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【摂南大学】移植用ドナー豚からのウイルス感染リスクを評価する新手法を開発

学校法人常翔学園

【摂南大学】移植用ドナー豚からのウイルス感染リスク

異種移植の更なる安全性向上に期待


 摂南大学(学長:久保康之)農学部応用生物科学科 動物機能科学研究室の井上亮教授と三浦広卓招聘研究員、明治大学(学長:上野正雄)農学部生命科学科の長嶋比呂志教授、ポル・メド・テック(代表取締役社長:三輪玄二郎)らの共同研究グループは、異種移植用ドナー豚からのウイルス感染リスクを評価する新たな方法を開発しました(特許出願済み)。本手法は、従来の評価法よりも、移植時の状況に近い条件で感染リスクを評価できる点が特徴であり、国内外を問わず異種移植の安全性向上に大きく貢献することが期待されます。本研究成果は、2025年9月15日に国際異種移植学会(International Xenotransplantation Association:IXA)の機関誌である国際科学誌「Xenotransplantation」に掲載されました。
URL:https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/xen.70073


【本件のポイント】
● 異種移植用ドナー豚からのウイルス感染リスクを評価する新たな評価方法を開発
● 従来法よりも簡便かつ移植時の状況により近い条件で感染リスクを評価できる
● 本手法を用いて試験を行い、感染リスクが高まる条件を発見した

[画像: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/140284/180/140284-180-a43898bbadde447e208603523d5ba5f3-3900x3214.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]


背景
 移植医療におけるドナー不足は慢性的な問題であり、それを解決しうる技術として異種移植に期待が集まっています。異種移植のドナー動物としてはブタが最も有望視されており、国内では共同研究グループの長嶋教授らによってドナー候補となるブタの開発・生産が進められています。
 異種移植の実現には、同種移植(ヒト-ヒト間移植)以上に感染症リスクの検査が重要です。井上教授らのグループは2年前、国内で初めて世界最大規模の病原体検査パネル(PCR検査系のセット)を開発しました(前回プレスリリース:https://www.setsunan.ac.jp/news/detail/6244)。このパネルを活用することで、ドナーとなるブタが病原体を保有していないか、網羅的かつ高感度に検査できるようになりました。
 一方で、ブタの体内には、完全に除去することが難しいウイルス「ブタ内在性レトロウイルス(Porcine Endogenous Retro Virus:PERV)」が存在しています。PERVはブタのゲノムに組み込まれたウイルスで、ほとんどすべてのブタが生まれながらに保有しており、PCR検査ではほぼ確実に陽性になってしまいます。ただし、保有していたからといって感染力を持つとは限らないのがこのウィルスの特徴です。実際、これまでに、PERVがヒトに感染したという事例は報告されておらず、移植で感染が起こる可能性は低いと考えられます。しかし、実験室の試験管内でブタ細胞とヒト細胞を混ぜて培養(共培養)すると、ヒト細胞へのPERVの感染が起こることが確認されています。そのため、安全な異種移植を実現するためには、感染力を持ったPERVの存在を正しく評価できる検査法が不可欠です。
 PERVの感染性の評価は、ブタ細胞とヒト細胞を一定の期間共培養し、その後ヒト細胞のみを回収して、感染の有無を確認します。しかし、培養後にブタ細胞とヒト細胞を正確に分離することは難しく、回収したヒト細胞の中にブタ細胞が混ざっていれば、感染の有無を正しく判定できません。対策の一つとして、細胞同士を直接触れさせず、PERVのみが通過できる穴の空いた膜で隔てて培養する方法が用いられてきました。しかしこの方法では、実際の移植時に近い「細胞同士の接触」を再現できず、評価の正確性に懸念がありました。

本研究の成果
 そこで研究グループは、ヒト細胞にあらかじめ蛍光ラベルを付与し、ブタ細胞と共培養する方法を考案しました。蛍光を目印にすることで、セルソーターと呼ばれる高精度の細胞分別装置を用いて、ブタ細胞とヒト細胞を確実に分けることができます。これにより、ブタ細胞とヒト細胞を直接接触させた状態で培養することが可能になり、移植時により近い状況を再現できるようになりました。研究グループはこの方法を使って複数の条件で共培養試験を行い、感染リスクが高まる条件(ブタ細胞の種類や数など)を明らかにすることに成功しました。とくに、「試験管内では最短で24時間以内に感染が起こりうる」という発見は世界初であり、異種移植の安全性を高めるための重要な知見となります。
 また、本手法は蛍光ラベルを付与すれば、さまざまな種類の細胞に応用できる汎用性と迅速性を兼ね備えています。将来的には、レシピエント(被移植者)の血液から採取した細胞を用い、実際のドナーブタの細胞と共培養することで、移植前に感染の有無をより正確に確認できることが期待されます。

今後の期待
 近年、異種移植実現の機運が国内でも急速に高まっていますが、これには感染症リスクの検査体制の整備が欠かせません。本研究の成果は、国内外を問わず、異種移植の実現に向けた最重要課題のうちの一つである「ドナーブタの感染症リスク評価」に大きく貢献すると考えられます。なお、本研究で開発された手法は特許出願済み(特願2022-114759)であり、実用化の際には研究グループの厳密な管理のもと精度を損なわない体制で運用される見込みです。

特記事項
 本研究は、日本医療研究開発機構(AMED)課題番号JP20pc0101056、23mk0121265および日本IDDMネットワークの支援を受けて実施されました。

論文情報
論文名:Assessment of porcine endogenous retrovirus infectivity to human cells using flowcytometric isolation after co-culture(和訳:フローサイトメーターによる細胞単離を用いた、ヒト細胞へのブタ内在性レトロウイルスの感染性評価)
著者名:三浦広卓1*、瓜生遥1*、石川頌大1、塚原隆充2、長嶋比呂志3,4、井上亮1(*共同筆頭著者)
   1.摂南大学農学部応用生物科学科 動物機能科学研究室
   2.栄養病理学研究所
   3.明治大学農学部生命科学科
   4.明治大学バイオリソース研究国際インスティテュート
雑誌名:Xenotransplantation
DOI:https://doi.org/10.1111/xen.70073
公表日:2025年9月15日(オンライン公開)
 
*前回の報告:
 国内初、移植用ドナー豚の病原体検査パネルを開発 標的病原体数は世界最多、国内での異種移植実現に向けた大きな一歩
https://www.setsunan.ac.jp/news/detail/6244

プレスリリース提供:PR TIMES

記事提供:PRTimes

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