Yaqumoと富士通、量子コンピュータの実利用加速に向け、中性原子型量子コンピュータ実機によるアーキテクチャ・基本ソフトウェアの検証を開始
株式会社Yaqumo

[画像:
https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/165962/11/165962-11-6e0d940418073dbbfbd21cfbfa903455-1920x1080.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
富士通株式会社(以下、富士通)(注1)と株式会社Yaqumo(ヤクモ)(以下、Yaqumo)(注2)は、量子コンピュータの実利用の加速に向け、新たな量子計算アーキテクチャや統一された開発・運用管理用のツール群の開発と実機検証を開始しました。
富士通がこれまで主に超伝導型量子コンピュータを想定して開発を進めてきたEarly-FTQC時代(注3)向け量子計算アーキテクチャ「STARアーキテクチャ(注4)」および量子コンピュータ・クラウドサービスに必要となる環境構築から運用までを網羅するオープンソースソフトウェア「Open Quantum Toolchain for OPerators and Users(注5)」を、Yaqumoが開発中の中性原子型量子コンピュータ(注6)に組み合わせ、実機上での検証を通じて両技術の発展を加速します。
2026年4月より、両社は共同研究において、超伝導型とは方式の異なる中性原子型への「STARアーキテクチャ」などの適用可能性について理論検討を行っており、8月から実機利用による検証を開始しました。
本共同研究を通じて、両社の強みを組み合わせて多様な量子コンピューティング技術を発展させ、それによって社会課題解決に向けた量子コンピューティングの社会実装に貢献します。
中性原子型量子コンピュータは、量子ビット間の全結合性を実現しやすい特長を持ちます。これにより、接続関係が制約となる超伝導型などの他方式とは異なる計算手法の可能性が広がり、量子エラー訂正の効率的な実行などを期待できることから、その特性を最大限活用するためのソフトウェアおよびアーキテクチャ技術の研究開発が重要となっています。
富士通は、実用的な量子コンピューティング技術の実現を目指し、超伝導量子ビットなどの量子ハードウェアから、量子コンピュータの基本ソフトウェア、誤り耐性量子計算(FTQC)、さらにEarly-FTQC時代を見据えた量子計算アーキテクチャの研究に至るまで、幅広い研究開発に取り組んできました。今回、富士通は中性原子型量子コンピュータを活用して「STARアーキテクチャ」の実装・検証を行い、FTQCへの移行を見据えた研究開発を推進します。また、「Open Quantum Toolchain for OPerators and USers」を中性原子型に対応させることで、利用者が複数方式の量子コンピュータを統一したインタフェースで操作可能とし、量子コンピュータの普及を促進します。
Yaqumoは、イッテルビウム中性原子を用いた量子コンピュータのハードウェア研究開発を手がけるスタートアップです。2027年度を目処に、量子エラー訂正機能を備えた数百量子ビットを超える規模の実機開発を目指しています。
量子コンピュータの実用化に向けては、複数のハードウェア方式が競争的に発展しています。社会実装を見据えた研究開発においては、多様な量子コンピュータの可能性を幅広く検証していくことが重要です。本共同研究では、富士通が有する量子ソフトウェア・アーキテクチャ技術と、Yaqumoが開発する中性原子型量子コンピュータを組み合わせ、実際のハードウェア上で検証することで、中性原子型ならではの特性を活かした新たな技術的可能性を探求します。
「STARアーキテクチャ」は量子計算に必要な量子ビット数を大幅に削減できる可能性を持つ一方、その効果は量子コンピュータの方式によって大きく異なります。今回、中性原子型量子コンピュータの実機上で「STARアーキテクチャ」を検証することにより、理論検討だけでは確認できない実際のハードウェアとの適合性を評価するとともに、中性原子型ならではの特性を活かして、より少ない量子ビットで実用的な量子計算を実現できる可能性を検証します。実現すれば、量子コンピュータの実用化に必要なハードウェア規模を抑えながら性能向上を図る新たな道筋を示すことが期待されます。
中性原子型量子コンピュータと超伝導型量子コンピュータとでは装置に送る命令が異なるため、命令の変換からジョブの管理、装置状態の監視・較正までを中性原子型の制御系に合わせて対応させる必要があります。本共同研究では、富士通らが開発しオープンソースとして公開している量子コンピュータの基本ソフトウェア「Open Quantum Toolchain for OPerators and USers」と、Yaqumoが開発する中性原子型量子コンピュータとの相互接続を実現します。これにより、外部の利用者がクラウド経由で中性原子型量子コンピュータを利用できる環境を整え、方式の異なる量子コンピュータを同一のインタフェースで扱える基盤の実現を目指します。
富士通が超伝導・ダイヤモンドスピン方式を通じて蓄積したアーキテクチャ設計やクラウド基盤の知見は、私たちが進める中性原子型量子コンピュータの研究開発を力強く後押しするものと考えています。中性原子型量子コンピュータにおいて、「Open Quantum Toolchain for OPerators and USers」との接続検証や「STARアーキテクチャ」をはじめとするEarly-FTQC時代向け技術のデモンストレーションを通じて、中性原子型の持つ可能性をさらに引き出していきたいと考えています。本共同研究を通じ、FTQCの実現に向けた研究開発を着実に前進させてまいります。
量子コンピューティングの実用化に向けては、革新的なハードウェア技術と、それを最大限に活用するアーキテクチャ・ソフトウェア技術の両輪で研究開発を進めることが重要です。今回、Yaqumoが開発する中性原子型量子コンピュータと、「STARアーキテクチャ」および「Open Quantum Toolchain for OPerators and USers」との連携可能性を実機レベルで検証することで効率的な量子計算方式の確立や利用環境の高度化につながることを大変期待しています。本共同研究を通じて、中性原子型量子コンピュータの特性を活かした新たな知見を獲得し、FTQCやEarly-FTQC時代に向けた量子コンピューティング技術の発展に貢献してまいります。
商標について
記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。
【注釈】
注1 富士通株式会社:
本店 神奈川県川崎市、代表取締役社長 時田 隆仁
注2 株式会社Yaqumo:
本社 東京都千代田区、代表取締役 CEO 中小司 和広
注3 Early-FTQC時代:
数万程度の量子ビットしか実装できておらず、誤り耐性量子計算が十分に実現できないと考えられている時代。FTQC(Fault-Tolerant Quantum Computer、誤り耐性量子コンピュータ)は、量子コンピュータの計算中に発生するエラーを訂正する機能を備えた量子コンピュータ
注4 STARアーキテクチャ:
"Space-Time efficient Analog Rotation quantum computing architecture"の略で、高効率位相回転ゲート式量子計算アーキテクチャ。量子コンピュータの実現に不可欠な任意の角度の位相回転に必要な量子ビット数を大幅に低減することで、現行コンピュータの計算性能を超える量子コンピュータの実用化を早めると期待される量子計算アーキテクチャ
注5 Open Quantum Toolchain for OPerators and Users:
量子コンピュータ・クラウドサービスに必要となる、実行環境構築から運用向けまでを網羅する基本ソフトウェアをオープンソース化しGitHubで公開
注6 中性原子型量子コンピュータ:
レーザー冷却によって極低温状態にした中性原子を光学的にトラップし、レーザー光で操作する量子コンピュータの方式。高いスケーラビリティと長いコヒーレンス時間を特徴とし、大規模な量子システムの構築に適したプラットフォームとして注目されている
【関連リンク】
量子コンピュータ・クラウドサービス向けの世界最大規模の基本ソフトウェア群をオープンソースとして公開・運用開始(2025年3月24日 富士通プレスリリース)
https://info.archives.global.fujitsu/jp/news/2025/03/24.html
GitHub OQTOPUS Webサイト
https://oqtopus-team.github.io
本件に関するお問い合わせ
・富士通株式会社
お問い合わせフォーム
https://contactline.jp.fujitsu.com/customform/csque04802/873532/
・株式会社Yaqumo
E-mail:pr@yaqumo.com
プレスリリース提供:PR TIMES
記事提供:PRTimes