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心不全タイプ“HFpEF”における突然死の新たなメカニズムを解明

学校法人藤田学園

心不全タイプ“HFpEF”における突然死の新たなメカutf-8

予防医療への応用に期待

藤田医科大学ばんたね病院 循環器内科の祖父江嘉洋准教授らの研究グループは、心不全患者2,331例の大規模前向きデータに着目し、心不全の中でも特に患者数が増えている「HFpEF※1(左室駆出率が保たれた心不全)」の突然死の機序と危険因子を詳細に解析しました。その結果、HFpEFでは突然死の半数以上が致死的不整脈(心室頻拍・心室細動)ではなく、 “心停止(asystole)”で発症すること、さらに NYHAクラスIIIとQTc延長(≥480ms)が突然死の独立した予測因子であることを明らかにしました。
これらの成果により、HFpEFにおける突然死は従来の心不全とは異なるメカニズムで起こり得ることが示され、今後、表現型(HFrEF/HFmrEF/HFpEF)ごとのリスクに応じた予防戦略や管理方針の確立が期待されます。本研究成果は、英国・ロンドン発行の国際学術誌「Scientific Reports」(Nature Portfolio)(2025年10月23日号)に掲載され、併せてオンライン版が2025年9月26日(日本時間)に公開されました。
論文URL:https://www.nature.com/articles/s41598-025-20924-8


<研究成果のポイント>

HFpEF患者で起こる突然死の“半数以上が心停止(asystole)で発症する”ことを、2,331例の大規模前向き研究として世界で初めて明確に示した。
HFpEFの突然死リスクが、従来の心室頻拍・心室細動(VT/VF)中心のHFrEFとは全く異なる“別の病態”であることを証明。
NYHAクラスIIIとQTc延長(≥480ms)がHFpEFに特異的な突然死の独立した予測因子であることを示し、表現型別(HFpEF/HFmrEF/HFrEF)のリスク層別化が必要である可能性を示唆。



<背 景>
心不全は主要な死亡原因の一つであり、心臓突然死(SCD)はその中でも重要な臨床アウトカムです。従来のSCD研究は左室駆出率が低下したHFrEFを中心に進められ、致死性心室不整脈の関与や埋め込み型除細動器(ICD)による予防効果が明らかになっています。一方で、近年急増するHFpEF(Heart Failure with Preserved Ejection Fraction)は、高齢、生活習慣病、多様な併存疾患を背景とする複雑な病態でありながら、そのSCDの実態は十分に解明されていませんでした。
SCDには、VT/VFによる致死性不整脈、徐脈性心停止(asystole)、原因不明の突然死など複数の機序が存在しますが、HFpEFでどの機序が中心となるのかは明確なデータが乏しい状況でした。また、QTc延長や性別、心房細動(AF)、腎機能などがリスクとして指摘されてきたものの、機序別にSCDを分類し前向きに検討した大規模研究は極めて限られていました。
このように、HFpEFにおけるSCDの発症機序や危険因子は、HFrEF・HFmrEFと比較して未解明な点が多く、適切なリスク層別化や治療戦略の構築には、表現型別の死亡機序を詳細に把握することが不可欠でした。そこで本研究では、2,331例の前向きコホートを用いて心不全の表現型の死亡機序を比較し、HFpEFに特有のSCDリスクを明確にすることを目的として解析を行いました。


<研究手法・研究成果>
本研究では、藤田医科大学病院に入院した心不全患者2,331例を対象に、退院後の予後を25カ月(中央値)追跡し、左室駆出率に基づいてHFrEF、HFmrEF、HFpEFの3群に分類して解析しました。突然死の発生状況は、救急搬送時の心電図、ICD作動記録、医療情報、家族からの情報を総合して慎重に判定し、致死性心室不整脈によるものと心停止(asystole)によるものとに分けて検討しました。また、非突然死を競合リスク解析※2として扱い、統計学的にはcumulative incidence function、Cause-specific Cox解析、Fine–Grayモデルを用いてリスク因子を評価しました。

[画像1]https://digitalpr.jp/simg/2299/123204/300_225_2025112116030169200ea57f0bd.jpg



解析の結果、HFpEFでは突然死の発生率が5.9%と他の心不全群より明らかに低い一方で、全死亡に占める非心臓死の割合が高いことが分かりました。
加えて最も特徴的であったのは、HFpEFで起こる突然死の半数以上が心室頻拍・心室細動ではなく、心停止(asystole)で発症していた点であり、HFrEFやHFmrEFとは全く異なる死亡プロファイルを示したことでした。

[画像2]https://digitalpr.jp/simg/2299/123204/300_225_2025112116030169200ea5821ac.jpg


さらに、多変量解析では、HFpEFにおける突然死の独立した予測因子としてNYHAクラスIIIとQTc延長が抽出され、特にQTcが480msを超える場合にリスクが明確に上昇することが示されました。これらの結果から、HFpEFの突然死は不整脈主体のHFrEFとは異なる背景を持ち、表現型ごとに異なるリスク評価や管理が必要であることが示唆されました。


<今後の展開>
本研究により、HFpEFでは突然死の主要機序がHFrEFとは異なり、心停止(asystole)が多いことが明らかとなりました。この知見は、HFpEFを従来の心不全と同じ枠組みで評価するのではなく、独立した病態として個別のリスク評価と管理戦略が必要であることを示した点で大きな意義があります。また、QTc延長やNYHAクラスといった日常診療で把握できる指標が突然死予測に有用であることは、HFpEFに特化したリスク層別化の基盤となり得ます。
今後は、QTc延長などの電気生理学的異常がどのような構造的・生理的変化を反映しているのかをさらに検証し、HFpEFに特徴的な突然死の病態理解を深めることが求められます。また、致死性心室不整脈が主要機序でない可能性が示唆されたことで、ICD適応の再検討を含め、従来とは異なる予防戦略の再構築につながる可能性があります。
さらに、HFpEF特有の突然死リスクを評価するスコアリングやAIモデルの構築、リスクの高い患者を対象にした予防的介入研究など、実臨床に直結する発展も期待されます。本研究は、表現型別の精密医療(precision medicine)を推進するうえで重要な基盤を提供するものであり、今後の診療ガイドラインや臨床研究の方向性に大きな示唆を与える成果となりました。


<用語解説>
※1 HFpEF(ヘフペフ:Heart Failure with Preserved Ejection Fraction)
左室駆出率(心臓が血液を送り出す力)が50%以上と保たれているにもかかわらず、心不全を発症するタイプです。主に高齢者・高血圧・肥満・糖尿病などを背景に増加しており、全心不全の半数以上を占めつつあります。

※2 競合リスク解析(Competing Risk Analysis)
「突然死(SCD)」を解析する際に、別の死因(非SCD)が発生すると“突然死が起こる可能性が消失する”という状況を統計的に適切に扱う手法。CIF、Cause-specific Cox、Fine–Grayモデルなどを用います。


<文献情報>
●論文タイトル
Distinct mortality patterns and sudden cardiac death mechanisms in heart failure with a preserved ejection fraction

●著者
祖父江 嘉洋1、渡邉 英一1、簗瀬 正伸2、井澤 英夫2

●所属
1 藤田医科大学 ばんたね病院 循環器内科
2 藤田医科大学 医学部 循環器内科学

●DOI
10.1038/s41598-025-20924-8




本件に関するお問合わせ先
学校法人 藤田学園 広報部 TEL:0562-93-2868 e-mail:koho-pr@fujita-hu.ac.jp

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記事提供:Digital PR Platform

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