既婚男性56.0%、既婚女性52.1%が「今の結婚制度に矛盾や息苦しさを感じる」と回答も、「結婚したら相手は一生1人」には男女とも約65%が賛成|ロマンチックラブイデオロギー調査(第9報:最終報告)
レゾンデートル株式会社
既婚者マッチングアプリ「Healmate(ヒールメイト)」を運営するレゾンデートル株式会社(東京都渋谷区:
https://raisondetre-inc.co.jp/)による、結婚と愛情の関係を分析するアンケート調査(ロマンチックラブイデオロギー調査)の最終報告です。
本調査の締めくくりとして、令和の既婚者たちは今の結婚制度をどのようにとらえているのか、「結婚したら愛情を注ぐ相手も、セックスする相手も生涯1人に限定して、共同で家庭を支えるべき」というロマンチックラブイデオロギー的な考え方にどのくらい賛同するのかを尋ねてみました。
過去8回の報告で、日本人は令和の今も「恋愛結婚が理想」と考えており、世間で取りざたされているよりも夫婦仲は良いこと、4人に1人は自分の結婚に満足していて6割以上が配偶者に愛情を持っていること──などが明らかになりました。
それにもかかわらず表題の通り、半数以上が「今の結婚制度に矛盾や息苦しさを感じる」と回答したのですが、この結果から何が読み解けるのかを考えていきましょう。
<調査概要>
・調査タイトル:ロマンチックラブイデオロギー調査 第9報(最終)
・調査期間:2024年12月19日~30日、2025年9月16日~25日
・調査対象者:20~59歳の既婚男女 559人
・調査方法:インターネット(セルフ型アンケートツールFreeasyを利用)
・エリア:全国
・調査機関:レゾンデートル株式会社(
https://raisondetre-inc.co.jp/)
・調査報告の掲載:既婚者の男女関係に関する調査(
https://healmate.jp/survey/)
・本報告の発表日:2025年10月10日
<調査対象者について>
次の通り男女、各年代ともおおむね均等なサンプルになっています。
全体:男性(279人)女性(280人)
20代:男性69人(24.7%)、女性70人(25.0%)
30代:男性70人(25.1%)、女性70人(25.0%)
40代:男性70人(25.1%)、女性70人(25.0%)
50代:男性70人(25.1%)、女性70人(25.0%)
回答者は全都道府県におおむね人口と相関する形で分布しており地域的な偏りはありません。
1) 「結婚したら相手は一生1人」でOK?
20~59歳の既婚男女約560人にまず、ロマンチックラブイデオロギー的な考え方に賛成するかを尋ねました。見出しは少し簡略化し過ぎましたが、具体的に投げかけた質問は次の通りです。
「結婚とは、恋愛とセックスを生涯一人の相手に限定し、生活や出産・育児を共同で営むもの」という言葉を聞いてどのように考えますか?
すると、既婚男性の16.1%が「賛同」、48.8%が「ある程度、賛同」と回答(合計64.9%)。既婚女性もほぼ同様で22.1%が「賛同」、44.3%が「ある程度、賛同」と回答しました(合計64.9%)。
「セックスを生涯一人」「生活や育児を共同で営む」など、一部の男性が毛嫌いしそうな文言が入っているにもかかわらず、男女にほぼ差がない結果が意外です。「賛成」だけに限定しても男女は6ポイントしかありません。「6ポイントも差がある」と考える向きもあるでしょうが、むしろ考え方や意識の面でジェンダー差が縮まってきた結果といえるかもしれません。
◎考え方や意識の上ではジェンダー格差は縮まった?
ロマンチックラブイデオロギーという言葉は、ジェンダー論を専門とする社会学者、上野千鶴子さん(東京大学名誉教授)の造語だとされています。
上野さんは1990年前後、様々な論説でロマンチックラブという純愛幻想に支えられた夫婦観・家族観が家父長制の隠れ蓑になり、女性の行動の自由を奪い、家庭に縛り付けている結果になっていると警鐘を鳴らしてきました。そのなかでイデオロギーという言葉を使ったところ、社会的な反響が大きく、徐々にロマンチックラブイデオロギーという言葉が広がり、独自の意味を持つようになってきたという訳です。
上野さんをはじめとするフェミニスト系の社会学者は、ロマンチックラブイデオロギー的な考え方に賛同する割合が男女でほぼ変わらないという結果を見て、どのように考えるでしょうか。
◎問いに賛同しない女性が男性よりも多いのはなぜ?
なお、問いに賛同しない傾向を示した女性は33.6%、このうち積極的に「賛同しない」と回答した女性は12.9%で男性よりも高い割合です。これは男女関係で縛られたくないという女性が多いというよりも、「夫のセックスの相手をずっと務めたくない」という心理が働いた可能性があります。
というのも、ちょうど子育てやホルモン変化、日常の忙しさ等で夫との性行為を避けるケースが多く、セックスレスが顕在化しがちな40代女性の賛同しない傾向が最も高く、37.1%(あまり賛同しない27.1%+賛同しない10.0%)にも上るためです。
アンケートに回答いただいた女性からも、次のような声がありました。
「専業主婦という立場において強く出られない。営みにおいても、日中も家事育児、できなかった家事を夜遅くまでしていて、ようやく終わったとなれば休む暇なく求められる。断ると不機嫌でめんどくさくなるため応じるしかなく、苦痛。そのような毎日を過ごしていると、たとえ好きで結婚したとしても、思いやりも感じられず冷めていってます」(神奈川県・24歳女性)
「一人の人を思い続けるのに同じ度合いで 保っていられるのは3年が限度だと自分は思っている。それ以降は惰性、今は家族愛として主人のことを思っている。なので、そのような感情がなくなってからセックスも受け付けなくなり今は2年ほどしていない。本当に心から求めて セックスをし合っている夫婦は結構少ないと思う」(大阪府・36歳女性)
2) 今の結婚制度に矛盾や息苦しさを感じる?
欧米では19世紀末、日本では1960年代以降、恋愛結婚が主流になり、恋愛と結婚が強固に結び付けた考え方(ロマンチックラブイデオロギー)が徐々に形成されてきたことは、最初の調査報告(ロマンチックラブイデオロギー調査 第1報、ヒールメイト調べ)で解説した通りです。それまでの結婚は多分に生活共同体という要素が強く、配偶者以外との男女関係は緩やかなものでした(特に男性の場合はどの時代、どの層においても緩やかでした)。
そこで本調査の最後の質問は、「結婚するなら恋愛結婚」「結婚したら相手は一生1人」というイデオロギーが時代とともにますます強まるなかで、「今の結婚制度に矛盾や息苦しさを感じるか?」です。結果は次の通りとなりました。

今までの調査結果から分かる通り、夫婦仲良しで自身の結婚への満足度が高い傾向にあるにもかかわらず、男性56.0%、女性52.1%が「結婚制度に矛盾や息苦しさを感じる」と回答しています。特に女性の12.1%は「結婚制度を変えるべきである」とまで回答しているのです。これはなぜなのでしょうか? 年代別にみると、世代による違いがあります。そこにヒントがあるかもしれません。
20代の女性からは次の意見がありました。
「今は子供を産んでも働かないとやっていけない。共働きでは時間的に余裕がなく通常で思いやれる場面でも喧嘩になったりする。働きたい女性は社会に進出すればいいが、実際子育てに専念できるならしたいと言う母親はどれだけいるのか。共働きでも女性の方が負担の多い家庭は多いし、旦那が協力しようと言う気持ちがあっても会社の理解がないとそもそも帰れない。そこに問題も多いと思う」(大阪府・27歳女性)
一方、30代の男性は、本能と乖離した規範であることに矛盾があると主張しています。
「歳月を一緒に過ごすことで恋愛感情の劣化が進むのが大きい原因だと思う。人間本来の姿であれば本能に従って行動することが良いことだと思うが、社会規範として結婚制度がある以上、本能より理性に従って生活することが求められていることが理想と現実の乖離を生んでいると思う」(東京都・35歳男性)
40代,50代女性からはそれぞれ次の意見がありました。
「長男が家督を継ぐのでえらいという時代からの影響がまだ残っており、今の40代以上には男が家事をしないのが当たり前、の人が多く存在すると思うが、現代の家族形態では女性に無理が生じることが多いと思われるので、まず男性も家事をすること、女性の妊娠出産育児に伴う負担とリスク、その他いままで女性が我慢し頑張ってきたことをもっと明らかにして男性の意識を変える必要がある点が問題」(静岡県、49歳女性)
「同等であるべきなのに、夫は外で働いでいるから妻は家庭内で率先して働くべきなどの古臭い考えを押し付けられ、あたかもそれが正しいと押し付けられること」(静岡県、55歳女性)
アンケートではこのほか、離婚のしにくさなどの法的な問題を取り上げる方も多くいらっしゃいました。
「結婚も離婚も手続きが大変で諦める人もいる気がするのでもうすこし簡素だったらいいのにと思う」(大阪府・28歳女性)
「結婚は簡単に出来ても、離婚に関しては手続きが大変なのが問題だと思う」(滋賀県、35歳女性)
「結婚しやすく離婚しにくい制度に問題があると思います。結婚するハードルを上げるか離婚しやすくなると良いと思います。子どもについては共同親権の実現が不可欠です。そして男尊女卑の考え方が染み渡り昔ながらの考えの女性が同性を攻撃する傾向も強いこの国の教育自体を改革すべきと思います」(東京都・53歳女性)
確かに法制度としての矛盾も、結婚を複雑にする大きな要因かもしれません。
ロマンチックラブイデオロギー調査の報告は今回が最終報告となりますが、皆さんは結婚と愛情・性愛の排他性について、どのように考えましたか? 
欧米では、一夫一婦制による近代結婚制度が現代の価値観に合わないと考える人たちが増えており、そのうち日本に波及してくるかもしれません。すでに既婚者の約5割が「今の結婚制度に矛盾を感じている点からも、それは明らかでしょう。「当事者が納得しているならどのような、例えば同性や一夫多妻、結婚でも良いと思う」(大阪府、30歳男性)との声が示すとおり、多様性が進む今、社会に共通の形を作ることが難しくなっているからです。

配信元企業:レゾンデートル株式会社
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記事提供:DreamNews