デジタル技術が助長する性的搾取・虐待 5人に1人の子どもが被害に ユニセフ 21カ国で調査 【プレスリリース】
公益財団法人日本ユニセフ協会

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学校の廊下で、スマートフォンの画面を見つめる17歳のジェラルディンさん(メキシコ、2025年9月24日撮影) (C) UNICEF/UN0907652/Marin
【2026年9月3日 ニューヨーク発】
ユニセフ(国連児童基金)は、本日、調査対象21カ国の12歳から17歳のほぼ5人に1人に当たる推定2,000万人の子どもたちが、1年のうち少なくとも1度、デジタル技術を悪用した性的搾取や性的虐待の被害を受けていたとする報告書を発表しました。
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「Through Children's Eyes: How Digital Technologies Enable Child Sexual Abuse(子どもたちの視点から見えてくるもの:デジタル技術が助長する子どもの性的虐待)」と題されたこの報告書は、子どもたち自身の証言と、現時点で入手可能な調査データとしては最大級のデータ群を基に、デジタル技術が助長する子どもの性的虐待や性的搾取がオンラインとオフラインの双方で広がっている実態を明らかにし、警鐘を鳴らしています。
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スマートフォンで、ソーシャルメディア(SNS)を利用する中学3年生の女子生徒たち。SNSで、見知らぬ人から不適切な写真の送信を求められることもあると話す(カンボジア、2025年5月29日撮影) (C) UNICEF/UNI968131/Lloyd
報告書は、1,500万人を超える子どもが望まない性的コンテンツにさらされ、900万人が意に反して性的なメッセージのやり取りや性的な画像の共有を求められ、400万人の子どもが本人の同意なく、自身の性的な画像を拡散されたと推計しています。しかし、被害を申し出ない子どもがいることから、問題の実際の規模はこれよりはるかに大きいと見られます。
ユニセフ事務局長のキャサリン・ラッセルは、次のように述べています。「この報告書は痛ましい現実を明らかにしています。調査対象国全体で2,000万人超の子どもがオンラインで、望まない露骨な性的コンテンツにさらされたり、性的搾取の被害を受けたりしており、それは多くの場合、子どもたちが学び、遊び、友人と交流するデジタル空間で起きています。こうした経験は、深刻な精神的苦痛をもたらします。多くの子どもたちは、どこに助けを求めればよいのか分からず、声を上げられないまま苦しんでいます。私たちは目を背けるわけにはいきません」。
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砲撃が続くヘルソン州の地下シェルターで、タブレットに見入る13歳のドミトロさん(ウクライナ、2026年3月11日撮影) (C) UNICEF/UNI981165/Malashina
今回21カ国で実施した調査では、事例の60%近くがFacebook、Instagram、Snapchat、TikTok、WhatsAppなどのソーシャルメディアで発生。14%はオンラインゲームで発生しました。報告書は、こうしたソーシャルメディアの特徴や仕組み、プラットフォーム設計に対する利用者の信頼を不当に損ねていたと指摘しています。モンテネグロでは、80%超がソーシャルメディアと関連しており、コロンビアでも半数を超える事例にソーシャルメディアが関係していました。
全調査対象国を通して見ると、事例の57%で、加害者は、同年代の仲間や交際相手、友人、家族など、被害を受けた子どもの身近な人物でした。これは、「オンラインの虐待は、主に、見知らぬ人によって行われる」とする一般的な見方に疑問を呈する結果です。一方、オンラインで最初に加害者に接触した子どもも38%に上り、例えば偽アカウントやダイレクトメッセージ(DM)機能などが、虐待を助長している実態が明らかになっています。
デジタル技術で助長された性的搾取や性的虐待は、子どものウェルビーイング、安心感、他者への信頼に深刻な影響を及ぼしかねません。今回の調査中、インタビューに応えてくれた子どもたちは、恐怖や羞恥心、混乱、孤立感を強く訴えました。多くの子どもたちが、自分に何が起きたのか理解できず、どこに助けを求めればよいのか分からないまま苦しんでいました。
「どう反応していいかわかりませんでした……頭が真っ白になりました」。14歳の時に、同意なく私的な画像を拡散されたドミニカ共和国出身の女性は、こう語りました。もう一人の調査協力者も、同様の経験を振り返り、「自分は利用され尽くし、ひどく汚れた、最低の人間のように感じた」と語っていました。
今回の調査では、デジタル技術が助長した性的搾取を経験した子どもの場合、自殺願望や自殺行動、自傷行為を経験したことがあると回答する傾向が(経験していない子どもの)4倍に上り、不安を感じる程度も著しく高いことが明らかになりました。メキシコや北マケドニアでは、虐待を経験した子どもたちの自殺願望や自殺行動のリスクは8倍を超え、パキスタンでは自傷行為のリスクは7倍を超えていました。
デジタル技術が助長した性的虐待の事例の40%以上は、(調査が行われるまで)誰にも打ち明けられていませんでした。また、警察やソーシャルワーカー、ヘルプライン等の公的な相談窓口に報告されていた事例は、1%未満にとどまりました。子どもたちが誰にも悩みを打ち明けなかった最も一般的な理由は、「どこに行けばいいのか、誰に話せばいいのか分からなかった」でした。国によっては、被害が表面化しない割合がさらに高く、アルメニアでは事例の半数以上が誰にも打ち明けられていませんでした。
今回の調査結果は、デジタル時代において子どもたちを適切に守るためには、政府やテック企業などをはじめとする関係者が早急に行動を起こす必要があることを明らかにしています。ユニセフは、本報告書を通じて、以下のような緊急の対応を求めています。
- 子どもの安全を設計段階から組み込んだデジタルプラットフォームを構築し、子どものプライバシーをより適切に保護し、成人からの望まない接触を制限するとともに、「おすすめ機能」の安全性を高め、虐待の検出・通報体制を強化する。- 性的恐喝やAI生成の性的虐待コンテンツなど、変化し多様化し続けている手口に対応するために必要な手段や執行措置を政府が備えられるよう、法律や規制、説明責任を強化する。 - 子どもの保護、保健、司法、社会サービスへの投資などを通じて、子どもたちが安心して頼れる通報制度や支援体制を構築する。- 自分自身を守る責任を子どもに負わせるのではなく、家庭や学校、地域社会が、子どもからの相談や被害の訴えをしっかりと受け止め、安心安全な環境の下で必要な支援を与えられるようにする仕組みを整える。- 経済的な弱みを加害者につけこまれないように、家庭への支援を強化し、子どもや若者の教育機会と就業機会を拡大する。- 女の子を性的な対象として見ることを当たり前とし、性暴力の被害を受けた人々に汚名を着せるような社会的な考え方や性別に関する固定観念の問題に取り組む。
「政府やテック企業を含む私たち一人ひとりが、オンラインの子どもたちを守るため、今以上の取り組みを進めなければなりません」とラッセル事務局長は述べました。
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■ 注記
「デジタル技術が助長する子どもの性的搾取や性的虐待」とは、オンラインとオフライン(対面)の双方の場において、デジタル技術やデジタルプラットフォームが、子どもに対する性的虐待や性的搾取を可能にしたり、拡大したりする形で使われるされることを指します。
本報告書「Through Children's Eyes: How Digital Technologies Enable Child Sexual Abuse(子どもたちの視点から見えてくるもの――デジタル技術が助長する子どもの性的虐待)」は、21カ国のインターネットを利用する12歳から17歳の子ども約2万1,000人を対象とした全国調査と、幼少期に虐待を経験した若者100人への詳細なインタビューに基づいています。全国調査の対象はインターネットを利用する子どもに限定されていたため、特にインターネット接続率が低い国々の調査結果は、「すべての子ども」ではなく、「インターネットを利用する子ども」の状況を表す(推計する)ものとなっています。本調査は、ユニセフが、国際NGOのエクパット(ECPAT)と国際刑事警察機構(インターポール)と実施している共同プロジェクト「Disrupting Harm」の一環として、ユニセフが実施しました。
本報告書は、21カ国で実施された2回にわたる「Disrupting Harm」調査から得られた結果を統合したものです。第1回調査では、主に2020年から2021年にかけて、カンボジア、エチオピア、インドネシア、ケニア、マレーシア、モザンビーク、ナミビア、フィリピン、タンザニア、タイ、ウガンダ、ベトナムでデータを収集しました。2024年から2025年にかけて実施された第2回調査では、対象を、アルメニア、ブラジル、コロンビア、ドミニカ共和国、メキシコ、モンテネグロ、北マケドニア、パキスタン、セルビアに拡大しました。
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■ 報告書は以下のURLでご覧いただけます。
https://www.unicef.org/innocenti/reports/through-childrens-eyes
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■ ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国連児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念をさまざまな形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています。
https://www.unicef.org ※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する32の国と地域を含みます
■ 日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、32の先進国・地域にあるユニセフ国内委員会の一つで、日本国内において民間で唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、アドボカシーを担っています。
https://www.unicef.or.jp プレスリリース提供:PR TIMES


記事提供:PRTimes