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緑内障患者における「まぶしさ(羞明)」の空間的特性を解明

学校法人慈恵大学

― 中心窩周囲の網膜感度と羞明との関連性 ―

東京慈恵会医科大学 眼科学講座(渡邉友之講師、堀口浩史准教授、中野匡講座担当教授ら)の研究グループは、緑内障患者において、視力や中心視野が比較的良好に保たれているにもかかわらず生じる「まぶしさ(羞明:しゅうめい)」の空間的な発生特性を明らかにしました。本研究では、「中心窩周囲領域」の網膜感度が維持されている患者ほど「まぶしさ」を感じることを示しました。本知見は、緑内障患者のQOV(視覚の質)の理解を深めるとともに、羞明の機序解明に向けた重要な基礎データとなります。本研究の成果は、眼科学分野のトップジャーナルの1つで、視覚科学分野の権威ある国際学術誌「Investigative Ophthalmology & Visual Science (IOVS)」に2026年5月14日付けで掲載されました。

【概要】
【研究のポイント】
• 羞明感の空間的な関連性を解析: 緑内障患者が訴える「まぶしさ」の感度と、視野計で測定される各部位の感度との関係を空間的に解析しました。
• 中心窩周囲領域(6〜10°)との関連: まぶしさは、中心窩のすぐ外側にあたる「中心窩周囲領域」の網膜感度が維持されている患者ほど強くなるという、特徴的な関連(トポグラフィー)があることを見出しました。
• ipRGCの分布と明るさダイナミックレンジ: この関連性は、同領域における環境全体の明るさ知覚を担う細胞(ipRGC)の密度分布や、先行研究で提唱している「明るさのダイナミックレンジ(※)」の変動が関与している可能性を示唆しています。 (※研究グループが過去にJpn J Ophthalmol誌にて報告した、明暗への適応幅に関する概念)

【研究の背景】
緑内障は、周辺部から徐々に視野欠損が進行する疾患ですが、中心部の視機能が保たれている段階でも、多くの患者が「光への過敏性(羞明)」による日常生活の不自由を訴えることが知られています。しかし、視野のどの部位の状態が羞明感に強く影響しているのか、その空間的な分布特性についてはこれまで十分に明らかにされていませんでした。

【研究手法と成果】
研究グループの青山博士が作成した「羞明閾値測定デバイス」を用いて緑内障患者の羞明感を定量化し、ハンフリー視野計(24-2プログラム)で得られた網膜感度(dB)との関連を、線形混合モデル(LME解析)を用いて解析しました。 その結果、中心窩から6〜10度の距離にある「中心窩周囲領域」の感度維持が、羞明閾値の低下(=まぶしさの増強)と最も強く関連していることが示されました。 この領域は、解剖学的に明るさを感知する神経節細胞(ipRGC)の密度が高い場所と重なります。周辺視野の欠損によって視覚全体のゲインコントロール(感度調整)が変化している中で、この特定の領域から入力される光信号が、まぶしさの形成に寄与しているという新たな視点を提示しました。

【今後の展望】
本研究により、緑内障患者における羞明は、網膜内の特定の空間的な機能分布と密接に関連していることが示されました。本成果に基づき、中心視野が保たれている症例における羞明の評価や、特定の光波長を制御する遮光レンズの最適化など、患者一人ひとりの症状に即した臨床的対応の構築に寄与することが期待されます。

【論文情報】
Investigative Ophthalmology & Visual Science (IOVS)
Topography of Photophobia: Perifoveal Sensitivity Associations in Glaucoma. Tomoyuki Watanabe, Hiroshi Horiguchi, Koki Honzawa, Satoshi Nakadomari, Hisato Gunji, Kazuma Aoyama, Kaoru Amano, Tadashi Nakano. DOI: 10.1167/iovs.67.5.32

メンバー
東京慈恵会医科大学 眼科学講座
講師 渡邉友之
准教授 堀口浩史
助教 本澤孝樹
教授 仲泊聡
教授 郡司久人
講座担当教授 中野匡

東京工科大学片柳研究所
教授 青山一真
東京大学大学院情報理工学系研究科
教授 天野薫



本件に関するお問合わせ先
学校法人慈恵大学 広報課
メール:koho@jikei.ac.jp
電話:03-5400-1280

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https://www.jikei.ac.jp/press/

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