【開催レポート】様々な健康への作用解明が進む「紅茶ポリフェノール」に関する最新知見を紹介
一般社団法人ウェルネス総合研究所

新たに紅茶ポリフェノールによる健康作用について情報発信する「紅茶ポリフェノールラボ」を発足!
一般社団法人ウェルネス総合研究所(代表理事:波多野 誠)は、新たに紅茶の機能性成分に関する情報を啓発・発信する「紅茶ポリフェノールラボ」を発足いたしました。そこで11月1日の「紅茶の日」を機に、『紅茶ポリフェノールラボ発足セミナー いま注目される「紅茶ポリフェノールの働き」最新知見』と題して、2025年10月30日(木)にメディア関係者向けのセミナーを開催いたしました。
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本セミナーでは、ポリフェノール研究の第一線で活躍する甲南女子大学 准教授の川畑球一先生に、ポリフェノールの全容と、ポリフェノールと腸内細菌叢の関係についてご講演いただいたとともに、長年紅茶ポリフェノール研究を牽引されている静岡県立大学 客員教授の中山勉先生より、紅茶特有のポリフェノールである紅茶ポリフェノールとその健康作用についてご講演いただきました。
■ 講演1.
農学博士、甲南女子大学 医療栄養学部 医療栄養学科 准教授 川畑 球一 先生
「いま改めて注目される“ポリフェノール”の可能性」
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1. ポリフェノールに関する基礎情報
ポリフェノールとは1つの化合物を指す言葉ではありません。炭素と水素が環状に結合し、ベンゼン環に水酸基がついた構造をフェノールといいます。このフェノール構造を分子内に複数持つ化合物の総称をポリフェノールといい、天然のポリフェノールは約8000種類存在するといわれています。
ポリフェノールは古くから機能性が期待されています。その代表的なものは抗酸化作用です。この他、抗がん作用、抗アレルギー作用、抗炎症作用など、多彩な機能があることがわかっています。例としては、お茶に含まれるカテキンは67LRというタンパク質に結合し抗がん作用を示します。また、ケルセチンというポリフェノールは、セノリティクスといわれる最近話題の老化細胞を除去する機能があることがわかっています。
2. ポリフェノールと腸内フローラの関わり
ポリフェノールの抗酸化作用や多彩な機能性は、基本的に小腸から吸収されて全身をめぐって働くと考えられています。ところが、最近の研究でポリフェノールの吸収率は実はそれほど高くないことがわかりました。
食事から摂取されたポリフェノールのうち、小腸で吸収されるのは全体の約10%ほどであり、残りの90%は大腸の腸内フローラ(腸内細菌叢)で作用しているのではないかということが、世界的にも注目されている研究テーマとなっています。
こうした背景から、ポリフェノールは腸内細菌と相互作用があると考えられ、研究が進められています。腸内細菌の増殖促進または抑制、代謝変化、機能調節が考えられています。さらに腸内細菌がポリフェノールに与える作用として、構造変化や低分子化が考えられています。構造変化の例としてよく知られているのは、大豆ポリフェノールであるダイゼインからエクオールへの変化であり、エストロゲン様活性が上昇します。
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3.紅茶ポリフェノールと腸内フローラ
紅茶に含まれるポリフェノールは、カテキン類の重合物でテアフラビンに代表されます。ほとんどが小腸からは吸収されず、尿中に含まれるのは0.01%以下とされています。紅茶ポリフェノールの一種でテアフラビンよりも重合度の高いテアルビジンは、さらに難分解性、難吸収性と予想されています。
そのため、紅茶ポリフェノールは腸内フローラとの相互作用が期待されています。
紅茶ポリフェノールには、抗酸化作用、抗肥満作用、血糖値調節作用、血中脂質改善作用、便秘改善作用が動物実験などで認められています。紅茶ポリフェノールは短鎖脂肪酸を産生する菌を増やすことがわかっており、これが機能性に関係していると考えられています。さらに、テアフラビンの構造に由来する機能性も注目され、腸内細菌との関連性の解明に期待が持たれています。
■ 講演2.
農学博士、静岡県立大学 食品栄養科学部 客員教授 中山 勉 先生
「知られざる紅茶ポリフェノールの働き」
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1. 紅茶ポリフェノールとはなにか?
世界の三大飲料は、紅茶、コーヒー、ココアといわれており、ポリフェノールを多く含み、人類の歴史上でも好まれてきた飲料です。実は、紅茶の摂取量は水に次いで2番目、コーヒーよりも多く飲まれています。
紅茶のポリフェノールには、赤色を出しているテアフラビン類、紅茶の赤色の中心を担う複雑な重合体であるテアルビジン類、さらに複雑なテアブロウニンがあります。
緑茶と紅茶は同じ茶葉からできますが、含まれるポリフェノールは大きく異なります。緑茶にはカテキンが多く含まれますが、テアフラビンは存在しません。紅茶に含まれるテアフラビンは、葉が持つ酵素によってカテキンが2つくっついたような形に変換されます。そのため紅茶にはカテキンは少なくなりますが、カテキンよりも強い脂質膜への作用が得られると考えられています。
このテアフラビンは構造上、リン脂質膜との親和性が高くなり、様々な生理活性作用が認められています。リン脂質膜は、腸管の細胞壁やウイルスなどの表面に存在します。表面に作用することが重要で、受容体への作用や膜の凝集に働きます。
2. 紅茶ポリフェノールの働き
紅茶ポリフェノールには数々の研究エビデンスがあり、その一部を紹介します。
1. インフルエンザウイルスの感染防止
2. コロナウイルスに対する効果
3. 血流に対する影響
4. コレステロール濃度の低減
5. 脂質吸収の抑制
6. 血管疾患、虚血性心疾患、脳卒中の死亡率の低下
7. 抗肥満、抗腫瘍、抗ウイルス、抗酸化、静菌
などが報告されています。
マウスに2週間、インフルエンザウイルスを水で処理したものを経口投与したグループと、紅茶で処理したグループを比較したところ、水では5日目から生存率が急激に下がり、10日目から生存率がゼロになりました。ところが紅茶では、生存率が100%を保っていました。
コロナウイルスの研究では、カテキン類よりもテアフラビンの方がより強く、ウイルスを不活化する作用があることが認められています。
血流に対する影響は、ラットの研究ですがテアフラビン類は血流を短時間で増加させることがわかりました。これは、テアフラビン類が腸管から吸収されるのではなく、腸管の上皮細胞から神経系を通じて脳に情報が伝達されることを示唆しています。
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さらに、注目すべき研究を紹介します。英国におけるコホート研究では、1日2杯以上の紅茶の飲用で、血管疾患、虚血性心疾患、脳卒中における死亡率が低下したという報告があります。
紅茶ポリフェノールには、様々な生理活性作用が認められ、カフェインやカテキン類より顕著な場合もあることがわかっています。つまり、コーヒーや緑茶と比較してもその差は明確です。今後、ヒトを対象とした疫学研究や臨床試験が期待され、生理機能の解明も望まれています。
■ 登壇者プロフィール(登壇順)
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川畑 球一 先生|農学博士、甲南女子大学 医療栄養学部 医療栄養学科 准教授 2000年、近畿大学生物理工学部生物工学科卒業。福井県立大学講師、神戸学院大学講師などを経て、2018年から現職。専門分野は食品機能学。腸内フローラとポリフェノールの機能的相互作用に関する研究に従事している。日本フードファクター学会 理事。
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中山 勉 先生|農学博士、静岡県立大学 食品栄養科学部 客員教授東京大学農学部農芸化学科卒業。同大学院農学系研究科修士課程修了。長年にわたり、茶など植物性食品の成分(ポリフェノール)を研究。静岡県立大学、日本獣医生命大学、東京農業大学教授を歴任。日本フードファクター学会 名誉会員。
■ 紅茶ポリフェノールラボ とは
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近年、日本では紅茶を提供する専門店やカフェの増加、各地で生産される和紅茶の普及が進むなど、紅茶市場は新たな広がりを見せています。こうした社会的背景のなかで、飲料としての楽しみ方だけでなく、紅茶の持つ健康的な価値にも注目が集まりつつあります。
とくに、紅茶特有のポリフェノールである、テアフラビンやテアルビジンをはじめとした「紅茶ポリフェノール」は、他の食品由来ポリフェノールには見られない独自の構造と作用を有し、研究分野として大きな期待が寄せられています。
そこで本ラボでは、紅茶ポリフェノール研究の専門家を筆頭に、様々な専門分野の研究者とともに、「紅茶ポリフェノールによる健康作用」をテーマに情報を発信していきます。
◆紅茶ポリフェノールラボWEBサイト:
https://wellnesslab-report.jp/pj/koucha-polyphenol/
<ウェルネス総合研究所 概要>
人生100年時代を迎えたいま、健康寿命を延ばし、豊かな人生を送ることへの社会的関心はますます高まっています。私たちウェルネス総合研究所は、独自の視点で健康・ウェルネスに関する情報の調査・集積・発信を行ってまいります。また、人々の健康やQOL向上を助ける食品・医薬品・化粧品・運動などに関わる団体・企業に向けた、コンサルティングを実施し、人々の健康維持・改善を実現する、健康・ウェルネス産業の発展に寄与してまいります。
◆WEBサイト:
https://wellness-lab.org/プレスリリース提供:PR TIMES





記事提供:PRTimes