「書店」倒産が急減 年間で過去最少ペース 「脱書籍」ビジネス広がる
株式会社帝国データバンク

「書店」の倒産動向(2025年1-5月)
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株式会社帝国データバンクは「書店」における倒産の発生状況について調査・分析を行った。
SUMMARY
書店業界が持ち直しの動きを見せている。2025年1-5月の書店倒産は1件にとどまり、前年同期の11件を大きく下回り、過去最少ペース。業績悪化企業は58.3%に達するが、文具や雑貨の取り扱いやカフェ併設、学習塾との共同サービスなどで「滞在型書店」を目指す動きが広がるなど、書店では新たなビジネスモデルの確立を進められている。こうした努力で増益となる書店も多く、2024年度の増益企業は約4割を占めている。
集計期間:2000年1月1日~2025年5月31日まで
集計対象:倒産は負債1000万円以上、法的整理によるもの
「活字離れ」による紙書籍の需要減を背景に苦戦を強いられてきた書店業界が、ここにきて持ち直しの動きを見せている。2025年1-5月に発生した書店の倒産(負債1000万円以上、法的整理)は1件にとどまり、前年同期の11件を大きく下回った。このペースが続けば、2025年通年でも過去最少となることが見込まれる。
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書店の経営は、若年層を中心に本を読まない「活字(書籍)離れ」に加え、インターネット書店の台頭、電子書籍の普及が進み、苦しい経営環境が続いている。2024年度の業績が判明した書店の損益動向をみると、34.4%が赤字となり、「減益」を含めた「業績悪化」企業の割合は58.3%と6割に迫った。コロナ禍にみられた、『鬼滅の刃』などビッグタイトルによる特需が見込みづらいなかで、雑誌や漫画本が売り上げの中心を占める書店の経営は引き続き厳しい状況に置かれている。
一方で、近時は書店側でも不採算店舗の閉鎖や従業員の削減といったスリム化策以外に、新たなビジネスの確立や、書店を単なる販売店ではなく、交流拠点や休憩施設として来店を促す「目的地化」を目指す動きが広がるなど、書籍の売り上げに頼らないビジネスモデルへの転換が進んでいる。かつては店内の一角を占める程度だった、ボールペンやノートなど文具や雑貨の取り扱いが強化され、雑貨コーナーを大々的に展開するケースや、カフェの併設、大手雑貨店との共同出店など、書籍の売り切りを目指すビジネスモデルから、長時間顧客が過ごせる「滞在型」の売り場づくりを目指す動きが広がってきた。
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また、豊富な在庫や書籍の発売情報といった専門知識を生かして、学習塾などと共同で学生向けの販売サービスを展開するなど、書籍販売のスタイルをより深耕させる経営戦略もみられた。従来の書籍販売に新たな付加価値を提供する企業努力によって業績が回復したケースもあり、実際に2024年度業績では、「増益」となった書店の割合は39.9%と、過去10年で2番目に高い水準で推移している。
経済産業省が2024年3月に「書店振興プロジェクトチーム」を立ち上げたほか、政府の骨太方針にも出版業や書籍小売業の支援が明記された。書店存続への注目度が高まっているなかで、縮小する書籍販売のニーズをどのように吸い上げ、再び書店に来訪する客数を増やすか、各社の経営戦略が問われている。
プレスリリース提供:PR TIMES


記事提供:PRTimes