機能不全、4.営業・プロダクト・マーケティングからのサイロ化――の4類型を挙げ、それぞれの解決の方向性を示しています(図表1)。
これらの障害を乗り越えるには、単にCSMを導入するのではなく、新たなKPI・インセンティブ設計、AIを活用したエンゲージメント、部門横断の整合を含む、営業とサクセスを含むオペレーティングモデル全体の再設計・最適化が必要だと本稿は指摘しています。
その結果、CSMはリテンションを改善するだけでなく、契約拡大を加速し、顧客の推奨行動を強化する真の成長エンジンとなります。CSMが積極的に収益を生み出していないのであれば、それはコストになっている――CSMはチェックボックスではなく、長期的な収益成長を支える中核であると本稿は強調しています。
図表1 テレコムCSMの4つの課題と解決の方向性
[画像:
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論考について
論考名:「B2Bテレコム営業の再定義:カスタマーサクセスこそが、リテンションと成長を左右する理由」(英題:B2B telco sales has changed forever: why customer success is the key to retention and growth)
URL:
https://www.jp.kearney.com/issue-papers-perspectives/b2b-telco-sales-has-changed-forever-why-customer-success-is-the-key-to-retention-and-growth
監修者
- 針ヶ谷 武文 日本代表 マネージングディレクタージャパン / シニアパートナー
東京大学教養学部卒業。大手通信会社で営業企画・事業企画・サービス開発を経て、A.T. カーニーに入社。通信・ハイテク・メディア企業を中心に、約20年の超えるコンサルティング経験を有する。事業会社における様々な組織横断での事業推進の経験を下敷きに、デジタルを始めとするトランスフォーメーション、海外事業戦略、新規事業戦略、事業ポートフォリオの再構築、事業ターンアラウンドのテーマを中心に地の足の付いた実効性の高いコンサルティングサービスを提供。
- 滝 健太郎 シニアパートナー
東京大学経済学部経済学科を卒業後、A.T. カーニーに入社。約10年のコンサルティング経験を有する。通信・金融機関・消費財を中心に、戦略~新規事業・R&D~M&A~マーケ・営業~オペレーション~コスト~人事・組織など、経営に係わる幅広いテーマを手掛け、特に、全社レベルでの大規模デジタルトランスフォーメーションを得意とする。
A.T. カーニーについて
A.T. カーニー(グローバル・ブランド名:Kearney)は、100年にわたり世界有数の経営コンサルティングファームとして、Fortune Global 500企業の4分の3以上をはじめ、世界各国の政府機関に信頼されるパートナーであり続けてきました。40カ国以上に拠点を展開し、私たちの最大の強みは「人」にあります。インパクト・ファーストを掲げ、独創的な発想と実行力をもって、顧客企業が直面する最も困難な課題に挑み、変革の実現をともに推進します。日本には1972年に進出し、あらゆる主要産業のリーディングカンパニーに対し、戦略策定から変革の実行まで一貫した支援を提供しています。詳しくはWebサイトをご覧ください。
www.jp.kearney.comプレスリリース提供:PR TIMES
記事提供:PRTimes