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エビの病気を抑える細菌を、約90万個の「水滴」から見つけ出す

株式会社オンチップ・バイオテクノロジーズ

エビの病気を抑える細菌を、約90万個の「水滴」から見

~ 当社「On-chip Droplet Selector」を用いた微小液滴スクリーニングを水産病原細菌に初適用※。クルマエビ飼育水から18株の拮抗細菌候補を単離 ~


[画像1: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/68897/19/68897-19-5be8e291e5e83b37f37adeee73e73247-1920x600.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]


株式会社オンチップ・バイオテクノロジーズ(本社:東京都小金井市、代表取締役社長CEO 藤村 祐、以下「当社」)は、東京海洋大学 大学院海洋科学技術研究科 博士後期課程の湯浅 壱氏、同大学 学術研究院の小祝 敬一郎准教授らの研究グループと共同で、クルマエビ類の重要病原細菌 Vibrio harveyi の増殖を抑える細菌(拮抗細菌)を、養殖環境から迅速に探索する技術を開発しました。直径約30 µmの微小液滴を一つひとつの培養容器として用い、当社の微小液滴分取装置「On-chip Droplet Selector」で 899,823個 の液滴を計測・選別。クルマエビ飼育水から 18株 の拮抗細菌候補の単離に成功しました。本成果は2026年9月2日、国際学術誌「Scientific Reports」オンライン版で公開されます。
KEY POINTS
01 水産分野で初※となる微小液滴技術の拮抗細菌スクリーニングへの適用。約90万個の液滴を解析し、クルマエビ飼育水から3属18株の拮抗細菌候補を単離しました。
02 単離株は飼育水中の存在割合がごくわずかの希少な細菌でした。従来の寒天培地では見逃されがちな菌も、漏れなくスクリーニング対象にできることを実証しています。
03 一部の株では、クルマエビを用いた感染試験で生存率の向上傾向を確認。薬剤に依存しない魚病防除法や水産用プロバイオティクスへの展開が期待されます。

[画像2: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/68897/19/68897-19-0def53a1ae449acb5dddc9e9643ec005-468x211.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
本研究の成果を数字で見る。899,823個の微小液滴を全数計測し、蛍光が弱まった253個を自動で分取。うち18株の再培養とストック化に成功した。

BACKGROUND
薬剤に頼らないエビ養殖へ。ボトルネックは「菌を探す作業」だった

クルマエビ類(バナメイエビ、ブラックタイガー、クルマエビなど)の養殖は世界的に成長を続けていますが、細菌性感染症による被害が安定生産を阻んでいます。薬剤の多用は耐性菌の出現や環境残留を招き、また魚類で成果を上げているワクチンも、獲得免疫を持たないエビ類では十分な予防効果が得られません。
そこで注目されているのが、病原細菌の増殖を抑える「拮抗細菌」を利用する方法です。ただし、その拮抗細菌を自然環境の中から探し出して選別する作業(スクリーニング)には、これまで寒天培地が使われてきました。候補菌を1コロニーずつ拾って病原菌と対峙させ、目視で判定する--調べる数を増やすほど、シャーレも培養スペースも人手も比例して増えていきます。しかも、生育の速い優占菌に埋もれて、環境中にわずかしか存在しない菌は見逃されやすいという構造的な限界がありました。
[画像3: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/68897/19/68897-19-bb8f2603514152328ec15d4be333a490-468x255.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
スクリーニングの作業設計そのものを置き換える。微小液滴を使えば、調べる数を増やしてもスペースや人手は増えない。

HOW IT WORKS
1粒の水滴を、1つの培養容器として使う

蛍光が「消えた」水滴だけを、装置が自動で拾い上げる
本研究では、沖縄県久米島の養殖場で病死したクルマエビから単離された病原性 V. harveyi をモデルとしました。まずこの病原細菌の染色体に緑色蛍光タンパク質(GFP)を発現する遺伝子を組み込み、常に緑色に光る株を作出します。次に、この蛍光病原菌とクルマエビ飼育水中の細菌を、直径約30 µmの微小液滴の中に一緒に閉じ込めて培養(共培養)します。
液滴の中に病原菌の増殖を抑える細菌が入っていれば、その液滴だけ緑色の蛍光が弱くなります。つまり「蛍光が消えた液滴=拮抗細菌が入っている液滴」。あとは、その液滴だけを取り出せばよい--ここで当社の微小液滴分取装置「On-chip Droplet Selector」が使われます。
[画像4: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/68897/19/68897-19-7b97ad4c4e5225ffdc55f92268140bfc-468x191.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
図1:微小液滴技術を活用した拮抗細菌スクリーニング法の概念図。環境中の細菌と蛍光標識した魚病細菌を、直径約30 µmの微小液滴内に一緒に閉じ込めて共培養する。培養後、魚病細菌の増殖が抑えられて蛍光が弱くなった液滴を個別に分取する。(出典:東京海洋大学)

[画像5: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/68897/19/68897-19-2c1a4929e9ae05cdf3d108247ae07725-468x218.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
図2:相同組み換え遺伝子導入系による蛍光魚病細菌の作出。V. harveyi の染色体上に複数存在する16S rRNA遺伝子のうち1か所にGFP発現遺伝子を組み込み、恒常的に蛍光を発する株を作出した。(出典:東京海洋大学)

RESULTS
899,823個を計測し、253個を分取。18株の拮抗細菌候補にたどり着いた

[表1: https://prtimes.jp/data/corp/68897/table/19_1_cb44d5ec6e7304a6a3f244f9d489f363.jpg?v=202609031415 ]
On-chip Droplet Selector は、微小液滴を1個ずつ通過させて蛍光強度を計測し、あらかじめ設定した条件を満たす液滴だけをマイクロウェルプレートへ自動で分注できる装置です。本研究では「緑色蛍光が他の液滴に比べて弱い」ことを分取条件として設定しました。結果、総計899,823個の液滴をスクリーニングして253個を分取し、そのうち18株の再培養とストック化に成功。16S rRNA遺伝子配列に基づく分類の結果、この18株は Pseudoalteromonas 属15株、Tenacibaculum 属2株、Shewanella 属1株からなることが明らかとなりました。
[画像6: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/68897/19/68897-19-e14ab1d7d3b9e2b67d5bca30294ad915-468x249.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
図3:On-chip Droplet Selector による微小液滴の高効率スクリーニング。左:明視野・蛍光視野の顕微鏡像。白矢印が「消光した液滴」=拮抗細菌が存在すると考えられる液滴。右:各プロットが検出された1個の液滴を表し、蛍光が弱く設定領域内に検出された液滴のみが自動でプレートに分取される。(出典:東京海洋大学)

さらに、単離された細菌の環境中での希少性を調べました。飼育水の16S rRNA遺伝子アンプリコンシークエンスに基づく細菌叢解析の結果、単離された細菌群はいずれも飼育水中での存在割合が非常に低いことが判明。従来の培養法では見逃されていたようなマイナーな細菌であっても、微小液滴技術を用いれば漏れなく単離できることを実証しました。
[画像7: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/68897/19/68897-19-e6b854dbfaee2430f8585cce5bb746e0-400x285.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
図4:細菌叢解析により明らかとなった単離細菌の存在割合。本研究で単離された拮抗細菌候補株が属するグループの存在割合はごくわずかであり、環境中において希少であることが示された。(出典:東京海洋大学)

また、単離した18株について実際のクルマエビを用いた感染試験を行ったところ、一部の株を投与した区で V. harveyi による感染症の抑制傾向(生存率の向上)が確認されました。一方、従来の寒天培地上の交差画線法では明瞭な増殖阻害は確認されておらず、これは今回の単離株が直接的な抗菌物質の分泌とは異なるメカニズムで病原細菌を抑制している可能性を示唆しています。

WHY IT MATTERS
当社装置が拓く、3つの意味

POINT 01
水産分野への初適用
微小液滴スクリーニングは、ヒトや農作物の病原細菌への応用例が報告されてきました。一方、水産病原細菌を対象とした報告例は確認されておらず、本研究が最初の報告となります※。

POINT 02
希少菌への到達
存在割合の低い菌にも等しく解析のチャンスが与えられるため、これまで活用が困難だった未知の微生物資源へのアクセスが容易になります。

POINT 03
オンデマンド化への道
各地域の養殖場が抱える特有の病原細菌や水質環境に合わせ、その場に最も適した拮抗細菌を迅速に選び出す「オンデマンド・スクリーニング」の実現が視野に入ります。

WHAT'S NEXT
「その養殖場のための菌」を選び出す

本研究で単離された拮抗細菌は、今後、クルマエビを用いたより詳細な感染防除効果や安全性の検証を経て、薬剤に依存しない環境調和型の水産用プロバイオティクス(生物資材)としての実用化が期待されます。
スクリーニング技術そのものにも、さらなる展開が見込まれます。分取した液滴から細菌を確実に増殖させる再培養率の向上などの技術課題を解決することで、クルマエビの V. harveyi 感染症に限らず、魚類や貝類などの他の養殖対象種、異なる病原細菌に対する拮抗細菌の探索にも応用が可能です。当社は、微小液滴技術のプラットフォーム提供者として、持続可能で安全・安心な水産養殖基盤の構築に貢献してまいります。

MESSAGE
「培養できない」を「使える」に変える。
その最初の一歩が、水産の現場で示されました。


微生物の世界で人類がまだ培養・解析できているのは、わずか1%未満と言われています。私たちはドロップレット技術で「未培養・難培養であった微生物を可培養化し、使える化する」ことに挑み続けてきました。


今回、東京海洋大学の研究グループとの共同研究により、環境中にごくわずかしか存在しない細菌を、約90万個の液滴の中から確かに拾い上げることができました。これは装置の性能を示す数字であると同時に、養殖現場が抱える薬剤依存という課題に、微生物資源の側から答えを出せる可能性を示すものです。当社は装置の提供にとどまらず、スクリーニング基盤を提供するパートナーとして、水産分野の課題に向き合ってまいります。


株式会社オンチップ・バイオテクノロジーズ 代表取締役社長CEO 藤村 祐

PAPER
論文情報・研究支援


[表2: https://prtimes.jp/data/corp/68897/table/19_2_e56411e236bb2865a9b9bd4a74fad32f.jpg?v=202609031415 ]
研究支援
本成果は、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)戦略的創造研究推進事業ACT-X 研究領域「環境とバイオテクノロジー」(研究総括:野村 暢彦 筑波大学教授)研究課題「エビ体液中免疫細胞と細菌叢の相互作用解析と養殖産業への活用」(課題番号:JPMJAX21B5、研究代表者:小祝 敬一郎)の支援を受けて得られました。そのほか、野田産業科学研究所 研究助成金、JSPS科研費 JP24H00519/JP25H00939/JP24KK0126、日本科学協会 笹川科学研究助成(2025-4015)の支援を受けて実施されました。

PRODUCT
On-chip Droplet Generator / Selector について

当社の主力製品「On-chip Droplet Generator(DG)」は、マイクロ流路チップ上で油中水滴型ドロップレット(微小液滴)を生成し、その中で微生物等を1個単位から培養できる装置です。もう一つの主力製品「On-chip Droplet Selector(DS)」は、目的の機能を持つドロップレットだけを高速に選別し、マイクロウェルプレート等に1ドロップ単位で分注できる装置です。合成生物学・バイオものづくり・創薬・食品・環境分野で導入が進んでおり、本研究はその水産分野における応用事例となります。

ABOUT On-chip Biotechnologies
株式会社オンチップ・バイオテクノロジーズについて

2005年創業のマイクロ流体技術を核とするバイオ計測装置メーカーです。フローサイトメーター、セルソーターなどを国内外の研究機関・企業に提供してきました。「ドロップレット技術を基盤とした革新的なスクリーニング手法を通じて、細胞・微生物の潜在能力を解放し、人類の健康と地球環境の持続可能性に貢献する」をミッションに掲げています。

[表3: https://prtimes.jp/data/corp/68897/table/19_3_003385b2e81ab04a96d67f3f1066657c.jpg?v=202609031415 ]

CONTACT
本件に関するお問い合わせ

【広報・報道関係】株式会社オンチップ・バイオテクノロジーズ 経営企画室
E-mail:info@on-chip.co.jp/TEL:042-385-0461
【製品・技術に関するお問い合わせ】株式会社オンチップ・バイオテクノロジーズ 営業部
E-mail:sales@on-chip.co.jp/TEL:042-385-0461
【研究内容に関するお問い合わせ】東京海洋大学 学術研究院 准教授 小祝 敬一郎
E-mail:koiwai@kaiyodai.ac.jp/TEL:03-5463-0663

※「水産分野で初」「初適用」は、水産病原細菌を対象とした微小液滴スクリーニングの報告例が確認されていないことによります(Scientific Reports掲載論文の記載に基づく。当社調べ、2026年8月時点)。
※ 図1~図4は東京海洋大学・オンチップ・バイオテクノロジーズ・科学技術振興機構(JST)による共同プレスリリース掲載図を使用しています。
※ 本リリースは、東京海洋大学・JSTとの共同プレスリリースの内容を、当社の技術・製品の観点から再構成したものです。研究成果の詳細は、下記より共同プレスリリースをダウンロードしご参照ください。
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プレスリリース提供:PR TIMES

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記事提供:PRTimes

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