ハムストリング肉ばなれの発生・再発予防へ!北里大大学院生らが開発した新テスト「MS-SLBT」に高い関心 〜 研究論文が国際学術誌IJSMで2025年最多閲覧、Best Paper Awardを受賞 〜
北里大学
北里大学大学院医療系研究科 博士課程2年の佐野佑斗さん(筆頭著者)、医療衛生学部の河端将司准教授(責任著者)、渡邊裕之准教授、高平尚伸教授(指導教授)らの研究グループは、ハムストリング肉ばなれに対する新たな機能評価として、高速で片脚ブリッジ動作を行う「最大速度片脚ブリッジテスト (Maximum-Speed Single-Leg Bridge Test:MS-SLBT)」を開発しました。
本テストは、40cmの台とスマートフォン1台で、高速動作時のハムストリング機能を手軽に評価できることが特徴です。今後、代表的なスポーツ外傷であるハムストリング肉ばなれの発生・再発予防につながることが期待されます。
本テストの特徴を世界で初めて検証した研究論文は、2025年3月19日付でInternational Journal of Sports Medicine(IJSM)に掲載されました。その後、2025年に同誌で最も閲覧された論文として、2026年8月18日付で「Best Paper Award 2025」を受賞しました。
■研究の背景
ハムストリング肉ばなれは、スプリント動作を伴うスポーツで頻発する代表的なスポーツ外傷です。さまざまな予防策が講じられている一方で、その発生率は依然として高く、競技復帰後の再発も大きな問題となっています。
研究グループは、こうした背景から、「受傷機転であるスプリントのような高速動作に耐えうるハムストリングの機能を、従来の評価では十分に捉えられていないのではないか」という臨床上の疑問に着目しました。そこで、片脚で殿部を最大速度で持ち上げ、その動作の速さと高さを評価する新たな機能評価法「MS-SLBT」を考案しました。
https://youtu.be/LkAlSCNrN14?si=MA9SMfbSXx4apIqQ
■研究内容と成果
MS-SLBT中のハムストリングの筋活動と踵で押す力に加え、AIマーカレス動作解析ソフトを用いて動作速度を測定しました。その結果、
・40cmの台を使用した場合、動作速度、ハムストリング筋活動量、踵で押す力がいずれも最大となる
・MS-SLBTで要求されるハムストリング筋活動量は、スプリント動作に匹敵またはそれ以上となる
ことが明らかとなりました。これらの結果から、40cm台を用いたMS-SLBTは、高速動作の中でハムストリングに高い筋活動と大きい力発揮を求める機能評価法であることが示されました。
■社会的な意義
MS-SLBTで使用する40cmの台は、椅子やトレーニング用ベンチなどでも代用でき、スマートフォン1台で高速動作時のハムストリング機能を評価できるという特徴があります。そのため、特別な大型機器を必要とせず、臨床現場やスポーツ現場で幅広く活用できる可能性があります。
また、本研究を発端として,ハムストリングの筋持久力評価としての妥当性や、ハムストリング肉ばなれ患者に対する評価・介入への応用についても研究成果が報告されています。MS-SLBTが研究と実際のスポーツ・リハビリテーション現場とのギャップを埋め、将来的なハムストリング肉ばなれの発生・再発予防につながることが期待されます。
■研究者のコメント
今後の展望について、佐野佑斗さんと河端将司准教授は、「現在、この評価法がハムストリング肉ばなれの発生予測に役立つかを明らかにする研究も進めています。将来的には、多くのアスリートを対象としたスクリーニングや、肉ばなれから安全に競技へ復帰するための判断基準として活用できることを目指しています」と話しています。
■論文情報
掲載誌:International Journal of Sports Medicine(IJSM)
論文名:Evaluating the optimal height for hamstring activity in the maximum-speed single-leg bridge test
著者:Yuto Sano, Masashi Kawabata, Yuki Sumiya, Yuto Watanabe, Yuto Uchida,Tomoaki Inada, Masaki Murase, Tomonori Kenmoku, Hiroyuki Watanabe, Naonobu Takahira
DOI:10.1055/a-2537-6350
▶ 関連論文:
1)ハムストリング肉ばなれ患者に実践した症例報告:
https://doi.org/10.26603/001c.134124
2)ハムストリング筋持久力評価の妥当性検証:
https://doi.org/10.1186/s13102-025-01458-y
■問い合わせ先
≪研究に関すること≫
北里大学医療衛生学部
リハビリテーション学科 理学療法学専攻
准教授 河端 将司(かわばた まさし)
e-mail:mkawabata@kitasato-u.ac.jp
≪取材に関すること≫
学校法人北里研究所 広報室
〒108-8641 東京都港区白金5-9-1
TEL:03-5791-6422
e-mail:kohoh@kitasato-u.ac.jp
【リリース発信元】 大学プレスセンター
https://www.u-presscenter.jp/
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