〈2025年度第2回 中小企業経営実態調査〉26年春闘、連合の賃上げ要求6%以上に対して中小企業の過半数が賃上げ率“4%未満”
フォーバル GDXリサーチ研究所

政府による賃上げ支援の方針の認知度は半数を下回るという結果に
Green(グリーン)とDigital(デジタル)を活用した中小企業の変革を目指すフォーバル GDXリサーチ研究所(本社:東京都渋谷区、所長:平良学)は、中小企業を対象にした「2025年度第2回 中小企業経営実態調査」を実施しました。
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政府は、賃上げ支援に向けた政策パッケージを整備し、具体的には補助金や助成金、促進税制、価格転嫁の促進に向けた支援などを進めています。2025年11月28日には、千葉県内で開催された中央委員会で、連合が2026年春季労使交渉(春闘)の賃上げ目標を盛り込んだ闘争方針を正式決定。中小企業の賃上げ率を「6%以上」とする方針として示しました。しかし一方で、これらの政策が現場の経営者にどの程度届き、実際の賃上げに反映されているのかは、依然として明確ではありません。 今回、こうした背景を踏まえ、中小企業における賃上げ状況や取り組みの効果に関する調査を実施しました。
【調査結果サマリー】
1.連合が要求する「中小企業の賃上げ率6%以上」という目標に対し、実際の賃上げ率が4%以下にとどまる企業は過半数であることが明らかに。
中小企業の賃上げ率を6%と定めた方針に対して、目標と現場の実態には大きな乖離が生じている
2.賃上げ推進が日本の将来に持つ意味として約半数の経営者が「企業にとってはコスト増」と考えを持っている現状
経済を活性化させる原動力といったプラスのイメージを増やしていくことが必要です
3.「政府による企業の賃上げ支援の方針*」について知らないと答えた経営者が約半数
企業側の理解促進とあわせて、行政・支援機関による周知強化が重要に
*物価の上昇分を除いた実質賃金を毎年約1%増やすことを目標としています
【アンケート概要】
・調査主体 :フォーバル GDXリサーチ研究所
・調査期間 :2025年9月16日~2025年10月17日
・調査対象者 :全国の中小企業経営者
・調査方法 :ウェブでのアンケートを実施し、回答を分析
・有効回答数 :1,464人
本リリースの調査結果をご利用いただく際は、必ず【フォーバル GDXリサーチ研究所調べ】とご明記ください。
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Q1.賃上げを実施したと回答した方にお伺いします。
実施した賃上げの平均的な上昇率(%)を教えてください。(業種別)
連合は、2026年の春季労使交渉(春闘)の賃上げ目標を盛りこんだ春闘の闘争方針を正式決定。中小企業の賃上げ率「6%以上」を方針として示しました。
実際に賃上げを現在実施している企業に対して賃上げ率を問うと、「2%~3%未満」(18.6%)という回答が最も多く、次いで「1%~2%未満」(18.1%) 、「3%~4%未満」(14.6%)と続きました。本調査では、0%~4%未満の範囲で賃上げを実施した企業が過半数数の55.7%を占めていることがわかりました。
また、一方、「賃上げ率は把握していない」と回答した企業も約1割で、賃上げの運用・情報管理に課題がある企業も一定数あることも明らかになりました。
連合の掲げる「6%以上」の高い賃上げを実施した企業は現時点で10.5%で、目標を達成することは容易ではありません。
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業種別では、製造業と建設業を比較すると、1%~4%未満の範囲で賃上げを実施した企業が、製造業では65.8%、建設業は54.2%となり、いずれも全体と比較して高い結果となりました。特に建設業は、全体と比べてもやや高い傾向にあることがわかりました。働き方改革により、建設業でも労働規制が強まったり、昨今の資材・燃料・物流コストの上昇を背景に、見積価格の見直しが進行し、値上げの一部が労務費に配分されるなどの可能性が考えられます。
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Q2.賃上げの推進は日本の将来にとってどのような意味を持つと考えますか?(n=970)※複数回答可
賃上げの推進が日本の将来にもたらす意味について尋ねた質問では、「企業にとってはコスト増」(46.1%)という回答が最も多く、次いで「停滞した経済を活性化させる原動力」(37.1%)と続きました。経済を活性化させる原動力といったプラスの意味として捉えている経営者もいる一方で、約半数近くがコスト増というマイナスイメージを持っていることが明らかになりました。
賃上げを継続するには、売上・利益を安定的に創出できる経営体質の構築が前提ですが、利益を創出している企業であっても、コスト増の負担を感じている中小企業は多いといえます。賃上げ実施企業への税制優遇や助成金などの恩恵をさらに手厚くするといった、国を挙げての対応も必要といえます。
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Q3. 「政府による企業の賃上げ支援の方針*」についてご存知ですか(n=1,464)
*物価の上昇分を除いた実質賃金を毎年約1%増やすことを目標としています
政府は近年のインフレ基調を背景に、2025年6月の「骨太の方針2025(経済財政運営と改革の基本方針2025)」において「実質賃金を毎年1%程度増加させる」という目標を示しました。さらに、それを具体化する施策として「中小企業・小規模事業者の賃金向上推進5か年計画」が同時期に閣議決定されています。政府は今後数年にわたる賃上げ支援に向けた政策パッケージを整え、具体的には補助金や助成金、促進税制や価格転嫁促進に向けた支援などを進めています。現在、生産性向上支援、賃上げ促進税制、補助金の拡充など、政府は賃上げを後押しするさまざまな政策を示しています。
しかし、「政府による企業の賃上げ支援の方針*」についての認知度を問う設問では、「知らない」という回答が52.9%と、半数以上の経営者が認知していないことが明らかになりました。政策の認知度不足は、支援が十分に活用されず、賃上げの実行につながらない要因にもなり得ます。企業側の理解促進とあわせて、行政・支援機関による周知強化が重要であることがわかりました。春闘中小企業の賃上げ率6%という目標を達成するためには、売上や利益を増加させることも必要となりますが、経営者の政府による支援策への認知・理解も重要になっていくと言えます。
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フォーバル GDXリサーチ研究所所長
平良 学(たいら・まなぶ)
■経歴
1992年、株式会社フォーバルに入社。九州支店での赤字経営の立て直し、コンサル
ティング事業の新規立ち上げ、
全体統括を経て、2022年に新たに発足した中立の独立機関「フォーバルGDXリ
サーチ研究所」の初代所長に就任。
中小企業経営の実態をまとめた白書「ブルーレポート」の発刊、全国の自治体と連携
し、地域の中小企業経営者に向けたDX、GXの講演、中小企業経営者向けのイベ
ントの企画などを通じて、中小企業のGDXを世に発信している。
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■コメント
本レポートでは、中小企業の賃上げ率や経営者が実際に賃上げを行うことによる将来への意味、そして政府の支援s区の認知度などを調査しました。高市政権が掲げる「中小企業の賃上げ率6%以上という目標に対して、実際の賃上げ率が4%以下にとどまる企業は半数以上であるという現状がわかりました。
また、「政府による企業の賃上げ支援の方針*」についての認知度を問う設問では、約半数以上が知らないという結果になり、認知度の低さが明らかになりました。
現状の経済状況を踏まえると、賃上げへの取り組みは一時的なものではなく、今後も継続して行われるべきものと考えられます。小規模企業が継続的に賃上げができるような契約内容の見直しや価格転嫁の徹底、行政や関係機関による各種支援の継続が今後も求められると推察できます。
■フォーバル GDXリサーチ研究所とは
日本に存在する法人の99%以上を占める中小企業。この中小企業1社1社が成長することこそが日本の活力につながります。中小企業が成長するための原動力の1つにGreen(グリーン)とDigital(デジタル)を活用し企業そのものを変革するGDX(Green Digital transformation)があります。
フォーバルGDXリサーチ研究所は、中小企業のGDXに関する実態を調査し、各種レポートや論文、報告書などをまとめ、世に発信するための研究機関です。「中小企業のGDXにおける現状や実態を調査し、世に発信する」をミッションに「中小企業のGDXにおいてなくてはならない存在」を目指し活動していきます。
HP:
https://gdx-research.com/
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プレスリリース提供:PR TIMES





記事提供:PRTimes