ニチレイフーズ「アマニ豚」の脂が示す新たな消化特性を確認
株式会社ニチレイフーズ

-成人・高齢者モデルによる胃・小腸を模擬した試験で「一般豚」の脂との違いを評価-
株式会社ニチレイフーズ(代表取締役社長:竹永雅彦)は、筑波大学と学術指導契約を締結し、アマニ油脂肪酸カルシウム配合飼料で肥育した「アマニ豚」の脂について人工消化試験を実施しました。
その結果、「アマニ豚」の脂は「一般豚」の脂と比べてヒトの胃や小腸を模擬した環境で分解されやすい傾向を示すことを確認しました。なお、本試験は人工消化試験による結果であり、ヒトでの消化吸収性や健康効果を評価したものではありません。
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◆研究背景
近年、魚介類の摂取量が減少する一方で、肉類の摂取量は増加しており※1.、健康維持に重要な役割を果たすn-3系脂肪酸(オメガ3脂肪酸)を魚介類以外の食品から摂取することへの関心が高まっています。当社が研究対象としている「アマニ豚」の脂は、アマニ※2.由来の成分を含む飼料を給与して育てた、豚から得られる脂であり、「一般豚」の脂と比較してオメガ3脂肪酸※3.の含量が高く、脂の融点が低いことが特長です。このような脂質特性を有することから、当社は「アマニ豚」の脂の消化特性に関する研究を進めています。
◆発表概要
当社は、2025年に開催された日本食品工学会第26回(2025年度)年次大会において、「アマニ豚」の脂についてヒト胃消化シミュレーター(Gastric Digestion Simulator、以下GDS)※4.を用いた成人モデルでの評価を実施し、「一般豚」の脂と比較して、脂の広がり方や溶出挙動に違いがみられることを発表しました。
2026年に開催された日本食品工学会第27回(2026年度)年次大会では、「アマニ豚」の脂の消化特性をより詳細に明らかにすることを目的として、昨年実施した成人モデルでのGDS試験に加え、新たに高齢者モデルでの評価と、電位差自動滴定装置※5.を用いて、成人および高齢者の両モデルにおいて小腸消化環境を模擬した試験を実施し、脂の消化挙動を発表しました。
※1. 出典:水産庁「令和6年度 水産白書」
※2.アマニ(亜麻仁)とは、アマ(亜麻)という植物の花の種子(仁)
※3.アマニや魚油などに含まれる多価不飽和脂肪酸の一種で、体内で十分に合成できないため食事から摂取する必要がある必須脂肪酸
※4.GDSとは:ヒト胃のぜん動運動を模擬し、ぜん動運動が駆動する条件下での食品の消化挙動を直接観察・評価できる装置
※5.滴定中に生じる電位変化を連続的に測定することで、化学反応の終点を自動的に判定し、成分量を定量する分析装置
◆実験方法
1.豚ロースの背脂を1cm角にカットし、袋に入れる
2.お湯を沸騰させ、カットした脂を2分間加熱する
3.調理後、人工唾液を袋に入れ、混合する
4.混合後、人工胃液を加え、胃の消化環境を模擬した装置であるGDS(Gastric Digestion Simulator)に投入する
5.GDSに投入後、2時間の胃消化試験を実施
6.胃消化試験終了後、溶け出た脂の一部を採取し、電位差自動滴定装置で小腸内の環境を模擬しながら試験を実施
7.模擬した胃での溶解・分散性:経過時間ごとの脂の粒子サイズを顕微鏡で測定するとともに、胃消化試験
終了後(2時間後)に残存した脂の乾燥重量から評価
8.模擬した小腸での消化挙動:電位差自動滴定装置を用いて評価
◆解析方法
ヒトの体内では胃で消化を受けた消化物は幽門(胃の出口)を通り、十二指腸、小腸へと運ばれます。幽門を通るには一定のサイズまで消化されなければなりません。そのため、GDSにて模擬した胃での消化挙動と消化試験後に溶け残った脂の重量を測定し、消化性を評価しました。
また、胃を模擬した消化試験にて溶け出た脂の層の一部を採取し、電位差自動滴定装置にて小腸を模擬した消化試験を実施し、胃から小腸までの消化特性を評価しました。
◆結果
「アマニ豚」の脂は「一般豚」の脂と比較して、成人モデルと高齢者モデルにおいてヒトの胃・小腸を模擬した環境における脂質分解酵素(リパーゼ)による分解速度が速い傾向が確認されました。
この傾向について、ヒトの胃・小腸の消化環境を模擬した各段階における評価結果を以下に示します。
1.胃消化特性の評価※6.(成人モデル、高齢者モデル)
胃の消化条件を模擬した人工消化試験では、「アマニ豚」の脂は「一般豚」の脂と比較して、脂が小さくなりやすく、消化試験後に模擬した幽門を通過した脂の量が多くなることが確認されました。
成人モデルにおける2時間後の模擬した幽門通過率は、「一般豚」の脂:36.6%、「アマニ豚」の脂:59.0%となり、「一般豚」の脂と比較して高い値を示しました(図1)。高齢者モデルにおける2時間後の模擬した幽門通過率においても、「一般豚」の脂:33.6%、「アマニ豚」の脂:50.4%となり、「一般豚」の脂と比較して高い値を示しました(図2)
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図1:胃消化試験後に幽門を模擬したふるいを通過した脂の割合(成人モデル)図2:胃消化試験後に幽門を模擬したふるいを通過した脂の割合(高齢者モデル)
※6.The COST INFOGEST networkが提案する高齢者の消化条件を参考に、胃の消化を模擬した試験を実施し、脂の分散性や消化挙動を評価
2.小腸消化の評価※7.(成人モデル、高齢者モデル)
胃の消化条件を模擬した人工消化試験後の脂を用いて小腸での消化条件を模擬した試験を実施した結果、「アマニ豚」の脂は「一般豚」の脂と比較してリパーゼによる初期の脂肪分解が速く、同じ時間内により多く分解されることが確認されました。成人モデルにおける2時間後の消化性は、「一般豚」の脂:51.4%、「アマニ豚」の脂は:63.8%となり、「一般豚」の脂と比較して高い値を示しました(図3)。高齢者モデルにおける2時間後の消化率においても、「一般豚」の脂:44.7%、「アマニ豚」の脂:59.8%となり、「一般豚」の脂と比較して高い値を示しました(図4)。
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図3:経過時間毎の脂の消化率の変化(成人モデル)
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図4:経過時間毎の脂の消化率の変化(高齢者モデル)
※7.The COST INFOGEST networkが提案する成人の消化条件を参考に、胃消化試験後の脂を用いて小腸消化試験を実施し滴定法により脂の分解挙動を評価し、消化性を算出
◆考察
成人と高齢者の消化条件を模擬した人工消化試験においても、「アマニ豚」の脂は胃を模擬した環境で融解・分散しやすく、小腸を模擬した環境において高い消化率を示すことが明らかになりました。今後は、アマニ油脂肪酸カルシウム配合飼料がもたらす特性や有用性に関する理解をさらに深め、その価値を広く発信してまいります。
◆担当者コメント
1.中川柚季:高齢者モデルの胃・小腸消化特性の担当
「アマニ豚」はこれまでも「脂が軽く、食べやすい」と評価いただく機会が多くありましたが、今回の結果はそうした特長を科学的な視点から裏付ける知見になったと考えています。
高齢化が進むなか、食事を楽しみながら必要な栄養を摂取できる食品への関心はますます高まっています。今回得られた知見を活用し、高齢者向けの商品提案や新たな商品開発につなげることで、「アマニ豚」ならではの価値をより多くの方々へお届けしていきたいと考えています。
2.三木悠意:成人モデルの胃・小腸消化特性の担当
脂肪の「質」だけでなく「状態」が消化性に関わることを示す興味深い結果であり、豚肉の新たな価値提案につながる知見だと考えています。今後も、おいしさと健康価値の両面から研究を深化させてまいります。
◆今後の展望
ニチレイフーズでは今後も素材の可能性を追求し、独自技術と研究を通じて新たな食のあり方を創発することで、社会に新しい価値を提供してまいります。また、食と人と地球の架け橋となる価値創造カンパニーとして、食からひろがる幸せを未来へつないでまいります。
<参考情報>本研究結果については、以下の学会にて発表しております
学会名:第26回日本食品工学会2025年度大会
・発表日:2025年8月7日(木)
・演題名:「アマニ油脂肪酸カルシウム配合飼料で肥育した豚の脂の特性と消化性の評価」
・発表者:三木悠意 、渡邉翔太、中川柚季、市川創作(筑波大学)
学会名:第27回日本食品工学会2026年度大会
・発表日:2026年9月1日(火)
<発表1.>
・演題名:「アマニ油脂肪酸カルシウム配合飼料で肥育した豚の脂の胃および小腸における消化特性」
・発表者:三木悠意 、渡邉翔太、中川柚季 、市川創作(筑波大学)
<発表2.>
・演題名:「アマニ油脂肪酸カルシウム配合飼料で肥育した豚の脂の高齢者モデルによる胃消化特性」
・発表者:中川柚季、渡邉翔太、三木悠意、市川創作(筑波大学)
プレスリリース提供:PR TIMES




記事提供:PRTimes