免疫拒絶リスクを大幅低減、再生医療・創薬研究を加速するHLAノックアウトiPS細胞「StemEdit(TM) non-HLA」を提供開始
株式会社リプロセル
株式会社リプロセル(以下、当社)は、2025年4月1日に以下の通りご報告を行いましたので、お知らせいたします。
当社は、独自の高効率ゲノム編集技術を用いて作製したHLA(ヒト白血球抗原)の発現を抑制した高品質なヒトiPS細胞株「StemEdit(TM) Human iPSC non-HLA」シリーズを、本日より研究用に提供開始いたします。本シリーズには、HLAクラスIおよびクラスIIの両方の発現を抑制した「B2M/CIITAダブルノックアウト株」と、HLAクラスIの発現を選択的に抑制した「B2Mシングルノックアウト株」の2種類が含まれます。
【開発の背景】
iPS細胞(人工多能性幹細胞)は再生医療や創薬研究への応用が期待されていますが、他家(自分以外)由来のiPS細胞を用いた細胞移植では、HLA型の違いによる免疫拒絶反応が大きな課題となっています。この問題を解決するため、ゲノム編集技術を用いてHLA遺伝子の発現を抑制し、免疫原性を低下させた「ユニバーサルドナー細胞」の開発が世界的に進められています。特に、HLAクラスI分子の構成に必要なB2M遺伝子と、HLAクラスII遺伝子の発現を制御するCIITA遺伝子を同時にノックアウト(破壊)することで、免疫拒絶反応を効果的に抑制できる可能性が示唆されています。
【製品紹介:「StemEdit(TM) Human iPSC non-HLA」シリーズ】
リプロセルは、この課題に対応するため、最先端のゲノム編集技術(CRISPR/Cas9とは異なる独自手法)を駆使し、高品質なHLAノックアウトiPS細胞株を開発しました。お客様の研究ニーズに合わせて、以下の2製品を提供します。
1. StemEdit(TM) Human iPSC non-HLA class 1/2 (B2M/CIITA Homo double KO)
o 品番: RCRP043E
o 株名: VCT-37-F35-E1
o 特長: B2M遺伝子とCIITA遺伝子の両方をホモ接合型(両アレル)でノックアウトし、HLAクラスIおよびクラスIIの両方の発現を抑制。
2. StemEdit(TM) Human iPSC non-HLA class 1 (B2M Homo KO)
o 品番: RCRP044E
o 株名: VCT-37-F35-C5
o 特長: B2M遺伝子をホモ接合型でノックアウトし、HLAクラスIの発現を選択的に抑制。
これらの細胞株をご利用いただくことで、お客様自身でゲノム編集を行う手間なく、直ちにHLAノックアウトiPS細胞を用いた研究を開始できます。
【本製品の特長】
● 高品質なゲノム編集: 独自の高効率ゲノム編集技術により作製。
● 確実な発現抑制: 標的遺伝子の両アレルに変異を導入(ホモ接合型ノックアウト)。
● 高品質な親株: リプロセルが樹立した臨床グレードiPS細胞株「VCT-37-F35」を使用。この親株は、日本・米国・欧州の規制要件を考慮し、GMP準拠施設で製造され、ゲノムへの挿入リスクがないmRNA法(RNAリプログラミング法)で樹立されています。
● 品質確認済み: 正常な核型維持、未分化マーカー(SSEA-4, Nanog)の発現、および標的とするHLAクラスI発現の顕著な抑制を確認済みです。
● 利用しやすさ: 動物実験を含む基礎研究目的での使用には、原則として追加ライセンスは不要です。(商用利用・臨床応用をご検討の場合は、別途ご相談ください。)
【今後の展望】
本HLAノックアウトiPS細胞株は、免疫拒絶リスクを低減したiPS細胞由来細胞の作製を可能にし、再生医療分野における「ユニバーサルドナー細胞」開発研究を加速させます。また、免疫応答を考慮した創薬スクリーニングや疾患モデル構築など、創薬研究分野においても新たな可能性を拓くことが期待されます。リプロセルは、今後も高品質なiPS細胞関連製品・サービスを提供することで、ライフサイエンス研究の発展に貢献してまいります。
本件による当社の業績への直接的な影響は軽微と見込んでおりますが、今後、業績に重要な影響を与える事象が発生した場合には速やかに開示いたします。
以上
配信元企業:株式会社リプロセル
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記事提供:DreamNews