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ライオンとサイキンソー、口腔・腸内細菌叢の共同研究で新知見―良好な口腔環境が腸内環境の安定に関わる可能性を示唆―

ライオン株式会社

ライオンとサイキンソー、口腔・腸内細菌叢の共同研究


ライオン株式会社(代表取締役兼社長執行役員:竹森 征之、以下、ライオン)は、株式会社サイキンソー(代表取締役:沢井 悠、以下、サイキンソー)(※1)との共同研究により、口腔内細菌叢(※2)(以下、口内フローラ)と腸内細菌叢(※3)(以下、腸内フローラ)の状態について、以下の関連性を見出しました。これらは、消化管の入口である口腔内のフローラが腸内環境の安定に関わる可能性を示唆しており、口腔を起点とする健康増進に向けた重要な知見となります。本研究について、2025年9月5日(金)~7日(日)に開催された第67回歯科基礎医学会学術大会(福岡県、北九州国際会議場)にて発表しました。
1. 口腔状態が良好な人に多く存在する口腔内細菌「ナイセリア(Neisseria属)」(※4)が口内フローラに多い人は、腸内フローラの多様性が高く(※5)、腸内環境も良好である可能性が示唆されました。
2. 「ヴェイロネラ(Veillonella属)」(※6)や、う蝕(むし歯)の主要な原因菌である「ミュータンス(Streptococcus mutans)」が口内フローラに多い人では、腸内フローラの多様性が低く、腸内フローラからも両細菌が検出されやすいことが明らかになりました。これにより、口内フローラの状態が腸内環境に影響を及ぼす可能性が示唆されました。

(※1)24年6月 身体の細菌叢を解き明かすことによるヘルスケアへの貢献に向けて 個人向けの細菌叢検査を実施する株式会社サイキンソーへ出資
https://www.lion.co.jp/ja/news/2024/4647
(※2)口腔環境に生育する細菌の集団のこと
(※3)腸内環境に生育する細菌の集団のこと
(※4)口腔状態が良好な人の口腔内に多く存在する硝酸還元細菌の1つ。硝酸還元菌が産生する代謝物は、口腔内の酸性度低下抑制や、う蝕(むし歯)や歯周病に関連する細菌の増殖を阻害する可能性が報告されており、口腔疾患予防に寄与すると考えられている(Rosier BT, et al. The importance of nitrate reduction for oral health. J Dent Res. 2022;101(8):887-897.)
(※5)腸内フローラの多様性は腸内環境の状態を示す指標として評価に活用されており、菌の種類が豊富でバランスが良く、病原菌への抵抗力や環境変化への適応力が高いと考えられている(Lozupone CA, et al. Diversity, stability and resilience of the human gut microbiota. Nature. 2012;489:220-230.)
(※6)ほぼすべての人の口の中から検出される口腔常在菌であり、ナイセリアの存在比率が高い人の口内フローラでは存在比率が低くなる傾向が報告されている(Willis JR, et al. Citizen science charts two major “stomatotypes” in the oral microbiome of adolescents and reveals links with habits and drinking water composition. Microbiome. 2018;6:218.)
[画像1: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/39983/226/39983-226-89824c0bf08e2506645021da4667cfe9-2826x1075.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
図1 本研究の成果概要(イメージ)

■研究背景
う蝕や歯周病といった口腔疾患の予防には、従来のプラークコントロールに加えて口内フローラのバランスを整えることが重要と考えられており(※7)、ライオンも口内フローラに着目した研究を進めています(※8)。口腔は消化管の入口でもあるため、そこに存在する口内フローラは腸内フローラの構成に変化をもたらす可能性があります。さらに、腸内フローラが免疫系や内分泌系を介して全身健康に影響を及ぼすという仮説が提唱されている(※9)ことから、口内フローラのバランスが腸を介して全身の健康に関与し得るという議論が展開されています。しかし、これらの関連性や具体的な作用機序については、まだ十分に解明されていません。
そこでライオンは、腸内フローラをはじめとする身体の細菌叢をデータサイエンスの手法で解明してヘルスケアへの貢献を目指すサイキンソーと連携し、口腔を起点とする健康増進の実現に向けて、口内フローラと腸内フローラの関連性を検証しました。
※7 Kilian M, et al. The oral microbiome - an update for oral healthcare professionals. Br Den J. 2016;221(10):657-666.
(※8)2025年9月26日:グリチルリチン酸ジカリウムが口腔内の歯周病原細菌を選択的に抑制する作用を確認 ~口腔内細菌叢(口内フローラ)のバランスを整える、歯周病予防の新たなアプローチ~
https://doc.lion.co.jp/uploads/tmg_block_page_image/file/10941/20250926.pdf
(※9)Yoo JY, et al. Gut microbiota and immune system interactions. Microorganisms. 2020;8(10):1587.

■主な研究結果
サイキンソーが提供する個人向け腸内フローラ検査サービス「マイキンソー(Mykinso)」(※10)及び口腔内フローラ検査サービス「マイキンソー オーラル(Mykinso Oral)」(※11)の両方を利用した247名のデータを用い、統計解析を行いました。
(※10)腸内フローラ中の腸内細菌の割合やバランスなどを解析し、健康状態や体質の傾向を診断、生活改善に向けたアドバイスを提供するサービス
(※11)医療機関向けサービス。口内フローラ中の口腔内細菌の割合やバランスなどを解析し、食事や口腔ケアのアドバイスを提供するサービス

1. 口腔内に「ナイセリア」が多い人は、腸内フローラの多様性が高く、腸内環境が良好である可能性を発見
口内フローラは、大きく2つのタイプに分類されることが報告されています(※12)。先行文献(※12)を参考に、被験者の口内フローラをタイプAとタイプBに分け、腸内の状態の違いを比較しました。
2タイプについて腸内フローラの多様性(Shannon多様性指数(※13))との関連性を解析した結果、口内フローラ中のナイセリアの存在比率が高いタイプAは、腸内フローラの多様性が高い傾向にあることが示されました(図2)。
[画像2: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/39983/226/39983-226-8d9b58ff5daf3ee329e7f685c576032b-1707x875.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
図2 口内フローラタイプAおよびBにおける腸内フローラの多様性と回帰分析結果

(※12)Willis JR, et al. Citizen science charts two major “stomatotypes” in the oral microbiome of adolescents and reveals links with habits and drinking water composition, Microbiome. 2018;6(1):218. 及び Takeshita T, et al. Bacterial diversity in saliva and oral health-related conditions: the Hisayama Study. Sci Rep. 2016;6:22164.
(※13)環境中の菌の種類がどれだけ豊富で均等に分布しているかを示す多様性指標。数値が高いほど菌の種類が豊富でバランスが取れていることを示唆(Shannon CE. A mathematical theory of communication. Bell Syst Tech J. 1948;27(3):379-423.) 
(※14)年齢と性別の影響を考慮し、これらを調整変数とした重回帰分析を実施

また、ナイセリア、ヴェイロネラについて、口内フローラ中の存在比率に着目すると、ナイセリアの存在比率が高い人ほど腸内フローラの多様性が高いこと、ヴェイロネラについては、存在比率が高い人ほど腸内フローラの多様性が低いことが分かりました(図3)。
一般的に、腸内フローラは多様性が高いほど腸内環境が安定で良好とされており(※5)、口腔状態が良好な人は、口内フローラにおいてナイセリアの存在比率が高いことが報告されています(※4)。さらに、本研究の解析結果(図2、3)から、ナイセリアの存在比率が高い被験者ほど腸内フローラの多様性が高いことを明らかにしました。これらの知見を合わせると、口内フローラにナイセリアが多く存在する人は、口腔状態が良好である可能性に加えて、腸内環境も良好である可能性が示唆されます。
[画像3: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/39983/226/39983-226-16d59307ce3f286aab71c43445a9b174-1516x1125.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
図3 ナイセリア(左)およびヴェイロネラ(右)の口内フローラ中の存在比率と腸内フローラの多様性の関係

2.口腔の要注意菌などは、腸内フローラから検出されやすいことを発見
口内フローラに特徴的な細菌について、腸内フローラでの検出状況を解析しました。その結果、ナイセリアは、口内フローラ中の存在比率に関わらず腸内フローラからはほとんど検出されませんでした(図4(a))。一方、口内フローラ中にヴェイロネラやミュータンスが存在する人では、腸内フローラからもこれらの細菌が検出される傾向が認められました。具体的には、口内でヴェイロネラの存在比率が高い人は低い人に比べ、腸内で検出されるオッズ比(※15)が約2.9倍に、またミュータンスが口内で検出される人は検出されない人に比べてオッズ比(※15)が約8.7倍に上昇していました(図4(b)、(c))。これらの結果より、口内フローラにヴェイロネラや要注意菌であるミュータンスが多く存在すると、腸内フローラの状態に何らかの影響を及ぼす可能性が示唆されます。
(※15)フィッシャーの正確確率検定におけるオッズ比。口内での菌の状態(存在比率の高低や検出の有無)が異なるグループ間で、腸内から細菌が“検出される:検出されない”のバランスが何倍違うかを表す指標

[画像4: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/39983/226/39983-226-6207368323c9564a2ee146e64ec3a572-1908x827.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
図4 腸内フローラにおける口腔内細菌の検出状況

(検出方法概要)
各菌については、247名のサービス利用者全員の口腔から検出されたものを用いて解析。(a)ナイセリアと(b)ヴェイロネラについては、各菌の口内フローラ中の存在比率が高い群(上位25%)と低い群(下位25%)に分け、腸内フローラから検出の有無を確認した。(c)ミュータンスについては、口内フローラから検出される人と検出されない人がいたため、検出群と未検出群に分け、腸内フローラからの検出の有無を確認した
統計解析には、フィッシャーの正確確率検定を用いた。ナイセリアに関しては、口内フローラ中の存在比率が低い群において、腸内フローラからナイセリアが検出されなかったため、オッズ比について推定不能と記載

以上の結果から、以下の2点が示唆されます。
1. ナイセリアが多く存在する良好な口腔環境は、多様性の高い良好な腸内環境と関連する。
2. 口内フローラにヴェイロネラやミュータンスが多く存在すると、腸内フローラにもこれらの菌が存在しやすくなり、腸内環境に影響を及ぼす可能性がある。
これらの知見は、口腔環境を良好な状態に保つことが、腸内フローラの健全性にも繋がる可能性を示しています。
■今後の展望
ライオンは、口腔トラブルを繰り返さないためには、原因菌を一時的に除去するだけでなく、口内に存在する菌全体のバランスを整える「フローラケア」が重要であると考えています(※16)。口内フローラのバランスを整える新しいオーラルヘルスケア習慣を提案するとともに、口腔と全身健康との関連性をさらに研究し、口腔を起点とした健康増進に貢献してまいります。
(※16)微生物との共存関係構築により、繰り返される不具合の予防を目指す菌叢制御研究https://www.lion.co.jp/ja/rd/basic/analysis/case01.php

サイキンソーは、腸内フローラ検査サービス「マイキンソー」 の結果に応じて口腔ケアを推奨するなど、これまでも腸内と口腔内の関連性に着目した情報提供を行ってまいりました。今回の共同研究で示唆された「口腔環境と腸内環境の関連性」は、消化管全体の健康を考える上で重要な知見であると考えています。今後は本成果を活かし、「口腔ケアを通じた腸活」という観点からの取り組みも進めてまいります。また、関連研究を発展させ、科学的根拠に基づき個々人やタイプに応じた口腔環境ケアの探求を進め、人々の健康増進に貢献してまいります。

【第67回 歯科基礎医学会学術大会】
〇期間  2025年9月5日~7日
〇場所  北九州国際会議場
〇発表日 2025年 9月5日
〇演題  口腔細菌叢の構成が腸内細菌叢の多様性および菌種構成に与える影響の検討
ライオン株式会社 山 和馬、堤 康太、近澤 貴士、牧 利一
株式会社サイキンソー 南木 悠、翠川 優希、竹田 綾

【関連情報】
<ライオン発信情報>
・ライオン統合レポート「オーラルヘルスケアの成長加速」
https://www.lion.co.jp/ja/ir/library/ar/2025/pdf/ir2025.pdf#page=20
・ライオン統合レポート「ライオンの研究開発・戦略」
https://www.lion.co.jp/ja/ir/library/ar/2025/pdf/ir2025.pdf#page=38
・2022年3月24日:乳幼児期の早い段階からのお口のケアが大事! 生後6か月~1歳半は大人の口腔細菌叢に大きく近づく重要な時期
https://doc.lion.co.jp/uploads/tmg_block_page_image/file/8021/20220324.pdf
・2023年11月9日:う蝕・歯周病罹患者の口腔細菌叢は歯科治療後も口腔状態が良好な人と異なることを解明 ~口腔細菌叢を考慮した予防法の提案を目指す~
https://doc.lion.co.jp/uploads/tmg_block_page_image/file/9312/20231109_01.pdf
・2024年11月14日:3歳までに口腔細菌叢の基盤が確立される 乳幼児期の縦断研究から口腔細菌叢の形成が進む時期を解明
https://doc.lion.co.jp/uploads/tmg_block_page_image/file/10319/20241114_01.pdf
・2025年9月26日:グリチルリチン酸ジカリウムが口腔内の歯周病原細菌を選択的に抑制する作用を確認 ~口腔内細菌叢(口内フローラ)のバランスを整える、歯周病予防の新たなアプローチ~
https://doc.lion.co.jp/uploads/tmg_block_page_image/file/10941/20250926.pdf

<企業概要>
■株式会社サイキンソー
所在地:東京都渋谷区代々木1-36-1 オダカビル2 階
代表者:代表取締役 沢井 悠
設立:2014年11月
事業内容:腸内細菌叢検査サービスの開発、提供、細菌叢研究・解析の受託

「細菌叢で人々を健康に」を企業理念に、データサイエンスの力を活用した腸内及び口腔内の細菌叢検査サービスとして、一人ひとりの細菌叢解析結果と生活習慣改善の参考となるアドバイスやコンテンツの提供、ソリューションの本格的な展開を開始した企業です。

<セミナー情報>
テーマ:お口の中の善玉菌が健康のカギ!?オーラルケアが腸活に!?
主催:株式会社サイキンソー
開催日時:2025年11月25日(火)12:00~13:00
形式:オンライン
登壇者:株式会社サイキンソー 管理栄養士 小川 静香
ライオン株式会社 研究開発本部 山 和馬
https://cykinso.co.jp/news/20251002
*参加受付 11月21日(金)13:00 まで

プレスリリース提供:PR TIMES

ライオンとサイキンソー、口腔・腸内細菌叢の共同研究ライオンとサイキンソー、口腔・腸内細菌叢の共同研究ライオンとサイキンソー、口腔・腸内細菌叢の共同研究

記事提供:PRTimes

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