企業の51.6%が「正社員不足」 4年連続で半数超に 非正社員の不足は改善傾向か
株式会社帝国データバンク

人手不足に対する企業の動向調査(2025年10月)
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株式会社帝国データバンクは、全国2万5,111社を対象に、「雇用過不足」に関するアンケート調査を実施した。
SUMMARY
正社員の人手不足を感じている企業の割合は、2025年10月時点で51.6%、非正社員では28.3%となった。業種別では「建設」など8業種が6割を上回ったのに対して、非正社員では「旅館・ホテル」をはじめ全51業種で6割を下回った。また、地方における若手人材の流出や、スキルマッチした正社員の人材不足といった実態も表れた。
※なお、雇用の過不足状況に関する動向調査は2006年5月より毎月実施し、今回は2025年10月の結果をもとに取りまとめた。
調査期間:2025年10月20日~10月31日(インターネット調査)
調査対象:全国2万5,111社、有効回答企業数は1万427社(回答率41.5%)
正社員不足の企業は51.6%、10月としては4年連続の半数超
人手不足は、深刻な「高止まり」状態が続いている。2025年10月時点において、正社員の不足を感じている企業は51.6%だった。10月としては4年連続で半数を超えている。前年同月(2024年10月、51.7%)から0.1 pt低下と変動幅は小幅にとどまったものの、引き続き高水準で推移している。
また、非正社員における人手不足割合は28.3%だった。前年同月から1.2 pt低下し、10月としては2年連続で3割を下回った。
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<業種別> 正社員:「建設」が70.2%でトップ、受注を控えるケースも
正社員の人手不足割合を業種別にみると、「建設」が70.2%(前年同月比+0.6 pt)で最も高かった。企業からは、「人手不足の影響により案件があっても受注できない。人件費や資材費等の値上がり分を受注価格に反映できていない」(土木工事、奈良県)や、「案件は多いが発注者予算と工事費が合わない。今後、資材高騰や人件費高騰、職人不足が進むと受注を控えなくてはならず、売り上げ減少になる可能性がある」(木造建築工事、長野県)といった声があがった。
次いで、ソフトウェア開発や情報処理サービスなどを含む「情報サービス」(67.7%、前年同月比-2.5pt)が続いた。AIを活用したサービスの広がりやDX化が進むなか「案件はあるが、必要とされるITエンジニアのスキルへの期待値が高くなっている。以前より案件とITエンジニアのマッチングが難しくなっている」(ソフト受託開発、東京都)といった声が聞かれ、優秀な人材の確保が難しい状況が続いている。
また、ドライバー不足が深刻な「運輸・倉庫」(67.1%、同+1.3pt)や、低賃金や不規則な労働環境といった要因から慢性的に人手が不足している「メンテナンス・警備・検査」(63.6%、同-6.1pt)など、51業種中8業種が6割を上回る結果となった。
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非正社員:「旅館・ホテル」がトップも、6割を下回る
非正社員の人手不足割合を業種別にみると、「旅館・ホテル」が59.0%(同-1.9pt)で最も高かった。2023年11月以来のトップとなり、他業種に比べてインバウンド需要が高まるなかでの人手不足感が表れた。
次の「人材派遣・紹介」(57.4%)は派遣人材が不足していることから、前年同月から増加した。また、百貨店やコンビニエンスストアなどの「各種商品小売」(54.2%)や、正社員不足も顕著な「メンテナンス・警備・検査」(53.8%)が上位にランクされている。
ただし、非正社員の人手不足感は全51業種で6割を下回っており、改善傾向にある。前年同月にトップだった「飲食店」(53.4%)は、5割を超えているものの、前年同月から10.9pt低下、2年前からは28.6pt低下しており、DXやスポットワークの普及による生産性向上が背景にあるとみられる。
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まとめ:正社員の不足感は依然として高水準、 若手人材の流出問題も
2025年10月時点で、人手不足を感じている企業の割合は正社員で51.6%、非正社員では28.3%だった。どちらも前年同月よりわずかながら改善し、正社員に比べて非正社員に、より改善傾向がみられる。
正社員においては 4年連続で半数の企業が人手不足と感じており、依然として高水準となった。業界別では、「建設」や「情報サービス」など8業種で6割を上回った。
非正社員では、「旅館・ホテル」が2023年11月以来、23カ月ぶりにトップとなったが、全業種で6割を下回った。前年同月でトップの「飲食店」も改善し、DX・スポットワークの活用が生産性向上につながっているとみられる。一方で、派遣人材による活発な人員確保の動きから「人材派遣・紹介」は高水準で推移しており、「各種商品小売」とともに前年同月を上回った。
こうしたなか、「人手不足倒産」は2025年度上半期(4-9月)に214件発生し、上半期としては3年連続で過去最多を更新。また、通年でみても、2025年1-10月の累計ですでに359件に達しており、2024年の342件を上回り、3年連続で過去最多となった。
「若い人材は大手企業への就職が多く、求人を出しても応募者がいない」(舗装工事、岩手県)といった若手人材の不足を嘆く声があるほか、「案件は首都圏からを中心に多く出てきているが、スキルマッチした要員が不足しており、受注に至っていない。優秀な人材を確保できないためである」(ソフト受託開発、新潟県)などハイスキル人材の取り合いになっている様子がうかがえる。若手人材が首都圏に流出するなか、地方を中心にスキルのある正社員を採用するのは難しく、今後も正社員の人手不足割合は高止まりすると予想される。
プレスリリース提供:PR TIMES



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