安藤ハザマ 月での技術開発新構想 ― 「宇宙シェルター」と「ルナ・ジオフロント」 ―
安藤ハザマ

安藤ハザマ(本社:東京都港区、代表取締役社長:国谷 一彦)は、2024年10月に設立した「宇宙技術未来創造室」を中心に、宇宙開発分野での技術革新と事業拡大を目指しています(注1)。
近年、NASA(National Aeronautics and Space Administration)の「アルテミス計画」や、JAXA(宇宙航空研究開発機構)の「Moon to Mars Innovation」推進等に伴い、宇宙関連ビジネスへの関心が高まっています。
当社は、これまで建設事業において培ってきた当社の強みである地下空間構築やトンネル建設技術を応用し、月面および月地下に安全・安心な空間を構築することを目的とした新たな技術開発構想「宇宙シェルター」と「ルナ・ジオフロント(注2)」の実現を目指します。
画像1:
https://www.atpress.ne.jp/releases/437814/LL_img_437814_1.jpg
月での技術開発新構想(イメージ)
■構想1:宇宙シェルター
月面には地上の百倍以上の放射線が降り注ぐため、人類が月面で継続的に活動するには、この脅威から人や機材を保護する空間の構築と正確な被ばく安全評価が不可欠です。
本構想では、恒常的な銀河宇宙線(注3)、突発的な太陽フレア(注4)の双方を対象にレゴリス(注5)を遮蔽材料として使用した月面放射線防護装置(宇宙シェルター)に関する検討を進めます。具体的な検討内容は以下の通りです。
(1) 用途に応じた目標遮蔽性能の定義と、宇宙シェルターに必要な遮蔽材料構成・厚さの設計による、構造材および施工法の開発
(2) 銀河宇宙線および太陽フレアが人や重要機器に及ぼす影響を評価し、避難アラートを発報する仕組み
想定する用途:月面におけるさまざまな活動を実施するための仮設作業所、休憩所、一次避難所
実現目標時期:2030年代
■構想2:ルナ・ジオフロント
月には地下空間(溶岩洞(注6))の存在が確認されており、天然のシェルターとして将来的な活動拠点に活用することが期待されています。そのため、空間を構築するための技術の確立が必要です。
本構想では、月地下空間における構造物の建設により、月地下空間を「人が働く空間」「住む空間」「重要設備を保護する空間」として活用する検討を進めます。具体的な検討内容は以下の通りです。
(1) 溶岩洞の空間の広さや形状を探索するロボット
(2) 空洞の安定性を評価する技術
(3) 探索結果および安定性の評価結果に基づいて空間を掘削・補強し、居住や研究等に活用可能な空間を施工する技術
想定する用途:月地下空間における居住、研究、生産活動を実施するための拠点
実現目標時期:2040年代
■今後の展望
産学官の連携を強化し、共同研究等を通じて本構想をさらに具体化していきます。また、当社が出展を予定している「国際 宇宙ビジネス展 SPEXA(スペクサ)」において、本構想の詳細を紹介します。
展示会名: 国際宇宙ビジネス展 SPEXA
開催期間: 2025年7月30日(水)~8月1日(金)
開催場所: 東京ビッグサイト
URL :
https://www.spexa.jp/tokyo/ja-jp.html
(注1) 安藤ハザマ 2024年10月1日リリース
新たな挑戦「宇宙技術未来創造室」を設立 - 安藤ハザマ
https://www.ad-hzm.co.jp/info/2024/20241001_01.php
(注2) ルナ・ジオフロント
「ルナ(Luna)」は月を、「ジオフロント(Geofront)」は地下空間や地下に作られた都市を意味している。月の地下空間の構築と利用が重要になるという想いでルナ・ジオフロントと名付けた。特許庁に商標登録出願申請中。
(注3) 銀河宇宙線
超新星爆発等をその起源とする太陽系外から飛来する荷電粒子。放射線の一種であり、人体や機器に悪影響を及ぼす等、宇宙空間における活動の障害となる。
(注4) 太陽フレア
太陽の活動により発生する急激なエネルギー放出現象。高エネルギーの粒子や電磁波を放出し、銀河宇宙線と同様に活動の障害となる。
(注5) レゴリス
月等の衛星や惑星の表面上に見られる岩石由来の粒子や細かな欠片。月面活動の課題になるとともに、その活用が検討されている。
(注6) 月の溶岩洞
月の地下に存在する自然の空洞で、過去の火山活動によって形成されたもの。溶岩洞は、微小隕石の衝突や、放射線被ばくに対するシェルターとして働くことや、溶岩洞内部は温度がほぼ一定(約-20℃)であることから、将来の月面基地の候補地として注目されている。
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記事提供:@Press