現場の省人化を実現するプレキャストPC床版「SJKSLAB(TM)」を開発
株式会社大林組

貫通孔や吊り孔をゼロにする新構造で長寿命化に貢献
株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:佐藤俊美)は、道路橋リニューアル工事における床版取り替え工事の省人化を目的に、貫通孔や吊り孔のあと埋め作業が不要のプレキャストPC床版「SJKSLAB(エスジェーケースラブ)」を開発しました。
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従来のプレキャストPC床版(左)とSJKSLAB(右)のイメージ
1.開発の背景
昨今、社会インフラの老朽化が社会問題となっており、2030年には国内の道路橋の約54%が建設から50年を経過すると予測され(※1)、橋梁のリニューアルが急務となっています。
リニューアル工事では、従来の鉄筋コンクリート製の床版を、より耐久性の高いプレキャストPC床版(※2)に取り替えています。従来のプレキャストPC床版は、橋の主桁と一体化させるためのスタッド孔をはじめ複数の孔があり、設置後は孔をモルタルで埋める、あと埋め作業が必要です。あと埋め部は水や塩化物イオンの侵入によるコンクリート劣化のリスクがあるほか、床版内の鉄筋・PC鋼材位置が標準化できず設計・製作に多大な労力を要するなど、構造上の課題がありました。
これらの課題を解決する新しい構造として、SJKSLABを開発しました。
2.SJKSLABの構造と特長
(1)新しいずれ止め構造と特殊プレートによる吊り構造
従来のプレキャストPC床版は、床版を橋の主桁と一体化させるために「ずれ止め構造」(※3)を採用し、頭付きスタッドを差し込むためのスタッド孔、床版の高さを調整するための高さ調整孔、吊り上げ作業時に使用する吊り具のための吊り孔が必要でした。SJKSLABは、短い頭付きスタッドと孔あき鋼板ジベルを組み合わせ、高強度モルタルで一体化する新しいずれ止め構造を採用、さらに床版側面に特殊プレートを取り付けることで、貫通孔や吊り孔をゼロにする構造を実現しています。
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(2)従来と同等のずれ止め性能と、貫通孔をゼロによる耐久性向上
SJKSLABは、従来構造と同等のずれ止め性能を維持しながら、スタッド孔と高さ調整孔の2種の貫通孔と、吊り孔を設けないことで床版に一様なプレストレスを導入可能です。また、孔のあと埋め部は、水や塩化物イオンの侵入リスクがあり、コンクリート劣化の原因となっていましたが、SJKSLABではこのリスクを回避し、さらなる長寿命化に貢献します。
(3)あと埋め作業不要による省人化とコスト縮減の実現
従来構造は、床版設置後に孔のあと埋め作業がある一方、SJKSLABでは不要となり、現場作業の省人化が可能です。
橋長80m・幅員15mの床版取り替え工事では、約60人工の削減効果が見込まれ、コストも約2%の削減が期待できます。
(4)大林組保有技術との組み合わせによる、さらなる付加価値向上
床版取り替え工事では、渋滞の発生を抑制するため、施工中の道路の工事規制期間を少しでも短縮することが求められます。交通量の少ない夜間の車線規制のみで工事が可能な床版取り替え工法「
DAYFREE(R)」や、防水工を不要とする「
スリムトップ(R)」などの技術とSJKSLABを組み合わせることで、さらなる工事規制期間の短縮や、より高品質で耐久性の向上した床版を提供することができます。また、低炭素型のコンクリートを活用した「
クリーンクリート(R)PC床版」の適用が可能で、低炭素化への貢献が期待されます。
3.今後の展望
大林組は、SJKSLABを積極的に提案するとともに、床版取り替え工事におけるプレキャストPC床版構造の標準化を図り、迅速なリニューアル工事の実現とインフラの長寿命化に貢献します。
※1 出典:国土交通省サイト
社会資本の老朽化の現状と将来 - インフラメンテナンス情報
※2 プレキャストPC床版
工場で製作する床版で、圧縮には強いが引張には弱いコンクリートの弱点を克服するため、引張側となる断面に対して、あらかじめ圧縮応力(プレストレス)を加えているプレストレストコンクリート(PC)製品
※3 ずれ止め
鋼とコンクリートのような異なる材料や部材が接触する界面で、それらの相対的なずれ(せん断力)を拘束して一体化させるための部材
関連情報
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【技術・ソリューション】DAYFREE(R)
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【技術・ソリューション】スリムトップ(R)
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製造時CO2排出量を67%削減するプレキャストPC床版「クリーンクリート(R)PC床版」を開発(2025.10.10付)プレスリリース提供:PR TIMES




記事提供:PRTimes