日立の次世代AIエージェント「Naivy」を活用し、現場の安全性を高めるリスク危険予知支援システムを新開発、現場安全性・効率性向上の効果を実証
株式会社 日立製作所

リスク対策の質を向上させ、誰もが安全に働ける現場の実現をめざす
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図1 危険予知サポートで現場の安全性を高めるRKY支援システム活用イメージ
株式会社日立製作所(以下、日立)と株式会社日立プラントコンストラクション(以下、日立プラントコンストラクション)は、次世代AIエージェント「Frontline Coordinator - Naivy*1」(以下、Naivy(ナイヴィー))を活用し、危険予知サポートで現場の安全性を高めるRKY(リスク危険予知)支援システムを新たに開発しました*2。本システムは、現場安全高度化ソリューション*3の具体的なユースケースの一例であり、従来の紙やホワイトボードを使ったRKY活動で課題となっていた情報の網羅性や臨場感を向上させます。メタバース空間で現場をリアルに再現し、中核を担うNaivyが過去の類似事例を即時に解析・抽出することで、安全手順の確認や危険個所の可視化にとどまらず、現場ごとの潜在リスクや最適な安全対策も作業者にわかりやすく可視化します。これにより、作業者は自身の現場に即したリスクを主体的に捉え、質の高いリスク対策を検討できる環境が実現します。日立プラントコンストラクションがお客さまの変電所で本システムを活用した実証実験を複数回行った結果、作業者の安全意識が向上し、RKY活動の所要時間が約20%短縮したことから、安全性と効率性の両立が実現できることを確認しました。
今後、日立と日立プラントコンストラクションは、現場の安全性を高めるナレッジやノウハウに加え、作業者とNaivyの協働より得られる新たなドメインナレッジを基に、Naivyのさらなる進化を図ります。現場のドメインナレッジ活用を促進し、Lumada 3.0を体現するアプリケーション群としてNaivyを位置づけ、建設、電力、鉄道、製造、保守などの産業分野へ展開します。これにより、フロントラインワーカーの作業効率やウェルビーイングの向上、誰もが安全に働ける現場の実現に貢献します。
なお、本成果の一部は2025年10月14日~17日に幕張メッセ(千葉県千葉市)で開催される「CEATEC 2025」で展示予定です。
*1
現場作業における心理的負担軽減と作業効率化を支援する次世代AIエージェント「Frontline Coordinator - Naivy」を開発:2025年7月3日
*2 RKY(リスク危険予知): 現場作業などに潜む不安全な状態や行動、心理状態を事前に明らかにすることで、労働災害のリスクを軽減し、事故防止につなげること。また、リスクアセスメントの要素を含む、より広範なリスク評価を行うこと。
*3
労働災害撲滅に向け、日立のAIエージェントとNVIDIA技術により安全手順の確認・危険個所の可視化を実現し、現場の安全性を向上:2025年7月8日
背景および課題
産業現場では、労働人口や熟練者の減少により作業負担が増加しており、現場の働きやすさや業務効率化、加えて事故や災害を未然に防ぐ安全性の確保が、事業の継続性を高めるうえで大きな社会課題となっています。これまで日立では、Naivyを開発し、施設管理現場で活用することで、現場作業の心理的負担軽減や業務効率化を支援してきました。一方で、現場に安全文化を根付かせ、現場での労働災害を未然に防ぐためには、リスク危険予知(RKY)活動の高度化が不可欠です。しかし、従来のRKY活動は紙やホワイトボードによる運用が主流で、過去の災害事例やリスク情報の活用が限定的であることから、現場ごとの状況に応じた潜在リスクや最適な安全対策の共有が難しく、リスクの見落としや思い込みによる労働災害の発生リスクが残っています。こうした課題を解決し、現場の安全性と事業の継続性を高めるためには、誰もが現場のリスク情報を的確に把握し、作業者自身が主体的に作業の安全性を考えられる環境が求められていました。
課題を解決するために開発した技術の特長
そこで日立と日立プラントコンストラクションは、Naivyを活用し、現場拡張メタバース*4とRKY活動のノウハウを組み合わせることで、危険予知サポートにより現場の安全性を高めるRKY支援システムを開発しました。日立がグローバルに蓄積してきた多様なドメインナレッジやAI技術に加え、日立プラントコンストラクションの発電所や受変電設備の建設およびメンテナンスで培ったノウハウを活用したOne Hitachiのソリューションにより、現場ごとの状況に応じて潜在リスクや最適な安全対策を可視化します。本システムの主な特長は以下のとおりです。
1. 現場臨場感と知見可視化により実現するリスク対策の"自分ごと"化支援
現場拡張メタバースを用いて作業現場をメタバース上に再現するとともに、過去の災害事例やノウハウ集、直近の作業写真など、従来はバラバラに管理されていた複数の情報ソースから、ナレッジをメタバース上でNaivyが統合・検索・可視化します。視覚的に現場を再現し、関連情報を一元的に提示することで、作業者は自身の現場で起こりうるリスクを直感的に理解し、リスクの存在やその背景を主体的に考えられるようになります。質の高いリスク対策を検討できる環境が整い、"自分ごと"として捉える安全意識が強化されます。
2. リスク提示・対策の高度な補強により実現する現場ごとの最適な安全対策支援
Naivyが現場で蓄積されたさまざまなデータやノウハウを解析し、作業内容や現場状況に応じて潜在リスクや最適な対策案をタイムリーに提示します。例えば、建設現場でクレーン作業を行う場合のRKY活動では、クレーンが転倒するという労働災害のリスクに対して、作業者が発案したクレーンを水平に保つために敷鉄板で養生するという対策だけでなく、地盤が柔らかいという可能性を指摘し、より広い敷鉄板を敷くなど具体的な対策案をNaivyが補強して提示します。Naivyによる具体的な対策提案を通じて、このような現場ごとのリスク傾向や作業特性に応じた安全対策を実現し、現場の安全文化醸成に貢献します。
*4
日立、現場データの収集技術や生成AIを活用した「現場拡張メタバース」を開発:2023年12月18日
確認した効果
日立プラントコンストラクションがお客さまの変電所で本システムを活用した実証実験を行った結果、潜在リスクへの気づきや、具体的な対策の積極的な発案など、安全意識の向上が図れました。特に、過去の災害事例やノウハウ集、作業写真などの情報をNaivyが即時に解析・抽出することによる、潜在リスクや対策への気付きやすさが向上しました。さらに、これらの必要な情報へのアクセスが迅速化されたことで、RKY活動の所要時間が約20%短縮するとともに、意思決定がスムーズに進むなど、業務効率化の効果も確認しました。作業者へのアンケートでは、「過去の災害事例やノウハウ集がわかりやすい」、「作業写真で不安全行動を発見しやすい」、「メタバース空間で安全・危険な場所が直感的にわかる」などの評価が得られ、現場の安全性と効率性を両立できることも実証されました。
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図2 本システムを活用したRKY活動実施の様子
今後の展望
日立と日立プラントコンストラクションは、Naivyを活用したアプリケーションの拡充を通じて、Lumada 3.0や、それを体現するソリューション群である「HMAX」を支える主要技術として進化させます。今後も建設、電力、鉄道、製造など幅広い分野で、作業者の心理負担軽減、現場の安全性向上など重要な社会課題解決に貢献します。また、作業者とNaivyの協働により得られる新たなドメインナレッジを蓄積し、支援領域を拡大させます。さらに、NVIDIA Omniverseテクノロジを活用した現場安全高度化ソリューションとの連携を強化し、多様なお客さまやパートナー企業との協創を通じて社会実装を加速します。これらの取り組みを通じて、誰もが安全に働ける現場の実現を支援し、環境・幸福・経済成長が調和するハーモナイズドソサエティの実現に貢献します。
日立ブースのご案内
会場 : 幕張メッセ 国際展示場 【HALL 5】 General Exhibitsエリア(ブース番号 5H220)
CEATEC 2025の開催概要
会期:2025年10月14日(火)~10月17日(金)
会場:幕張メッセ 国際展示場 展示ホール1~6 千葉県千葉市美浜区中瀬2-1
CEATEC 2025(シーテック)Innovation for All 公式サイト
日立製作所について
日立は、IT、OT(制御・運用技術)、プロダクトを活用した社会イノベーション事業(SIB)を通じて、環境・幸福・経済成長が調和するハーモナイズドソサエティの実現に貢献します。デジタルシステム&サービス、エナジー、モビリティ、コネクティブインダストリーズの4セクターに加え、新たな成長事業を創出する戦略SIBビジネスユニットの事業体制でグローバルに事業を展開し、Lumadaをコアとしてデータから価値を創出することで、お客さまと社会の課題を解決します。2024年度(2025年3月期)売上収益は9兆7,833億円、2025年3月末時点で連結子会社は618社、全世界で約28万人の従業員を擁しています。詳しくは、
www.hitachi.co.jpをご覧ください。
日立プラントコンストラクションについて
日立プラントコンストラクションは、発電所や受変電設備、交通設備や工場施設などの社会インフラ設備の建設およびメンテナンスを通じ、社会・産業の発展を支える基盤づくりが主な事業領域となっています。この事業領域では、日立プラントコンストラクションの提供するシステム、サービスにより、社会の中で活動する人々が常に「安心と安全」を享受出来るインフラの構築を追及しています。詳しくは、日立プラントコンストラクションのウェブサイト(
http://www.hitachi-plant-construction.co.jp/)をご覧ください。
お問い合わせ先
株式会社日立製作所
研究開発グループ 問い合わせフォーム:
https://www8.hitachi.co.jp/inquiry/hqrd/news/jp/form.jsp
株式会社日立プラントコンストラクション
総合お問い合わせ:
https://www8.hitachi.co.jp/inquiry/hitachi-plant-construction/general/form.jspプレスリリース提供:PR TIMES

記事提供:PRTimes