【福井県坂井市】今年もあの恐竜博士・小林快次北大教授が来た!
坂井市役所

龍翔博物館の鉱物展示に合わせ記念講演会
「鉱物も恐竜化石も地球の物語を教えてくれる」
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身振り手振りを交えながら、鉱物・岩石と恐竜化石について熱く語った小林快次・北海道大学教授
恐竜研究の第一人者で、国内で初めて恐竜の全身骨格カムイサウルスを発掘したことでも知られる北海道総合博物館の小林快次教授(55)=福井市出身、札幌市在住=が8月9日、福井県坂井市の龍翔博物館で講演した。ちょうど同館で開かれている展覧会「地球がつくるミネラルアート」展(9月6日まで)に合わせての記念講演会。小林教授は恐竜ファンら約70人を前に、「鉱物も恐竜化石も、長い地球の歴史の物語を教えてくれる」、「恐竜研究者は発掘の時に、岩や石と対話しながら、化石発見につながる大事なヒントを探している」などと語り、時空を超え、長く壮大な地球の物語を教えてくれる鉱物について、「きれいだな、で終わるのではなく、そのきれいな鉱物がどのような地球の変動を受けてできてきたのかを考えながら、観察してみよう」と呼び掛けた。また講演終了後の質疑応答では、恐竜に関する質問が殺到。小林教授は、恐竜研究の最前線の動向を踏まえて、ひとつひとつ丁寧に“恐竜への疑問”に答えていた。
小林教授の講演の主な内容は次の通り
もともと石って身近にあるけれど、みんなも、あまり深く考えたことがないのではないか。僕も、中学時代、石って自宅のハンマーで叩くと「簡単に割れるんだ」と思ったのが最初の出会い。地球上の岩(石)は「火成岩」「変成岩」「堆積岩」の3つによって成り立っており、この3つの岩が長い時間をかけて、常に循環して少しづつ変化している、これは「ロックサイクル」と呼ばれている。火成岩は熱いマグマが冷やされて岩になる、それが急速に冷やされたのか、ゆっくり時間をかけて冷やされたのか、によっても岩を形成している鉱物の特徴、性質が大きく変わる。だから展示されている鉱物をよく見てもらうと、キラキラしたものや、形が変わったものがあるが、その鉱物が、どのように形成されてきたのかをじっくり考え、さらにその奥の地球の歴史や物語を感じてもらいたい。
展示会場で鉱物をみて、「あー、きれいだな」と眺めるのもいいけれど、その色や形から、この鉱物は一体どんな状況から生まれてきたのか、地球のとても長い歴史や物語を考えながら観察してみよう。本来、すごく深い地中にあった鉱物が地球の表面に出てきて、僕たちと出会っている、これはすごい感動もの。そう考えながら「よくがんばったね」と鉱物に話しかけながら見てもらうと、何となく感じるものがあると思う。これは恐竜化石との出会いにも同じことが言える。
さて、「火成岩」、「変成岩」、「堆積岩」のうち、恐竜化石が出るのはどの岩か分かるかな?そう「堆積岩」。堆積岩は岩が崩れ積もって石になったものだから、恐竜化石はほぼ堆積岩から見つかる。君たちが恐竜化石を探したいなら、その国の「地質図」を手に入れて、まずは堆積岩がある場所を探す、次に大事なのは年代、三畳紀かジュラ紀か、白亜紀か、それによって違う。あと、その場所が「水が流れていた地層か」も大事。水は山から流れてきて、やがて海に流れ出る。そして川、湖、海というところに堆積物がたまる。浸食・運搬・堆積、この3つの作用を繰り返して土砂が堆積していく。堆積岩は「砂岩」、「礫(れき)岩」、「泥岩」の3種に分けられるけれど、恐竜化石は主に「砂岩」と「泥岩」がかけ合わさったところから出やすい。
例えば、僕が命名したカムイサウルス(むかわ竜)は、かつて海底だった地層から見つかっているけれど、海岸から10キロほど沖合に沈んでいた。その辺りは泥しかないはずだが、砂岩があった。おそらく、非常に速い流れで砂とともに遠洋に押し出された結果と推察できる。つまり「津波」によって遠洋まで引き擦り込まれた可能性がある。こういうように研究者は、恐竜化石が発見される地層や岩石と対話しながら、当時の環境を考えている。また首長竜のお腹の中から「胃石」と呼ばれる石が出てきて、それを調べるとその首長竜が、どのあたりの大陸を移動してきたかが分かる。研究者にとっても、岩石は、恐竜の時代の地球を知るためのとても大事な要素なんだ。
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最新刊の自著「恐竜とぼく」を手に、少年時代の思い出を語る小林教授
僕の恐竜化石発掘の始まりは、高校時代。決して小さいうちから恐竜に興味があったわけではないし、恐竜少年でもなかった。中学生の時は、和泉村(現大野市)や美山町(現福井市)、嶺南まで足繁く通い、化石を探していたが、もっぱら形の美しいアンモナイトばかりを採集していた。実は恐竜の化石探しは、まぁ、つまらない。高校時代、実際に参加してもそう面白くなかった。だって、恐竜の化石は岩のシミのような感じで、見つかっても実は骨なのかどうか本人には分かりにくい。つまり、石と恐竜化石を見分けるのには“慣れ”が必要。どうやって見つけるかというと、石つまり堆積岩をしっかり理解すること、砂に語りかけることが大事。砂や石に語りかけながら、「あれ、ここは石じゃないな、砂じゃないな」ということが浮かんでくることで、恐竜の化石に出逢う。だから、恐竜探しというのは、化石ばかりを求めてもダメ。鉱物、そして岩(堆積岩)をしっかり理解することが、発見につながる。
いま、恐竜博物館で展示されている化石はクリーニングが終わった後だから、きれいに化石と分かるけれど、見つけるまでは本当に分からない。でも、僕が恐竜研究者になったのも、高校時代いっしょにいた恐竜研究者の先輩や大学院生たちが、本当に楽しそうに発掘や化石探しをやっていたから。その姿を見ながら、恐竜研究って楽しい仕事なんだろうな、と思っていた。
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恐竜ファンの子どもたちも含め会場は70人の満員だった
これまでの自分がたどった人生で、いろいろな本から刺激を受けて来た。中学校の時は「超高速粒子タキオン」の本。地球上で一番速いとされる光よりも、もっと速い物質があるんじゃないか、それがタキオンだと。そんな物質があったら、タイムマシンができるんじゃないかと夢中になった。高校の時は国語の時間は冒険家の植村直己さんの北極やアラスカ探検の本、冒険ものが好きで、授業そっちのけで読んでいた。大学時代、19歳の時、映画の「いまを生きる(Dead Ports)」という映画に大きな影響を受けた。「いまを生きろ」から「真の自由は夢の中にある」など素晴らしい言葉がどんどん出て来る。この映画を見て、他人に決められた人生でなく、自分の意志で生きることの大切さを学び、僕の人生がガラッと変わった。
恐竜の本では映画がとても有名になった「ジュラシック・パーク」、あの小説の中では恐竜のDNAを抽出して現代によみがえらせる発想が面白く、映画も大ヒットした。あの映画のお陰でどれだけ多くの研究者が恐竜博士を目指すようになったか、僕もそのうちの1人。現在の研究では恐竜のDNAを取り出すことは無理だけど、恐竜のタンパク質を再現しようとする研究はかなり進んでいる。
で、今は何の本を読んでいるか。明日から僕はカナダでの恐竜の発掘調査に向かうが、僕を含めて研究者たちは、発掘現場を歩きまわりながら、実は地球という本をずっーと読んでいる。恐竜化石が眠る地層を読み解く、地層の上からこういう恐竜がいた、さらのその上の地層(時代)にはこんな恐竜がいた、恐竜の変遷、どんな恐竜が生きていたのか。地層にある化石、鉱物、岩石…要は地球(本)に出てくるキャラクターなんです。どんなキャラクターが出て来るのか、それを読むことは、つまり地球の歴史を読み解くことでもあるんだよ。
【会場との主な質疑応答は次の通り】
恐竜の進化した姿が「鳥」というのは本当?
小林 いま、鳥へ進化したという証拠がどんどん出ています。地球上で2本足で歩いている動物は、人もそうだが、実は鳥も2本足。恐竜は元々は2本足で歩いていた。恐竜が2本足、鳥が2本足だから、鳥が昔は恐竜だった、とつながる。さらに1990年代に羽毛恐竜が中国で大量に見つかった。すると、ちょっとずつ恐竜が鳥になっていく様子、進化の様が分かるようになってきて、今では鳥が恐竜が生き残りだというのは、ほぼ確実。勝山の県立恐竜博物館へ行って、2階展示室に始祖鳥とか羽が付いた状態の模型があるけれど、あれを見るとほぼ鳥。現代のダチョウでもヒクイドリでも、見たらほぼ恐竜ですよ。
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会場からの恐竜や恐竜化石の疑問、質問にひとつひとつ丁寧に答える小林教授
竜脚類はなぜあんなに巨大化したのか?
小林 実はあの巨大な姿になったのは呼吸法と深く関係している。恐竜の仲間の鳥で説明すると、鳥の呼吸法は、人間のようの肺に横隔膜がない代わりに、体内にいくつも空気を貯める袋を持っている。空気を吸って、新鮮な空気を後ろの袋に貯めて、その空気を肺を通して前の袋に移す。そして外に出す。その空気を通すために骨が空洞化している。空気が骨の中を通って後ろから前へ流れている一方で、血液を前から後ろに流す。対流交換システムと言うんですが、それによって効率よく酸素を取り入れ、二酸化炭素を外に出している。鳥は進化によって、この優れた呼吸法を取り入れたので、飛ぶという激しい運動もできる、骨を空洞化、軽量化することで体を小さくして飛ぶことができるようになった。鳥と同じ仲間の恐竜(竜脚類)は、骨を空洞化することで体を大きくしたわけ。われわれ哺乳類は、恐竜のような呼吸法はできないので、あんなに巨大になることはできない。だから、竜脚類が巨大化した要因は、骨を空洞化して軽量化したから。
スピノサウルスは、本当に泳げた?
小林 スピノサウルスは映画「ジュラシック・ワールド」の中で、水中でめっちゃ泳いでいたが、実は2つ説があって、学者の間でも「泳げる派」と「泳げない派」に分かれている。僕は「泳げない派」。なぜなら、いろんな研究があるが、スピノサウルスをコンピューターでシュミレーションして水に浮かすと、パタリと倒れてしまう。あんなふうにスイスイと泳げない。さらに泳げるという理由が、腕の長さだったり、尻尾だったりといろいろあるが、それだけでは言えないというのが正直、僕の感想。でもスピノはみんな大好きだし、人気がある恐竜でもあるし、泳いだという論文もある。僕の意見とは違うけれど、僕が監修しているTV番組の中では「泳がせている」こともある。でも、本心では「泳げない」と思う。
なぜ福井県は、たくさんの恐竜化石が出るのか?
小林 福井は4代前の栗田知事、そのあとの西川知事が、「よし、お金をかけて恐竜化石の発掘しようと」言ってくれたから、あれだけたくさんの恐竜化石が見つかった。実は恐竜化石が出る地層というのは、他県にもいっぱいある。例えば兵庫県、熊本県、北海道にもある。問題は発掘にどれだけお金をかけるか。だから、福井の場合には当時の県政が「よしやろう」とお金をかけてやったから、たくさんの恐竜化石が出た。それが、今の県立恐竜博物館の成功につながっている。また、優秀な人材が集まって上手に掘ったから、ということもあるね。
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小林快次(こばやし・よしつぐ)1971年、福井市生まれ。北海道大学総合博物館教授、同館副館長。1995年、ワイオミング大学地質学地球物理学科を首席で卒業し、2004年、サザンメソジスト大学地球科学科で博士号を取得。ゴビ砂漠やアラスカ、カナダなどで発掘調査を行いつつ、恐竜の分類や生理・生態の研究を行う。2004~05年には、福井県立恐竜博物館の開館準備やオープンに学芸員としてタッチ。これまでフクイサウルス、カムイサウルス、ヤマトサウルス、パラリテリジノサウルスなど日本の恐竜を命名。
『恐竜は滅んでいない』『ぼくは恐竜探険家!』など恐竜関係の著書多数。今年の6月に自伝的な随筆「恐竜とぼく」(創元社)が発刊された。
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「地球がつくるミネラルアート ~ようこそ、きらめく鉱物の世界へ」展世界から集めた蛍石(フローライト)や水晶など約400点の鉱物を集めた県立こども歴史文化館との共催展で、多種多様な色、形、特徴のある鉱物が楽しめる。日本はもちろん福井県内の珍しい鉱物も紹介、世界でも福井市美山地区でしか採取されない「金平糖石」なども展示されている。
■会場 龍翔博物館(福井県坂井市)
■会期 ~9月6日まで(水曜休館日、水曜が祝日の場合は開館)
■入場料 無料だが、入館料は必要。
■問い合わせ 電話0776₋82―5666
プレスリリース提供:PR TIMES





記事提供:PRTimes