「”無為に斑”というLIXILの挑戦から考える未来の建築とは」DESIGNARTで、建築家・永山祐子氏をゲストにトークイベントを開催
株式会社LIXIL

株式会社LIXIL(以下 LIXIL)は、日本最大級デザイン&アートフェスティバル「DESIGNART TOKYO 2025」において、展示初日である10月31日に、トークセッションを開催し、建築家・永山祐子氏をゲストに迎え、未来の建築やLIXILの新たな挑戦が目指す姿について、トークを繰り広げました。当日の様子をレポートします。
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(写真左から)ファシリテーターを務めた桑沢デザイン研究所講師の本田圭吾氏、建築家の永山祐子氏、LIXIL デザイン&ブランド ジャパン部門 羽賀豊、井上貴之
永山さんは「未来の建築」をどのように捉えてきたのか
まずは、2週間前に閉幕した大阪・関西万博に関するお話などを交えながら、永山さんが考える「未来の建築」についてご紹介いただきました。
永山:”未来”を見据えてという観点でいくと、”動く建築”という言い方をしているんですが、さまざまなイベントで使ったインスタレーション作品をどんどん次の場所に展開して、リユースをしていく、ということをやっています。ただ移築・移設ということだけではなく、その場所にあわせてどんどん形を変えていくということをやっています。
「ウーマンズ パビリオン in collaboration with Cartier」は、内閣府、経済産業省、カルティエ、博覧会協会の4者共同のテーマ館として、SDGsのゴールの中でも日本が割と弱いとされているジェンダーの5番のゴールとサステブルな12番のゴールを意識しています。もともと私はドバイ万博で日本館の設計を担当し、リユースすることを考えていました。そのためにボールジョイントというシステムを導入し、コンテナ1個半に収めるほどの運びやすさも実現しています。さらにこのリユースをするためにさまざまな工程で、多くの協力業者がいました。
また、パナソニックグループパビリオン「ノモの国」のパビリオンも含めた2つのパビリオンは、横浜で開催される2027年国際園芸博覧会(GREEN × EXPO 2027)に両方ともリユースされ、ウーマンズ パビリオンは屋内出展施設(仮)、ノモの国は「Urban GX Village」内の東邦レオ出展エリアにおいてリユースされます。
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さらに、震災で廃材となった能登瓦をLIXILの建材であるtextoneに混ぜるというプロジェクトを、LIXILさん、石川県で活動されているCACLさんと一緒に発表(
https://newsroom.lixil.com/ja/2025090101)しました。このようなアップサイクルを利用した新しい流れを作っていくことで、廃材を一気に使える新しい解決法になると考えています。今私が設計を進めている大型施設に使うことを検討していますが、開発企画からデザインの出口検討までチームで取り組んでいます。
例えば、建築であれば構造体をそのまま構造体にリユースするというのは建築法規上結構難しい。万博は実装実験の場であり、特例があったからチャレンジすることができました。万博で発表してやってみることによって、必要な技術が見えてくる。それを解いていくことで、実社会にも反映され、未来ではもう普通のことになる。そのような試行錯誤の先に世界がつくられていくといいなと思っています。
LIXILが挑戦する「無為に斑」とは
その後、LIXILが今回DESIGNARTで展示する「無為に斑」の出展背景とコンセプトが説明されました。
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羽賀:LIXILは世界の誰もが願う豊かで快適な住まいの実現というパーパスを持って、住まいを構成する様々な製品を取り扱っています。また、LIXILには世界中にデザイン部門があり、過去10年間分の日本国内で発売している製品では、370以上の国内外の賞をいただいています。
私は、LIXIILの製品は”背景のデザイン”であると考えています。背景として馴染んでいるけれども、質感をあげることで空間全体の質を高める、さらにはそういった質感があがると暮らしの豊かさが上がる、というような考え方でデザインしています。
一方で、”未来”の建材を考えていくときには、今までにはないものに取り組んでいかないといけないと考えています。それが今回の「無為に斑」であり、昨年の「Bathtope」であり、2019年に出展した「間の間」です。さらに、LIXILではPremiAL、revia、textoneといった環境配慮素材を開発しています。素材そのものを開発していくことで、ただ”環境にいい”という機能的な部分だけではなく、素材そのものが素敵で自分たちが使いたくなり、一般化していくことができると思います。そうしてみなさまにどんどん使っていただくことで、本当の意味でのサーキュラーが始まると考えています。
井上:LIXILの中でもハウジングテクノロジーという部門の製品の多くは、アルミの押出材で構成されています。アルミの押出材で構成されている製品のほとんどは直線的で四角い形をしたものが多いですが、アイコニックである一方ずっと変わって来ませんでした。
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今回の「無為に斑」の「無為」というのは、一般的には作為的ではないこと・自然のまま、という意味がありますが、それが自然だと感じてきた固定概念であることを指しています。価値観やライフスタイルが多様化している今、本当にそのままの概念でいいのか、ということを考え、文字通り「斑」という考え方を取り入れ、LIXILがこれまでやってきた考え方に違うアプローチができないかと考えました。「無為」という直線的な考え方をリスペクトしつつ、「斑」という非直線的な考え方を加えることで、新しい建材の可能性や新しいライフスタイル・空間の考え方ができるんじゃないかと取り組んだのが、このプロジェクトです。
永山:この無為に斑という考え方について、私が最初話したリユースという観点でいくと、リユースやリサイクルはどうしても新品と同じ品質にはなりません。しかし、材料の質によって生じるその時々の違いを「味」として受け入れることで、これまでの均質化されたものよりも、ずっと魅力的なものが生まれるのではないでしょうか。
textoneでもロットによって違いが出てきますが、天然石が採れる山によって異なるのと同じように、それはそれとして個性として捉えることができます。
このような多様性を受け入れる社会になれば、リユースのような取り組みも、デザイン的な「味」として、また社会的な意義としても積極的に受け入れられ、新たな価値が次々と生まれてくるのではないかと考えています。
「無為に斑」の先に見据えるものとは
羽賀:デザインの軸で考えると、ある日突然素晴らしいデザインは生まれません。日々の積み重ねによって醸成されます。また、製品化するための技術を醸成するためにも取り組んでいます。今回1つのテーマが環境配慮素材をいかに魅力的に生かせるのか、というところに挑戦していますが、こうした挑戦の一つひとつが、今後私たちが発売する製品に乗っかっていくと考えています。高めた技術が製品のクオリティをあげ、ひいては人の暮らしの質を上げていくと考えています。
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永山:今回の展示は、LIXILの展示だと事前に知らなければ分からないほど、今までのイメージとは違って創作性が出ている展示のように感じました。例えば、私自身も建築だけでなくインスタレーション作品なども手掛けていますが、実際の建築にフィードバックされることがあります。今回の展示は、まさに遊び心や頭の体操のような、新しい発想をみせていただきました。LIXILがこのような展示をするという驚きもあり、非常に新鮮でした。
「未来」を担うこれからの世代に向けて
永山:建築というのは、これまで場所に縛られ、何年もそこにあり続けるというのが建築の役割と使命でしたが、例えばイベントであれば流動的に形を変えていく新しいシステムがあっても良いのではないかと考え、取り組み始めています。実際に動かしてみると、さまざまな気づきが得られます。例えば、「こうすればもっとスムーズに動くのに」といった具体的な改善点が見えてきます。
まずは「こんなことを試してみたらどうだろう」と実行してみることで、その先にさらに具体的な問題が見つかります。それらを解決していくことで、活動はより現実的で具体性を持ち、リアリティのあるものへと発展していくと思います。これからも、こうした挑戦を続けていきたいと考えています。
井上:最近、私は「シームレス」というキーワードが非常に大切だと考えています。LIXILはさまざまなな製品を提供し、空間の価値を創造していくことを使命としていますが、全ての製品が建築と一体となり、シームレスな空間を形成できているかというと、まだ多くの可能性を秘めていると考えています。製品においても、あらゆる要素をシームレスにつなげることで新たな価値を創造していきたいと考えています。さらに、本日話のあったリサイクル、リユース、アップサイクルといった取り組みも、シームレスに連携させ、最終的なプロダクトのあり方までを見据えたものづくりを進めていく必要があると強く感じています。
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羽賀:住まいは、ユーザーとの接触時間や回数が非常に多いです。家は毎日利用され、そこで多くの時間を過ごします。この点において、ある意味私たちは一種の責任感を抱いています。例えば、毎日何度も触れるドアのハンドル一つをとっても、それが使うたびに心地よい気持ちになるか、あるいは少しずつ不快な気持ちになるかの小さな積み重ねは、人生において非常に重要だと考えています。そういったことも考えながらモノづくりをしています。
私たちはみなさまの暮らしをより豊かにしていくという考えのもと、環境への配慮、そして新しい豊かな暮らしをどのように創造していくかという要素を組み合わせ、世の中に提案していくことを考えています。今後は、これらの取り組みをさらに加速させていきたいと考えています。
<参考情報>
■「LIXIL | 無為に斑 - 空間構成要素の再構築 -」出展概要
会期:2025年10月31日(金)~11月9日(日) 10:00-19:00
(最終日は10:00-16:00 最終入場時間15:00)
会場:MEDIA DEPARTMENT TOKYO 1F
(DESIGNART TOKYO 2025本会場/東京都渋谷区宇田川町19-3)
アクセス:「渋谷駅」徒歩5分
HP:
https://www.lixil.co.jp/s/muinimula/
詳細については、こちら(
https://newsroom.lixil.com/ja/2025110599)もご覧ください。
About LIXIL
LIXILは、世界中の誰もが願う豊かで快適な住まいを実現するために、日々の暮らしの課題を解決する先進的なトイレ、お風呂、キッチンなどの水まわり製品と窓、ドア、インテリア、エクステリアなどの建材製品を開発、提供しています。ものづくりの伝統を礎に、INAX、GROHE、American Standard、TOSTEMをはじめとする数々の製品ブランドを通して、世界をリードする技術やイノベーションで、人びとのより良い暮らしに貢献しています。現在約53,000人の従業員を擁し、世界150カ国以上で事業を展開するLIXILは、生活者の視点に立った製品を提供することで、毎日世界で10億人以上の人びとの暮らしを支えています。
株式会社LIXIL(証券コード: 5938)は、2025年3月期に1兆5,047億円の連結売上高を計上しています。
LIXILグローバルサイト:
https://www.lixil.com/jp/
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「LIXIL | 無為に斑 - 空間構成要素の再構築 -」LIXIL HP
https://www.lixil.co.jp/s/muinimula/





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