【関西外国語大学】外大生432人を対象に調査した結果を統計的に分析し、異文化間コミュニケーション能力と世界市民意識の育成をテーマにした姜京守教授らの研究論文が学会誌「日本近代学研究」に掲載されました
関西外国語大学

外大生の約5割が「キャンパス内で異文化に接触」。外国人の友人がいる学生も8割近くに上り、日常的な国際交流が異文化間コミュニケーション能力や世界市民意識の育成につながる可能性を示しました。
関西外大生432人の回答を統計的に分析し、大学生の「異文化間コミュニケーション能力(Intercultural Communicative Competence)」が「世界市民意識(Global Citizenship)」の育成にどのように影響しているかについて調査研究した、関西外国語大学(大阪府枚方市)の姜京守教授(外国語学部)らの共同研究論文が、韓国日本近代学会の「日本近代学研究」第92輯に掲載されました。
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▲共同研究論文をまとめた姜教授
共同研究論文について
・外大生432人への調査から、「異文化間コミュニケーション能力」と「世界市民意識」の関係を統計学的に分析し、その育成につながる要因を明らかにしました。
・「異文化間コミュニケーション能力」は、「世界市民意識」を直接高めるだけでなく、「異文化共感」を通じても高めることが明らかになりました。
・一方で、「うまく振る舞えるという自信」を経由する道筋は確認されませんでした。世界市民意識を育てる鍵となるのは、「できる」という感覚よりも「他者への共感」でした。
・留学や海外滞在の経験だけでなく、学生を取り巻く「社会的な支援」も大きな役割を果たしていました。支援は世界市民意識を直接高めるとともに、学生が身につけた力を世界市民意識へと結びつける働きそのものを強めます。
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共同研究論文のテーマは「大学生の異文化間コミュニケーション能力が世界市民意識に及ぼす影響-共感・自己効力感の媒介と社会的支援の調整効果-」。
姜教授が論文のとりまとめを行い、チャクル・ムラット准教授、吉崎誠教授、韓恵盛助教(いずれも英語国際学部)が、研究計画の検討や学生へのアンケート調査などに協力しました。2025年度関西外国語大学IRI共同研究プロジェクトの助成を受けた研究です。
この共同研究は、大学生の異文化間のコミュニケーション能力の高まりが世界市民意識へと結実する道筋を検証、考察したものです。学生の約半数が海外滞在を、4割強が留学を経験し、8割近くが外国人の友人を持つという関西外大ならではの学習環境を数字で描き出すとともに、大学生の異文化接触や異文化理解への支援体制の強化に向けて大きな示唆を与えています。
グローバル化が進展する中で、異文化間のコミュニケーション能力は単に語学力があるというだけではなく、異文化への態度や知識、スキル、批判的な意識を含めた総合的な能力としてとらえられています。さらに、他者への共感や社会的な責任、人権への配慮など国民国家の枠組みを越えた世界市民意識の重要性も高まっています。この2つをつなぐ「心理的なプロセス」と「環境的な条件」を、大学生への調査を基に実証的に解明しました。
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▲キャンパス内での外国人との交流はごく自然なことです
調査は2025年11月1日から12月24日にかけて、学生にQRコードを配付し、各自のスマートフォンから回答してもらう方式で実施し、453人の回答のうち432人分(有効回答率95.4%)を分析対象としました。400人を超える規模で外大生の異文化経験を体系的に把握した調査であり、回答者の特性から関西外国語大学で学ぶ大学生の異文化共生の実態を垣間見ることができました。
回答者のほぼ半数が海外での滞在経験を持ち、4割強が留学経験を持っていたほか、12%の学生が海外でのボランティア経験を持っていました。また、異文化に触れる主な場としてキャンパス内を挙げた学生が5割を占め、アルバイト先と答えた学生が25%いました。
異文化との接触という側面からは、外国人の友人がいると答えた学生が8割近くに上り、異文化関連の授業を履修していると答えた学生が半数近い43%を占めました。また過去3カ月間に異文化と接触した頻度について、5を「毎日」、1を「なし」として5段階で答えてもらった結果、平均は2.85で5~4と答えた外大生は3割に達していました。
外大生がキャンパス内で外国人と交流し、異文化と接触することは普段から特別なことではなく、自然な環境で活動していると受け止められていることが統計学的に明らかになりました。
分析からは、海外滞在や留学の経験がある学生ほど異文化間コミュニケーション能力が高いことが分かりました。一方で、学生たちは受容的な態度や異文化共感が高いのに対して、批判的意識や異文化自己効力感は相対的に低く、「関心は高く多文化への姿勢は前向きだが、自信が十分でないため実践につながるとは限らない」との課題点も明らかになりました。
異文化自己効力感:異文化空間で自分の能力やスキルを使って、適切な行動ができるという自信や信念
続いて、構造方程式モデリング(PLS-SEM)により9つの仮説を検証したところ、7つが支持されました。
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異文化間コミュニケーション能力は世界市民意識を直接高めるだけでなく、異文化共感を経由しても高めることが確認されました。一方で、異文化自己効力感を経由する経路は有意ではありませんでした。
世界市民意識の形成では「行動できるという感覚」よりも「他者への共感」という情動的な経路が中心的な役割を担うことを示す結果です。さらに社会的な支援は、世界市民意識を直接高めるとともに、異文化間コミュニケーション能力が世界市民意識へと転化する効果そのものを強めることも示されました。
異文化共感:異なる文化的背景を持つ他者の感情や視点を理解し尊重する態度
研究では、学生が周囲から受けていると感じている支えを「社会的な支援」と呼び、家族・友人・大学教職員それぞれについて、次の3つに分けて測定しました。
・情緒的支援:不安や悩みを受け止めてもらえる気持ちの面での支え
・情報的支援:留学や国際交流の機会、手続き、身近なロールモデルの情報
・行動的支援:一歩を踏み出すための具体的な道筋や伴走、相談先
結果は5点満点で平均3.77。情緒的支援が4.05と高い一方、情報的支援は3.66、行動的支援は3.62にとどまりました。「気持ちの面では支えられている」が、「どこに機会があるのか」「どうすれば参加できるのか」という具体的な後押しはまだ十分に届いていない、という学生の受け止めがうかがえます。
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▲社会的な支援の必要性を打ち出しました
社会的な支援には、2つの働きがありました。1つは、世界市民意識を直接高める働きです。もう1つは、学びを後押しする働きです。
同じだけの異文化間コミュニケーション能力を身につけていても、支援が充実した環境にいる学生ほど、その力が世界市民意識へと結びつきやすくなっていました。能力を育てるだけでは十分ではなく、それを活かす機会や道筋をあわせて用意することが欠かせない、ということです。
以上から、異文化間コミュニケーション能力の育成を、
- 世界市民意識を育てるための基盤とすること- 異文化共感を中核にした学習設計が有効であること- 情緒面に比べて不足している情報面・行動面の社会的な支援を整備すること
を提言しています。
とくに支援の整備については、安心感を育てる情緒的な支えに加えて、留学や国際交流の機会・手続き・身近なロールモデルを伝える情報的な支援と、応募から参加までの具体的な道筋づくりや伴走型の相談体制といった行動的な支援を、戦略的に強化することが求められます。メンタリング制度や、必要なタイミングで学生を支援につなぐ仕組みづくりは、その具体策にあたります。支援を「気持ち」にとどめず「仕組み」として形にしていくことが重要だと、論文は指摘しています。
また今後の課題として、多様な大学・学部を対象にした再現研究とともに、支援の種類や支援源を分解した精緻な検証が必要だとしています。
本学の学生は、留学やキャンパスでのさまざまな異文化交流を通して、異文化間コミュニケーション能力を身につけています。実際、海外での滞在や留学を経験した学生、外国人の友人がいる学生ほど、その能力が高いことが分かりました。
ただ、こうした経験が、そのまま世界市民としての意識につながるわけではありません。そこには、相談できる友人や教職員がいるか、必要な情報が届いているか、そして最初の一歩を後押ししてくれる人(家族など)がいるかといった、周囲の環境も大きく関わっています。学生が安心して一歩を踏み出せる環境を整えることが、多文化共生社会で活躍できる人材を育てるうえで大切だと考えています。
【お問い合わせ先】
関西外国語大学 広報部
電話: 072-805-2817(日・祝除く午前9時~午後5時)
E-mail: press@kansaigaidai.ac.jp
公式サイト
https://www.kansaigaidai.ac.jp
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▲協定大学のある国々の国旗が並ぶ国際交流センター前。学生たちは日常的に多文化に触れながら学んでいます
「GO FOR it! 語学の、その先へ。」
関西外国語大学は、世界55カ国・地域の432大学(2026年9月現在)に広がる海外ネットワークを活かし、年間約1,300人の学生を海外へ送り出しています。大阪府枚方市にある2つのキャンパスでは年間約1,100人の留学生を受け入れており、日常的な国際交流が行われています。
語学力をベースに、文化や政治、経済など「+α」となる多様な専門分野を学ぶ教育体制を整えています。学生個々人の興味・関心に応じた、米国公認会計士の資格取得をめざす教育プログラム「USCPA Pathway Program」などの多様な学修を展開。学生は語学の先にある専門性を身につけ、これからの時代と社会の要請に応える確かな力を育んでいきます。
プレスリリース提供:PR TIMES





記事提供:PRTimes