「営業実態調査2025」を発表 法人顧客は「アカウント営業」への期待大、特に「鋭いプロ視点での解決策の提案」を重視
株式会社パーソル総合研究所

業績貢献に影響するのは「フォロー活動」の体制強化 営業の人的資本の総量が業績貢献する可能性大、「現場のマネジメント力強化」が急務
株式会社パーソル総合研究所(本社︓東京都江東区、代表取締役社長︓岩田 亮)のラーニング事業本部は、BtoBの顧客、営業、人事、各1,000人を対象とした「営業実態調査 2025~“アカウント営業”の生産性、その鍵は『質』にある~」を発表しました。
昨年実施した「10,000人の営業実態調査2024」では、「THE MODEL※」に代表される分業とテクノロジーで営業の効率化が進む業態がある一方、高額で、検討期間が長く、経営課題に近い案件を扱う業態では、営業の対応力に対する期待が高くなるという示唆を得ました。 ※THE MODEL(ザ・モデル)とは、米セールスフォース・ドットコム社でのBtoB営業活動の分業体制をもとに、福田康隆氏が著書で紹介したレベニューモデルのこと。
そこで本調査では、2024年度の調査を掘り下げ、営業の対応力で顧客に深く入り込み事業成長に貢献する「アカウント営業」に焦点を絞り、より詳細に調査しました。
次の3つの視点で「営業の実態」を明らかにすることを目的に実施し、以下の示唆を得ました。
1.顧客に深く入り込む関係構築行動への期待
顧客はアカウント営業に対し「高度関係構築営業」への期待が高く、それに応えられる営業担当者が長期的な取引を獲得している。顧客は、重要商談の参画に声をかける営業担当者を、初めからある程度選別している可能性がある。
営業は、営業プロセスの課題形成~提案段階での「鋭いプロ視点での解決策提案」、実装~フォロー段階での「解決策の共同開発」や「継続的な改善提案」など、高い期待に応えなければならない。
2.アカウント営業のプロセスと成果の関係
1 社と“深く・長く”関わるアカウント営業においては、ニーズ対応営業における高度な営業活動はもはや当たり前となっており、更には自社課題を広くとらえた“解決策”の提示がより求められている。売り手側もそれを重視し、対応・強化してきているが、より“顧客目線”を強化する必要がある。
一方、“深く・長く”関わることから、業績貢献に影響することが予測できる「フォロー活動」特に「商品・サービス利用者の声(VOC)の収集」は十分に活用できていない。カスタマーサクセスやサービス担当者だけに任せることなく、組織として(営業担当者やマーケティング機能を巻き込んだ)体制構築を真剣に考える時が来ていると考えられる。
3.人事課題から営業人材の最大活用を考察
総合して“人材の力”(人的資本の総量)が業績に大きく貢献する可能性がある。その対応策として、人事的な制度構築はもちろんのこと、最も影響が大きく、施策即応性が低い(時間がかかる)“現場のマネジメント力の強化”に対する対応が急務であると考えられる。
「営業実態調査2025~“アカウント営業”の生産性、その鍵は『質』にある~」の報告書全体は、以下よりダウンロードが可能です。
https://rc.persol-group.co.jp/useful/useful-library/salesresearch_2025/
■調査結果サマリ
1. 顧客に深く入り込む関係構築行動への期待
法人で100 万円以上の購買をする顧客1,000 名を対象に、アカウント営業への「顧客期待」を調査した。特に、大手企業が営業担当者に期待する営業行動を次の3 タイプ各5 項目で設定した。各5 項目すべてに「強く期待する」と答えた顧客を各タイプを期待する層とし、少なくとも一つのタイプへの期待がある場合に、「アカウント営業における『高度関係構築営業』を期待する顧客」として、それ以外の顧客と比較した。
【アカウント営業における「高度関係構築営業」の3タイプ】
1.インサイト営業・・・顧客のビジネスを熟知したうえで、核心をついた課題仮説と解決策を提示する営業
2.共創型営業・・・困難な問題に対して、両社の専門家を巻き込んで共同で新たな解決策を創る営業
3.ビジョナリー営業・・・顧客のビジョンに基づく中長期的な事業開発の視点で未来シナリオを実践する営業
・ アカウント営業における「高度関係構築営業」を期待している顧客層では、営業担当者から示唆を受けた経験が「よくある」「ある」の合計が約6 割を占め、「それ以外」より約2 割多い。より高度な顧客期待に応えることができる営業担当者が多数存在していることが見て取れる。
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・ 「高度関係構築営業」は、1 回だけの取引は少なく、5回以上の取引継続が6 割を占める。
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・ 営業に期待される行動は、課題形成~提案段階では「鋭いプロ視点で解決策の提案」 のために、「価値創出の仮説提示」「多様な社内意見の整理」が重視される。
・ 実装~フォロー段階では、「解決策の共同開発」「継続的な改善提案」が重視される。
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2.アカウント営業のプロセスと成果の関係
・ 会社業績と営業プロセスの関係をみると、「解決策の実例や実績の提示」などのように、課題を広くとらえ、かつ直接的な解決に向けた貢献を果たす活動を売り手も強化し、実績に影響を与えていることが考えられる。一方、顧客への「自社の企業情報や商品・サービスの紹介」「提案依頼された範囲外の追加提案」などは、企業の強化度に対して、あまり実績貢献できていない可能性がある。そのため、営業担当者が高い対応力を発揮し、顧客との関係性を深めることで取引を最大化する「アカウント営業」においてはその期待値が上がる。ニーズに対応するのではなく、顧客課題を広くとらえ、そこに直結する解決策の提示が強く求められている。売り手側も対応しようとしているが、自社目線の枠を出ておらず、更なる強化が期待される。
・ 片や業績貢献度が比較的に高い割に強化度合いが低い項目として、「フォロー活動」の項目が並ぶ。特に「商品・サービス利用者の声(VOC)の収集」や「購入後の継続的な情報提供」など、これは「やれば効果は出そう」だが、アカウント営業の特性上、一顧客あたりの取引数が多いため、実質的に対応が難しく、後回しになっている状況がうかがえる。特に、「The Model」に代表される分業体制が進行していく中で、現行のカスタマーサクセス体制は、一顧客と深く関わるアカウント営業においては十分にその役割を果たしているとは言えず、営業担当を含めた新たな顧客対応体制の構築が必要と考えられる。
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3. 人事課題から営業人材の最大活用を考察
・ 昨今の人手不足を反映して、「離職」や「採用」に関する課題認識が強く、営業(現場)と人事との間では切実感に開きがある(営業現場の方が切実に人材不足を感じている)。一方、これらの項目は業績との関連性(相関)も認められるため、「離職」を減らし、潤沢に「採用」することが事業課題に影響を与える重要な課題といえる。
・ 環境変化の影響もあり、「リスキリング」に関する課題感(必要度に対する実践度のギャップ)は非常に大きい。「キャリアへの取り組み」含め、業績との関連性も比較的高い。その理由として「技術環境の変化」はもちろんのこと、それよりも「顧客の商習慣の変化」が大きく、一律の人事的な制度構築による対応だけでなく、顧客との関連性を的確に理解でき、適切な指示・指導ができる現場のマネジメントによる解決が必要となる。
・ 人材の流動性を反映し、「ジョブ型雇用」への課題感も大きい。そして業績との関連性と、取り組みレベルの観点から、ジョブに必要な「要件定義」とそれを使いこなす「マネジメント力」が課題となる。
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・ (上記傾向より)“人材の力”がより重要な状況下で、「人的資本経営」に関する課題感が最も大きい。その要因である「人的資本の可視化」「人的資本の適正配置」「人的資本が機能するマネジメント力」に関しては、業績との関連性やその実践度との関係を勘案すると、現場マネジャー采配(スキルの見極め、役割の適正配置・運用)が大きな影響力を持つと考えられる。
■調査の概要
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■回答者属性
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※本調査の内容を引用される際は、出所として
(株)パーソル総合研究所 ラーニング事業本部 「営業実態調査2025~“アカウント営業”の生産性、その鍵は『質』にある~」と記載いただくようお願いいたします。
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