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高速光通信デバイスの性能低下要因をナノメートルスケールで解明する分析サービス開始

株式会社東レリサーチセンター

高速光通信デバイスの性能低下要因をナノメートルスケ

~近赤外発光と材料構造の相関解析により故障解析・性能向上を支援~


【要旨】

株式会社東レリサーチセンター(所在地:東京都中央区日本橋本町一丁目7番2号、社長:真壁芳樹、以下「TRC」)は、光通信に利用される半導体材料やシリコンフォトニクス※1関連材料を対象に、近赤外光※2の発光特性を空間的にナノメートルスケール(1ナノメートルは10億分の1メートル)で評価できる受託分析サービスを開始しました。
近年、生成AIの普及やデータセンターの急速な増設に伴い、大容量の情報を高速かつ低消費電力で伝送する技術への期待が高まっています。その中核を担う光通信デバイスでは、発光性能の向上や品質確保が重要な課題となっています。
今回、TRCは、独自に展開してきたSTEM-CL法※3の検出波長範囲を拡張し、光通信で利用される光通信波長帯※4で利用される1.3 μm(1300 nm)帯および1.55 μm(1550 nm)帯を含む近赤外発光の解析を可能にしました。これにより、「どこが発光しているのか」「なぜ性能が変化するのか」といった課題について、発光特性と材料構造・元素組成との関係を空間的にナノメートルレベルで解明することができます。
TRCは本サービスを通じて、光通信デバイスやシリコンフォトニクス材料の研究・技術開発、品質向上、不具合の原因究明を支援し、お客様の製品開発の加速に貢献します。

【背景】

生成AIやデータセンターを背景に、高速かつ低消費電力な情報通信を実現する技術へのニーズが急速に高まっています。光通信やシリコンフォトニクスは、その実現を支える次世代情報通信基盤として注目されています。これらの技術では、光を発生させる半導体材料やデバイスの性能が重要です。しかし、デバイス内部では数十から数百ナノメートルという極めて微小な領域で発光が生じるため、その発光状態を詳しく調べることは容易ではありません。また、発光効率の低下や発光波長のずれ、不良発生の原因を明らかにするには、発光特性だけでなく、材料の構造や元素組成との関係を解析する必要があります。
TRCではこれまで、走査透過型電子顕微鏡(STEM)※5とカソードルミネッセンス(CL)法※6を組み合わせたSTEM-CL法により、主に可視光領域の発光解析を行ってきましたが、今回、新たに近赤外用InGaAs検出器※7とクライオ(低温)測定機能※8を導入したことで、光通信波長帯を含む近赤外領域の発光評価を可能にしました。

【本サービスの特長】

主な特長は以下の通りです。
1. 光通信波長帯を含む近赤外発光の評価
従来の可視光領域に加え、900~1600 nmの近赤外領域に対応しました。1300 nm帯および1550 nm帯を利用する光通信材料やデバイスの発光特性を評価できます。
2. 発光特性と材料構造を同時解析
STEM観察とCL分析を組み合わせることで、発光位置と微細構造を同一試料・同一領域で対応付けて解析できます。さらに元素分析結果と組み合わせることで、発光特性の起源となる構造や組成を特定できます。
3. 不具合や性能低下の原因究明を支援
発光不良や出力低下、発光波長のずれなどについて、発光特性と材料情報を関連付けて解析することで、問題発生要因の解明に役立ちます。
4. 研究・技術開発から故障解析まで幅広く活用
新材料開発、試作品評価、品質保証、不良解析など、多様な開発・評価プロセスで活用できます。

【分析・解析の事例】

・光通信向けレーザーダイオード※9の評価
図1は、市販の近赤外用レーザーダイオード断面を対象にSTEM-CL解析を行った結果です。発光層※10では1200 nm付近に明瞭な発光ピークが確認され、レーザー発振に関係する活性層由来の発光と推察されました。一方で、発光層の周囲に配置された光閉じ込め層※11では970 nm付近に異なる発光ピークが観測されました。この結果は、デバイス内部の各機能層からの発光をナノメートルレベルで空間的に分離して検出できることを示しています。従来は困難であった発光特性と微細構造との直接対応付けを可能にし、光通信デバイスの性能向上や品質改善に役立つことが期待されます。
[画像1: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/172881/51/172881-51-a6ba6bf097f5037545938ba307a0124e-989x633.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
 図1. 市販の近赤外用レーザーダイオードの断面STEM像(a)、(b)、発光スペクトル(c)                (緑:測定点1(光閉じ込め層)、赤:測定点2(発光層))

・シリコン材料の評価
シリコン結晶を対象とした評価では、低温測定により、室温では検出が難しい微弱な近赤外発光を観測しました(図2)。液体ヘリウムによる冷却条件下では、1160 nm付近のSiバンド端発光(TO線)に加え、1300 nm付近および1400 nm付近の転位関連発光(D3線、D2線)が確認されました。この結果は、本技術がシリコン材料中の結晶欠陥※12や構造変化を評価する有効な手段となることを示しています。
[画像2: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/172881/51/172881-51-9a8e8f8e298647b7fa592216d9ed5413-929x630.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
図2. シリコン結晶のSTEM-CLスペクトル


【お客様への提供価値】

本サービスでは、光特性、結晶構造、元素組成の関係を同一試料内で統合的に評価することができます。これにより、光通信デバイスやシリコンフォトニクス材料の研究・技術開発を効率化し、製品性能および品質の向上に貢献します。
期待される活用例は以下の通りです。
・光デバイスの性能向上
・発光波長のばらつき要因の解析
・発光不良や性能低下の原因究明
・シリコンフォトニクス材料の評価
・研究・技術開発の効率化
・品質向上および信頼性向上
特に、発光情報と構造情報をナノメートルスケールで直接対応付けて解析できる点が、本サービスの大きな特長です。

【今後の展開】

TRCは今後、光通信デバイス、シリコンフォトニクス、次世代半導体材料分野に向けた分析サービスをさらに拡充してまいります。くわえて、STEM-CL法をはじめとする先端分析技術を組み合わせた総合解析を高度化し、新しい材料やデバイスの研究・開発および品質向上を支援してまいります。
 また、本サービスを通じて次世代光通信技術の発展に貢献するとともに、お客様の製品開発のスピード向上と競争力強化を支援してまいります。

【用語説明】

※1 シリコンフォトニクス
半導体製造技術を用いて、シリコン基板上に光信号を伝送・制御する微細な光回路を形成する技術です。高速・大容量通信や低消費電力化を実現する基盤技術として、データセンターや光通信分野で注目されています。
※2 近赤外光
人の目には見えない、赤色の光よりも波長が長い光です。本サービスでは、主に900~1600 nm程度の近赤外領域の発光を対象としています。
※3 STEM-CL法
走査透過型電子顕微鏡(STEM)にカソードルミネッセンス(CL)分光装置を組み合わせた分析手法です。ナノメートルオーダーの形態観察と、試料からの発光スペクトル解析を同一試料で行うことができます。
※4 光通信波長帯
光ファイバー通信で主に利用される近赤外領域の波長帯です。代表的には1300nm帯や1550nm帯があり、光ファイバー中で信号が伝わりやすいため、インターネット通信、データセンター間通信、高速通信ネットワークなどで広く利用されています。
※5 走査透過型電子顕微鏡(STEM)
電子線を用いて材料内部の微細な構造を観察する電子顕微鏡です。ナノメートルレベルの観察が可能で、半導体や先端材料の研究開発に広く利用されています。
※6 カソードルミネッセンス(CL)法
電子線を試料に照射した際に発生する光を検出し、発光波長や発光強度を解析する手法です。半導体材料などにおけるバンドギャップ、欠陥、不純物、応力などに関する情報を得ることができます。STEM観察や元素分析と組み合わせることで、発光特性と構造・組成との関係を詳しく調べることができます。
※7 InGaAs検出器
近赤外領域の光検出に用いる検出器です。本サービスでは、STEM-CL実験系に近赤外用InGaAs検出器を追加することで、装置として900~1600 nmの測定に対応しました。
※8 クライオ(低温)測定
液体ヘリウムなどを用いて試料を低温に冷却して行う測定です。低温化により熱的な非発光過程を抑え、室温では弱い発光を検出しやすくします。
※9 レーザーダイオード
電気を流すことでレーザー光を発生する半導体デバイスです。光通信、距離測定、医療機器など幅広い分野で利用されています。
※10 発光層
半導体デバイスの中で実際に光を発生する部分です。材料の組成や構造によって、発光する波長や効率が決まります。
※11 光閉じ込め層
発光層で発生した光をデバイス内に閉じ込め、効率よくレーザー発振させるための層です。発光層の周囲に配置され、光の広がりを制御する役割を持ちます。
※12 結晶欠陥
結晶中の原子配列が乱れた部分です。半導体材料では、発光特性や電気特性、信頼性に影響を与えることがあります。

プレスリリース提供:PR TIMES

高速光通信デバイスの性能低下要因をナノメートルスケ

記事提供:PRTimes

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