精神障害の労災認定、地域で最大2.79倍の格差。大都市圏で認定率が低い傾向あり
社会保険労務士法人全国障害年金パートナーズ

~「住む場所で結果が変わる」不公平、審査統一化を提言~
うつ病特化の障害年金専門として2,500名超の支援をしてきた、社会保険労務士法人 全国障害年金パートナーズ(東京都千代田区、代表:宮里竹識)は、厚生労働省が公表する「過労死等の労災補償状況」のデータ(令和2~6年度)を独自に集計・分析しました。
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その結果、精神障害の労災認定率に都道府県間で最大約2.79倍の地域差があることが判明しました。5年間の通算データによる全国加重平均認定率は32.6%(認定件数3,885件/申請件数11,922件)でしたが、最高は和歌山県の58.0%、最低は徳島県の20.8%と大きな開きが見られます。
特に注目すべきは、大都市圏で認定率が相対的に低い傾向です。東京23.9%、大阪28.3%、愛知28.9%と、いずれも全国平均を大きく下回っています。本来、全国一律であるべき制度において、「どこに住んでいるか」が結果を左右する現状は、制度の公平性という観点から看過できない課題です。
12月3日から9日までの「障害者週間」を機に、本調査結果を公表するとともに、精神障害を抱える方々が公平な支援を受けられるよう、地域による判断基準の統一化を提言いたします。
■調査概要
- 調査対象:厚生労働省「過労死等の労災補償状況」都道府県別データ(精神障害)- 対象期間:令和2年度~令和6年度(5年間)- 集計方法:上記5年分を都道府県別に通算し、全国障害年金パートナーズが独自に集計・分析
主な結果
- 全国加重平均認定率:32.6%(3,885件/11,922件)- 認定率の最高:和歌山58.0%、最低:徳島20.8%(約2.79倍の差)- 大都市圏は相対的に低め(東京23.9%・大阪28.3%・愛知28.9%)- 認定率の中央値:35.1%、四分位範囲:30.5%~42.5%
※本調査は厚生労働省の公開データを当社が独自に集計・分析したものです。
■厚生労働省データから見える実態―都道府県で最大2.79倍の認定率格差
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令和2~6年度の5年分を通算した全国加重平均認定率は32.6%(認定件数3,885件/申請件数11,922件)。
都道府県別の最高は和歌山58.0%、最低は徳島20.8%で、約2.79倍の開きがあることが判明しました。
【認定率上位5県】
- 和歌山:58.0%(40/69)- 大分:57.6%(57/99)- 新潟:54.1%(59/109)- 青森:51.9%(28/54)- 北海道:51.2%(212/414)
【認定率下位5県】
- 徳島:20.8%(11/53)- 山口:23.2%(16/69)- 東京:23.9%(586/2,450)- 愛媛:25.6%(23/90)- 長崎:25.9%(22/85)
【主要都市圏の状況】
- 北海道:51.2%(212/414)- 千葉:37.0%(152/411)- 埼玉:33.2%(161/485)- 東京:23.9%(586/2,450)- 神奈川:30.3%(284/937)- 愛知:28.9%(228/790)- 大阪:28.3%(337/1,191)- 福岡:37.6%(192/510)
認定率と取扱件数の相関は-0.31(弱い負の相関)。
件数が多い地域ほど認定率が下がる傾向が伺えますが、北海道などの例外も存在します。
■データ分析から見える3つの課題
【課題1】都道府県間で約2.79倍の認定率格差
精神障害の労災認定という、本来全国一律であるべき制度において、都道府県間で最大約2.79倍もの認定率の開きが生じています。
申請・立証の質、地域の運用慣行、産業構造や業種別構成の違いなど、複合的な要因が背景にあると考えられます。
【課題2】大都市圏で認定率が相対的に低い傾向
東京、大阪、愛知といった大都市圏では、いずれも30%を下回る認定率となっており、全国平均を大きく下回っています。
一方で、北海道のように大都市を抱えながらも51.2%と高い認定率を維持している地域も存在します。
【課題3】取扱件数が多い地域ほど認定が厳格になる可能性
取扱件数と認定率の間に弱い負の相関(-0.31)が見られることから、件数が多い地域ほど認定が厳格になっている可能性が示唆されます。
■「審査の中央一括化」で地域差を解消へ。制度運用の統一化を提言
精神障害の労災認定率に都道府県によって大きな差が見られる背景には、労災認定を行う労働基準監督署が都道府県労働局の監督下にありながら、どのようなケースを労災と認めるかという「認識合わせ」が十分に統一されていない可能性があります。
その結果、地域ごとに判断基準が微妙に異なり、申請者の結果に影響が生じているのではないかと考えられます。
精神障害による労災認定は、当事者やご家族にとって生活の再建に直結する重要な制度です。本来であれば、住んでいる地域によって結果が変わるべきではありません。
そこで、障害年金の仕組みと同様に、「申請は全国の労働基準監督署で受けつつ、審査は東京で一括して行う」など、判断基準を中央で統一する方式の導入を提案いたします。これにより、地域差を最小化し、より公平で透明性のある制度運用が期待できます。
12月3日から9日までの「障害者週間」を機に、精神障害を抱える方々が公平な支援を受けられるよう、制度の改善に向けた議論が深まることを期待しています。
早めの相談と適切な記録・書類作成の重要性を改めてお伝えするとともに、労災と並行して利用できる障害年金という経済的セーフティネットについても、当事者とご家族にぜひ知っていただきたい制度です。
■社会保険労務士法人 全国障害年金パートナーズ代表 宮里竹識コメント
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今回の分析で明らかになった地域差は、制度の公平性という観点から見過ごせない課題です。精神障害による労災は、職場のストレスや過重労働が原因で発症するもので、その認定基準は本来、全国で統一されているべきものです。
しかし実態としては、最大2.79倍もの認定率の差が生じています。これは、申請者にとって「どこに住んでいるか」が結果を左右する可能性を示唆しており、制度の根幹に関わる問題だと考えています。
私たちは日本で唯一の「うつ病による障害年金専門」の社会保険労務士事務所として、年間400名を超える方々をサポートしてきました。その経験から、精神疾患で苦しむ方々が適切な支援を受けられるよう、労災制度と障害年金制度の両面から、より公平で透明性の高い運用が実現されることを強く願っています。
障害者週間のこの機会に、精神障害を抱える方々が公平な支援を受けられるよう、制度の改善に向けた議論が深まることを期待しています。
【会社概要】
- 社名: 社会保険労務士法人 全国障害年金パートナーズ- 所在地: 東京都千代田区神田佐久間町1-8-4 アルテール秋葉原708- 代表者: 宮里竹識|特定社会保険労務士、障害年金コンサルタント- 事業内容: うつ病による障害年金申請専門サポート、障害年金相談業務、関連情報発信
日本で唯一の「うつ病による障害年金専門」社会保険労務士事務所として、年間400名超のサポート実績を誇る。
■公式サイト:
https://spartners.jp/
【本件に関するお問い合わせ先】
- 社会保険労務士法人 全国障害年金パートナーズ 広報担当 宛- TEL: 0120-792-738- Email: miyazato@spartners.jp
プレスリリース提供:PR TIMES


記事提供:PRTimes